第15回問11~問15の解き方

第15回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問11.カウンセリングに関する理論

 アドラー心理学は、これまでに選択肢での出題はありましたが、大問(選択肢4つ分)での出題は初めてです。ロングセラーとなっている「嫌われる勇気」でアドラー(心理学)を知った方も多いでしょう。なお、本問の出典はジル資料と思われます。内容理解が深まりますので、P105からP107は是非、じっくりと読んでみましょう。

当サイトでは通称「ジル資料」と呼んでいる、労働政策研究・研修機構(JILPT)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられておりおすすめです。PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査

1.○:「全てのことは自分で決めている」のであり、無意識(トラウマ)や環境のせいにしていては何も解決しないとする。【ジルP106】

2.○:実際の努力は「優越への努力」「完全への努力」が入り交じるが、この劣等感の捉え方によって劣等感を乗り越えようとする(共同体感覚を持つ)ことがアドラー心理学の特徴となる。【ジルP105】

3.○:クライエントの人生の課題を解決するよう援助することを「勇気づけ」という。【ジルP106】

4.×:共同体感覚とは言うものの、他者の承認を絶対的基準とするものではなく、他者の承認ではなく、自分自身の課題を解決していくことである。【ジルP107】

問12.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

 3つの選択肢は超頻出資料である、能力開発基本調査からの出題です。能力開発基本調査については、毎回、やや細かな内容も出題される傾向があります。資料は試験までの間に繰り返し熟読しておきましょう。令和4年度版の内容を追記しています。

 令和元年度能力開発基本調査

 令和4年度能力開発基本調査

1.○:「職業能力評価基準」とは、仕事をこなすために必要な「知識」と「技術・技能」に加えて、「成果につながる職務行動例(職務遂行能力)」を、業種別、職種・職務別に整理したものであり、わが国の「職業能力評価制度」の中心をなす公的な職業能力の評価基準である。【厚生労働省

2.○:超頻出資料である「能力開発基本調査」からの出題です。職業能力評価を行っている事業所は54.7%である。【令和元年度P28】

職業能力評価を行っている事業所は、54.3%である。【令和4年度P29】

3.×:職業能力評価に利用される検定・資格で最も多いのは、国家検定・資格(技能検定を除く)又は公的検定・資格」である。【令和元年度P30】

令和4年度版も同様である。【令和4年度P31】

4.○:職業能力評価を行っている事業所での職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」が最も多い。【令和元年度P31】

令和4年度版も同様である。【令和4年度P32】

問13.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

 「平成30年度年次経済財政報告」(内閣府)からの出題は初めてですが、比較的判断しやすい選択肢もありますので、消去法でアプローチしましょう。

 平成30年度年次経済財政報告「社会人の学び直し(リカレント教育)とキャリア・アップ

1.○:自己啓発の内訳をみると、大学・大学院(1.6%)、専門学校、職業訓練学校等(6.2%)への通学は合わせて7.8%である。少ないが、20%未満ではある。【P181】

2.×:25~64歳のうち大学等の機関で教育を受けている者の割合をOECD諸国で比較すると、日本の割合は2.4%と、英国の16%、アメリカの14%、OECD平均の11%と比較して大きく下回っている。【P183】

3.×:現在の職業が定型的な仕事であっても、自己啓発を行うことで非定型の仕事に就ける可能性が2~4%ポイント増加する結果となっている。【P179】

4.×:反映しない企業がほとんど、とはいえない。自己啓発を実施した労働者の処遇がどの程度変化するか企業に調査したところ、大きく処遇に反映する方針の企業は6%、ある程度反映する方針の企業は53%であり、6割程度の企業は何らかの考慮を行っている。【P186】

問14.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

 ジョブ・カードの問題としての見出しではあるものの、出題順序や出題範囲の属性を検討すると、専門実践教育訓練や特定一般教育訓練に関する問いであり、職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識からの出題と捉えています。

1.×:新たなジョブ・カード制度がスタートしたのは、2015年10月からである。【厚生労働省

2.×:ジョブ・カードの作成支援は、キャリアコンサルタントやジョブ・カード作成アドバイザーが行う。キャリアコンサルタントは、ジョブ・カード作成アドバイザーとしての登録は不要である。【マイジョブ・カード

3.○:専門実践教育訓練給付金及び特定一般教育訓練給付金の手続は、訓練対応キャリアコンサルタントによる訓練前キャリアコンサルティングにおいて就業の目標、職業能力の開発・向上に関する事項を記載したジョブ・カードの交付を受けたあと、下記の書類をハローワークへ提出する。【ハローワークインターネットサービス

4.×:「職務能力証明シート」は、正しくは「職業能力証明シート」であり、職務と職業の違いがある。また、「キャリア・プランシート」には、「キャリアコンサルタント実施者の記入欄」があるため、「すべて」自分自身で記入すると言い切るのは不適切である。【様式1-1キャリア・プランシート(就業経験のある方用)の記入例:PDF

問15.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

 超頻出の能力開発基本調査からの出題ですが、3の個人調査からの出題はこれまでにはあまりなく、「正社員のうち」と限定されていたり、多くの人に馴染みの薄い教育訓練休暇が正答のため、難易度はかなり高い問題と言えるでしょう。追記:その後は個人調査からも定期的に出題されるようになりました。

 令和元年度能力開発基本調査

 令和4年度能力開発基本調査

1.×:そこまで高くはない。平成30年度にOFF-JTを受講した常用労働者の割合は35.3%であり、正社員では43.8%、正社員以外では20.5%と正社員以外の受講率は正社員を大きく下回っている。【令和元年度P40】

労働者全体では33.3%であり、正社員では42.3%、正社員以外では17.1%である。【令和4年度P41】

2.×:そこまで高くはない。平成30年度に自己啓発を行った者は、労働者全体では29.8%であり、正社員で39.2%、正社員以外で13.2%と、正社員以外の実施率が低い。【令和元年度P45】

労働者全体では34.7%であり、正社員で44.1%、正社員以外では17.5%である。【令和4年度P45】

3.×:そこまで高くはない。平成30年度中にキャリアコンサルティングを受けた者は、労働者全体では12.0%であり、正社員では15.0%、正社員以外では6.8%である。【令和元年度P58】

令和3年度中にキャリアコンサルティングを受けた者は、労働者全体では10.5%であり、正社員では13.5%、正社員以外では5.1%である。【令和4年度P57】

4.○:平成30年度の教育訓練休暇の利用について、労働者全体では、「勤務している事業所に制度があるか分からない」が57.2%(正社員50.4%、正社員以外69.1%)と制度の有無を認識していない者が半数以上を占めている。【令和元年度P62】

労働者全体では59.7%(正社員54.2%、正社員以外69.5%)と制度の有無を認識していない者が全体では半数以上を占めている。【令和4年度P61】

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