第1回キャリアコンサルタント試験を振り返る。




はじめての国家試験、第1回キャリアコンサルタント試験が終了、合格発表が行われました。今回の合格率や平均点等を検証して、今後の試験について私なりに考えてみました。

合格しやすかった学科試験

学科試験は70%を超える、かなり高い合格率になりました。

第1回キャリアコンサルタント試験「学科試験」の結果

  受験者数 合格者数 合格率
協議会※ 1,167 945 81.0%
JCDA※ 1,028 763 74.2%
合計 2,195 1,708 77.8%

※協議会:キャリアコンサルティング協議会 JCDA:日本キャリア開発協会

学科試験は、両団体で同じ出題内容、同じ採点基準の割には合格率に差が出ましたが、以前の学科試験に当たるCDA資格認定試験の一次試験と比べると、合格率が大幅に高くなりました。

かつてのCDAの一次試験合格率は最終回の49回が55.2%、48回が54.2%、47回が51.9%でした。かつての試験においては、400字以上の論述が求められる問題が一次試験にあり受験者の負担となっていましたが、新試験は択一式の問題のみとなり、これまでよりも受験者の負担は軽減され、易しくなったといえるでしょう。

また、今回の学科試験では、理論家に関する問題など、暗記していないと対応できないような問題は少なかったです。

15問間違えることができる余裕があるのは大きい。

学科試験では、究極の二択で選択しづらい問題や、逆に常識的な知識から正解が導き出せてしまう問題もあり、レベル感は不安定、問題として微妙なものもありましたが、50問中、『15問を間違えられる』というのは受験者に有利な試験と感じました。

当サイトで行った試験終了直後のアンケートにおいても、「言い回しがテキストと違い戸惑った」というご意見がありましたが、特に解きづらい問題は10問程度だったのではないでしょうか。それらをすべて間違えてしまっても、合格することができます

本番で戸惑い、意気消沈したとしても、その後冷静に自己採点をしてみたら、合格ラインを十分クリアしていたという方が多かったのではないでしょうか。

このままの傾向が続くとも思えません…。

国家試験などの公的試験は、試験制度開始直後の草創期は合格しやすく、徐々に難化してくるという傾向があります。特に学科試験のような内容では。

とはいえ、キャリアコンサルタントについては、保有者を増やしたいという政策的な意図もありますので、急激な難化や極端な合格者の絞り込みは当面はないと予想していますが、出題内容自体は徐々に洗練され、問われる内容は難化していく可能性があります。今回の学科試験は易しかったと思っていた方が良いでしょう。

学科の難易度調整は要注意です。

協議会もJCDAも、これまでの経験から、試験を難しくするノウハウは持っています。

知っているか、知らないか?』の知識確認型出題は、一層深まるのではないかと考えています。

学科試験は、急激ではないものの、徐々に難化していくと思われます。

 




試験実施団体による合格率の差が大きく出てしまった実技試験

論述および面接が行われる実技試験。こちらは団体により異なる出題内容により実施され、合格率も大きく異なる結果となりました。

第1回キャリアコンサルタント試験「実技試験」の結果

  受験者数 合格者数 合格率
協議会 1,000 716 71.6%
JCDA 1,376 709 51.5%

JCDAの方が、かなり低い合格率となっています。

これでも、過去のCDA資格認定試験の二次試験は毎回40%程度だったので、上昇はしているのですが…。いかんせん、協議会の合格率が高すぎます。平均点を確認してみると、協議会の面接試験の易しさが目立ちます。JCDAの合格率は、スキルを判定するラインとしては、適当なゾーンなのではないかと感じています。

論述は協議会とJCDAでそれほど変わらず

実技試験のうち、論述試験の平均点は、ほぼ同じでした。

  論述試験の平均点
協議会 33.8点/50点
JCDA 34.2点/50点

出題内容は全く異なるものの、平均点が同じレベルに収まりました。

差が出てしまったのは、面接試験。

協議会の平均点は非常に高くなりました。

  面接試験の平均点
協議会 62.6点/100点
JCDA 54.3点/100点

良いか悪いかはさておきまして、70%が合格ラインの試験において、面接試験の平均点が62点というのは、合格が易しい試験に区分されるでしょう。

面接試験の評価の差が、実施団体によって大きく出てしまった第1回の実技試験でした。別の試験内容とはいえ、この合格率の差には驚きました。今後どうなるのか何とも言えませんが、振り戻しで逆の結果になるようなこともあります。

どちらが受かりやすい、などとはまだ言えません。ロープレ対策はじっくりと丁寧にやりましょう。

第1回キャリアコンサルタント試験は、あくまで第1回です。

今回は新試験制度スタート時の混乱もあり、試験情報や資格制度の情報もサミダレ式にまさにリアルタイムに(汗)リリースされるという、ドタバタの中で行われた印象が強かったです。

出題者も受験者も、レベルが上がってくる。

試験実施側も受験者側も十分に準備が出来なかったのではないでしょうか。ロープレなども十分に準備できずに受験した方も多かったと思われますが、その点では今後は、どちらも体制が整ってくることとなり、受験者のレベルは上がってくることでしょう。

私は、JCDAの実技試験対策は、傾聴を中心としたロープレ演習が大切と思っています。クライエントに丁寧に寄り添い、じっくりと耳を傾ける。

論述試験で問われた内容も、それでした。

学科試験も実技試験も、今後のレベルは上がっていくと思われます。学科も実技も、しっかりとした対策をしていきましょう。

焦らず、着々と前向きに、知識とスキルを身に付けていきましょう。

勉強会などでお手伝いもさせて頂きます。←たまにお問い合わせをいただくのですが、もちろん無償です。キャリコンの講師のスキルなどありませんので、あくまで無償でやらせて頂いています。逆に私も勉強させてもらっています。

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