第24回試験の難易度と出題傾向を振り返る。

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第24回キャリアコンサルタント試験を受験のみなさん、本当におつかれさまでした。本日を持って、第24回試験の全日程が終了しました。

みなさんの合格を、心よりお祈りしています。

先日、第24回学科試験の過去問解説が完成しました。
試験の振り返りに、今後受験する方は過去問研究に、どうぞご活用ください。
そして、第24回は、最近2回の試験とはだいぶ異なる難易度でしたから、今後の対策のため、じっくりと振り返ってみます。

それぞれの問題については、登録試験機関のホームページで、問題用紙と正答をダウンロードのうえ、過去問解説で内容を確認しましょう。

キャリアコンサルティング協議会(過去問題)

日本キャリア開発協会(過去問題)

(学科試験の内容は同様ですが、論述試験の内容は異なりますのでご注意下さい。)

そして、各問題の解説は、みん合の過去問解説のページからご覧ください。

第24回過去問解説

第24回学科試験の難易度

前回、前々回と易しめで高い合格率の試験が続きましたが、今回は間違いなく、「難しい」内容でした。合格率も大きく下がる予想です。

後日、あらためて最終結果を公開しますが、解答速報における自己採点結果のアンケート(23日まで受付)によると、自己採点合格率は、77%前後になりそうです。

77%というと、それほど低い印象は無いかもしれませんが、最近の試験の自己採点合格率と実際の合格率は次のような推移です。

自己採点合格率は前回23回が95.1%、22回は97.2%ですから、約20ポイント低下しました。

自己採点合格率と実際の合格率には、20%程度の差が生じることも珍しくなく、実際の合格率は第15回以降の試験では最も低合格率(56.8%)だった第17回よりも下がる可能性はあるでしょう。

合格発表後に追記しました
第24回学科試験実際合格率は、協議会53.0%、JCDA51.6%、2機関平均52.6%でした。

問題単位のABC評価

全50問の難易度はどうだったのでしょうか。第15回試験から、A(易しい)、B(差がつく)、C(難しい)の3段階で各問題を評価しています。

A、B、Cの数の傾向を、確認しましょう。合格率は2機関における平均です。

合格率 A(易しい) B(差がつく) C(難しい)
第15回 75.0% 27 15 8
第16回 64.6% 28 15 7
第17回 56.8% 28 12 10
第18回 81.1% 30 15 5
第19回 61.6% 27 18 5
第20回 77.9% 28 17 5
第21回 61.7% 27 21 2
第22回 82.2% 30 15 5
第23回 83.6% 30 14 6
第24回 52.6% 27 17 6

難易度評価は、私の経験や感覚的なものなど、主観的な要素による誤差がありますから、ご参考までにお伝えしますが、易しいAランクが30問になると、合格率は80%を超えている事実はあります。

また、差がつくBランクが多いと合格率が下がる傾向があります。難しいCランクはいつも5問程度はありますが、合否を左右するのはAランクとBランクのバランスに要因がありそうです。

今回のABCのバランスは、第19回や、第16回が似ていました。

ABC評価では、思ったよりも、大きな差異は感じないかもしれませんが、今回のように自己採点合格率が低い回では、合格ライン前後に受験者の得点が集中します。

つまり、1問、2問の差で悔しい思いをした方が、多かったと思われます。

Aランクが27と30では、合格の可能性は大きく変わってくるのでしょう。

また、難易度の高低に関わらず、毎回5問前後は、解けなくてもやむを得ない「捨て問題」があるということは、今後受験する方は、念頭に入れておきましょう。 

難問に惑わされずに、落ち着いて35問を確保、死守することが求められる厳しい試験だったと言えるでしょう。また、正答選択肢の選択自体は容易な、捨て問題もどきの問題も数問ありました。

それでは、出題内容で、気になった問題や、新傾向などについてお伝えします。

出題内容を振り返る「全体像」

・問題の出題順序に、変化がありました。出題範囲マトリックス・タテヨコくんをご覧ください。

[国家+2級直近3回分]タテヨコくんミニマム【PDF版】【Excel版

通常は問30前後で出題のある「中高年期を展望するライフステージ及び発達課題の知識」が冒頭の「キャリアに関する理論」に続いて出題されました。これは初めての順序です。

・「中高年期を展望するライフステージ及び発達課題の知識」及び「人生の転機の知識」が各2問で合計4問になったのは国家試験では初めてです。2級試験は各2問の4問が出題されています。

・「学校教育制度及びキャリア教育の知識」は、前回に続き、3問体制でした。

出題内容を振り返る「問1~問10」

・前回は冒頭の時事問題が2問ありましたが、今回は1問でした。

・「労働経済の分析」は前回に続いて、3問も出題がありました。

・「キャリアに関する理論」の出題は、問4~問6の3問で、少なかったのですが、「中高年期を展望するライフステージ及び発達課題の知識」及び「人生の転機の知識」が各2問で合計4問(前回は2問)になっているため、「理論家」の問題としては減ったというわけではありません。

・理論家の大問は、シャインとパーソンズ。パーソンズの大問は久しぶり(第14回以来)ですが、正答選択肢の選択は、比較的容易でした。

・問9:アドラーは選択が難しい問題でした。共同体感覚、劣等感、嫌われる勇気といったキーワードも併せて解説しています。

・初出の理論家としては、ブリーフセラピーの土台をつくったと言われる、ミルトン・エリクソン。ミルトン・エリクソンは、8つの発達段階を提唱したエリク・E・エリクソンとは別人です。

出題内容を振り返る「問11~問20」

・「職業能力開発」が4問、「キャリア形成支援」が3問、「労働市場の知識」が3問の安定の構成です。

・令和4年度能力開発基本調査は2問の出題でした。

・問12:「託児サービス付き訓練コース」が初出題(2級では出題済み)。

・問13:「キャリア形成・学び直し支援センター」の出題は意外に初めて(2級では出題済み)。生産性向上支援訓練は第24回対策総仕上げ模試で出題していました。

・問15:客観的な正誤判断が困難な難問。

・問17:「成長戦略実行計画」は国家試験では初出題(2級では出題済み)。

・問19:キャリアコンサルティングに関する労働経済の分析からの出題は、前回第23回問3をアレンジした問題。

・問20:ものづくり白書からの出題は初めてであり、解けなくてもやむを得ない難問。

出題内容を振り返る「問21~問30」

・前回と同様に「学校教育及びキャリア教育の知識」が3問体制。

・問22:労働条件の不利益変更は初めての出題かつ難問。

・問24:育児・介護休業法の改正トピックが出題。第24回対策総仕上げ模試の内容が、幸い的中していました。

・問27:教育振興基本計画は5年ごとに策定と覚えておきましょう。

・問29:精神障害者保健福祉手帳に関する知識は難問でしたが、「こころの情報サイト」からの本格的な出題でした。

出題内容を振り返る「問31~問40」

・出題割合では、「個人の多様な特性の知識」が前回に続き3問体制。「カウンセリングの技能」2問、「グループアプローチの技能」1問は通常通りでした。

・問31:ブリッジズの著書からの出題は、問題文の読み取りが難しい。

・問33:労働者等のキャリア形成における課題に応じたキャリアコンサルティング技法の開発に関する調査・研究事業報告書からの出題は第17回以来でしたが、出題内容がやや不思議。

・問34:マイクロカウンセリングの「はげまし」は以前にも出題実績がある。

・問36:選択肢の内容が、やや主観的な内容に感じ、正答選択が困難でした。

・問40:前回出題が無かった「アセスメントツール」は「キャリアインサイト」が出題。やや難でした。

出題内容を振り返る「問41~問50」

・出題割合には大きな異変はない終盤でした。

・問41:職業情報提供サイトのGテストは第24回対策総仕上げ模試がお役に立てました。

・問42:職場における学び・学び直し促進ガイドラインは前回に続き出題。

・問47:「ジョブクラフティング」が問42に続いて出題。意味を確認しておきましょう。

・問50:多重関係の大問は第17回問50以来。

過去の出題実績を調べていると、第17回の影が時折ちらつきました。

以上、気になった問題や出題割合の変化をお伝えしました。

難化の意図を感じました

出題範囲ごとの出題割合などは大きな変化はなく、出題内容についても、数問の難問を除いては、いつもどおりの内容ではあるのですが、問い方に「ひとひねり」があるもの、やや攻めすぎて表現が主観的になっているのではないかと思うものなど、「際どい」と思う問題が数問ありました。

結論として、第17回並の難化を意図した作問であったのではないかと捉えています。

また、前回試験から復活ゾンビな問題が見られなくなりましたが、今回は、選択肢が全く同じもの、少し変えているもの、順序や一部の内容をアレンジしたものなどはありました。

また、コピーではないけれど、ベースとなった問題があると思われるものが、数問ありました。

ただ、第22回以前のように「全く同じ問題が○問もあった!」ということはなく、今後もそうした問題は、作らない方針なのかもしれません。

表現の問題の問題。

これは毎回のことですが、「言い方」、「表現方法」などから正誤判断ができるものがいくつかありました。

もちろん、100%怪しい(不適切)ではなく、ケースバイケースではあるのですが、注意して確認すると、正誤判断の大きなヒントになることは多いです。

問21:しなければならない
問22:当然に、必ず
問32:のみ、いかなる場合
問36:ただちに
問44:すぐに
問45:○○よりも××
問49:○○よりも××
問48:どのような時も

こうした文言に気づくためには、問題に「慣れている」ことが大切です。

2級から降りてきた!

最近の国家試験では、技能検定の2級や1級の出題内容が降りてくるパターンが少なからず見受けられます。技能検定からの国家試験という出題順序は、有るような気がしています。

問12:託児サービス付き訓練コース
問13:生産性向上支援訓練
問17:成長戦略実行計画

2級学科試験問題のススメ

2級の学科試験は、国家試験と出題範囲が全く同一で、出題内容が似ていますから、それぞれの試験対策に活用することができます。

今回も2級で出題されていた内容が、国家試験へシフトして出題されたものがいくつかありました。

時事問題や資料問題の時の経過による劣化などを考えますと、例えば直近3回分程度の2級学科試験はまだまだフレッシュです。

キャリアコンサルティング技能検定の過去問題についても、やはり直近3回分は、キャリアコンサルティング協議会のサイトから入手することができます。

キャリアコンサルティング協議会(過去問題)

次回、受験する人は、まずはじめの1回目として、第24回又は第23回か22回国家試験や2級技能検定の第30回を解いてみて、全体のボリューム感や難易度、出題割合や順序を体感してみましょう。

2級第30回過去問解説(みん合☆プラス会員限定公開)

まずは過去問から始めることをおすすめしています。

国家試験+2級技能検定の直近3回分(合計6回分)を過去問研究の軸にしてみてはいかがでしょうか。

今後は3月の第25回試験や12月の2級、1級試験合格支援のため、試験情報や教材発信を行いますので、次回試験の合格を目指す方はぜひ、みん合サイトをご活用下さい。

次回リベンジの方へ

次回リベンジの方は、初学者に比べて、大きなアドバンテージがあります。まずは第24回の解き直しをして、過去問解説で内容をよく確認しましょう。

ご自身の得手不得手が明らかになりましたら、「テキスト&問題集」や「総仕上げ問題集」で、集中的に不得手を減らしていきましょう。腑に落ちていないものは、資料や参考書なども読み込んでみましょう。それが出来るのが、リベンジの場合の大きなメリットです。

そして、得意な内容を増やしていきましょう。

合格力が大きくアップするはずです。
間違えた問題、知らなかった内容の理解に努めましょう。

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***第24回国家試験、2級、1級技能検定対策にご活用ください***

キャリアコンサルタント試験の直近3回分以外の過去問解説や、試験傾向が非常によく似ている2級技能検定や1級技能検定の過去問解説、そのほか会員限定公開のページは、みん合☆プラス会員へ入会するとご覧になることができます。

学科試験対策のお伴に、是非ご検討ください。テキスト&問題集や、総仕上げ問題集をお持ちでない方には、お得なセットのコースがおすすめです。

「テキスト&問題集」は第3版は7月に刊行されました。

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なお、「テキスト&問題集第3版」の加筆内容などは次のページにまとめています。第2版をお持ちの方は、次のページをご確認ください。

テキスト&問題集「第3版」が出ました!

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