第16回問16~問20の解き方
第16回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問16.企業におけるキャリア形成支援の知識
令和2年版高齢社会白書からの出題。通常は「個人の多様な特性の知識」での出題が多い高齢者の就業についてですが、「企業におけるキャリア形成支援の知識」の出題範囲から出題されたのは、大変珍しいケースです。
最近のデータを更新しています。
1.×:そこまで高くはない。2019年の労働力人口比率(人口に占める労働力人口の割合)を見ると、65~69歳では49.5%、70~74歳では32.5%となっており、いずれも2005年以降、上昇傾向である。【第2節高齢期の暮らしの動向1就業・所得P21:PDF】
2022年の労働者人口比率は、65~69歳では52.0%、70~74歳では33.9%となっており、いずれも2005年以降、上昇傾向である。【第2節高齢期の暮らしの動向1就業・所得】
2.×:非正規の職員・従業員の比率は、男性の場合、非正規の職員・従業員の比率は55~59歳で11.2% であるが、60~64歳で49.6%、65~69歳で71.3%と、60歳を境に大幅に上昇している。【第2節高齢期の暮らしの動向1就業・所得P23:PDF】
男性の場合、55~59歳で11.0%であるが、60~64歳で45.3%、65~69歳で67.3%、70~75歳で74.7%と、60歳を境に大幅に上昇している。【第2節高齢期の暮らしの動向1就業・所得】
3.○:現在仕事をしている60歳以上の者の約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答している。【第2節高齢期の暮らしの動向1就業・所得P25:PDF】
変わりはない。現在収入のある仕事をしている60歳以上の者については約4割が「働けるうちはいつまでも」働きたいと回答している。【第2節高齢期の暮らしの動向1就業・所得】
4.×:男女別に65歳以上の起業者の割合を見ると、男性は2007年8.9%、2012年 11.8%、2017年13.2%と上昇しているが、女性は2007年6.8%、2012年8.6%、2017年7.2%となっている。【第2節高齢期の暮らしの動向1就業・所得P25:PDF】
令和5年版では、起業に関する項目の記載はない。
問17.企業におけるキャリア形成支援の知識![](https://www.career-consultant.info/wp-content/themes/refinesnow2-1.2/img/shortcodes/icon-star.png)
![](https://www.career-consultant.info/wp-content/themes/refinesnow2-1.2/img/shortcodes/icon-star.png)
「セルフ・キャリアドックの導入と展開」は試験によく出題される資料に仲間入りしたといっても過言ではないでしょう。セルフ・キャリアドックを企業で導入し、実施する際の拠り所となる資料です。是非、一読しておきましょう。
1.○:個々人が元気で働くには組織もまた活性化し、活力あふれた組織になることが求められる。そのため、従業員の活力を引き出し、それを企業の成長とつなげる活動としてセルフ・キャリアドックを位置づけている。【はじめに】
2.○:セルフ・キャリアドックの導入目的と効果として、①従業員にとっては自らのキャリア意識や仕事に対するモチベーションの向上とキャリア充実があり、②企業にとっては人材の定着や活性化を通じた組織の活性化がある。【P5】
3.○:人材育成ビジョン・方針の策定に当たっては、業界・企業を取り巻く環境や、自社の人材が抱える実態を適切に把握し、そのギャップを埋めたり、あるいは、あるべき人材像を設定し直し、企業の求める人材像に向けた人材育成方針を明らかにする。【P8】
4.×:責任者は、セルフ・キャリアドックに関わるキャリアコンサルタントを統括するという位置づけであるとともに、人材育成に関して社内に影響力を有することが重要であり、人事部門に限らず幅広いポストの中から適任者を検討する。【P13】
問18.労働市場の知識
問1では平成30年版からの出題でしたが、令和元年版の労働経済の分析(第1部)からの出題です。特に選択肢1と4の判断が難しい問題でした。令和3年版の内容も確認しています。
1.○:2018年度の名目賃金の前年比は、2014年度以降、5年連続でプラスとなったが、実質賃金の前年比はマイナスとなった。【令和元年版P52】
トレンドが変化している。
2019年、2020年の名目賃金、実質賃金ともにはマイナスへ転換している。【令和3年版P65】
2.○:女性や高齢者の賃金自体は増加しており、総雇用者所得も増加しており、女性や高齢者の労働参加の進展は、総雇用者所得に対してプラスに寄与すると分析している。【令和元年版P57】
トレンドが変化している。
2019年の総雇用者所得(実質)は、2019年には5年連続のプラス、2020年には6年ぶりのマイナスとなった。【令和3年版P66】
3.○:2014年以降、男女、大卒・高卒ともに初任給は上昇傾向にあり、人手不足が初任給の上昇に影響を与えているものと考えられる。【令和元年版P61】
令和3年版では初任給に関する記載はない。
4.×:45歳「未満」の転職者の賃金は上昇している。転職による賃金の増減をみると、男性は45~54歳を除くすべての年齢階級において、女性はすべての年齢階級において、転職前の賃金に比べて転職後の賃金が増加した者の方が多くなっている。【令和元年版P62】45~54歳の男性のみが賃金が減少している。
令和3年版では転職者の賃金に関する記載はない。
問19.労働市場の知識
障害者雇用実態調査は、厚生労働省が5年に一度実施している調査で、本調査結果からの出題自体は初めてです。障害者雇用に関して、身体障害者、知的障害者、精神障害者、発達障害者それぞれの雇用実態が調査されています。細かな内容も問われており、判断の難しい、非常に難易度の高い問題で、「捨て問題」としてもやむを得ないでしょう。
1.×:雇用されている精神障害者を職業別にみると、サービスの職業(30.6%)が最も多く、次いで事務的職業(25.0%)、販売の職業(19.2%)の順に多くなっている。【P17】
2.×:雇用されている精神障害者のうち、無期契約の正社員の割合は25%である。【P17】
3.○:雇用されている精神障害者を週所定労働時間別にみると、通常(30 時間以上)の者が最も多い。【P17】
4.×:雇用されている精神障害者について、障害者となった時点別にみると、事業所の採用前が約88%、採用後が約12%となっている。【P16】
問20.労働市場の知識
問18に続いて、令和元年版労働経済の分析からの出題ですが、こちらは第2部からの出題です。こちらも自信を持って答えられる選択肢は少なく、「捨て問題」の位置づけでも仕方ないでしょう。
令和3年版には記載が無い内容のため、令和元年版で確認する。
1.×:雇用形態別に人手不足感をみると、相対的に正社員に対する人手不足感が高まっており、業種としては「製造業」「建設業」などにおいて高まっている。【P80】
2.×:雇用形態別に人手不足感をみると、相対的に正社員に対する人手不足感が高まっていることが明らかとなった。【P81】
3.○:過去3年間で人手不足を緩和するための対策に取り組んできた企業は、全体の8割を超える高い水準にある。【P101】
4.×:過去3年間で人手不足を緩和するための対策に取り組んできた企業は、全体の8割を超える高い水準にあるものの、相対的に人手不足感が高まっている産業や企業規模の小さい企業等における取組割合は、低い傾向にある。【P101】
参考文献・資料
令和元年版労働経済の分析(PDF)
令和3年版労働経済の分析(PDF)
平成30年度障害者雇用実態調査結果(PDF)