第24回問46~問50の解き方
第24回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問46.相談過程の総括
【A】相談場面をイメージして、適否を検討しましょう。
正答:1
1.○:目標設定の段階において、「自分はこのクライエントを支援するのに最適な人間か」を検討し、その結果をクライエントに伝えることである。ふさわしくないときは、他の適当な機関やカウンセラーヘリファーすべきである。【木村先生⑤P289、⑥P381】
2.×:クライエントがカウンセリングに依存することを防ぐことも重要だが、面談終了後に、一定期間クライエントをフォローし、面談を再開することはありうる。
終了してよいか監査(モニタリング)する。将来さらに必要があれば、カウンセリングに応ずることを伝える。【木村先生⑤P304、⑥P399】
3.×:一定期間モニターして相談終了の判断をすることは適切である。
終了してよいか監査(モニタリング)する。将来さらに必要があれば、カウンセリングに応ずることを伝える。ここで言うモニターとは、一定期間、一定の方法でクライエントをフォローすることである。【木村先生⑤P304、⑥P399】
4.×:学習しきれなかったことを話題にしたり、情報を提供したりすることは、否定されるものではない。
問47.ネットワークの認識及び実践
【A】企業領域における、環境への働きかけに関する事例検討の問題です。適否の判断はそれほど難しくありませんが、「育短」を確認しましょう。子の養育のための短時間勤務制度は、第4回問19で出題されたのみで、今後の出題に要注意です。
正答:4
1.○:企業領域で活動するキャリアコンサルタントとして、適切な行動である。
2.○:企業領域で活動するキャリアコンサルタントとして、適切な行動である。「ジョブクラフティング」は今回の問42でも登場している。
ジョブクラフティングは、自らに与えられた仕事を主体的に捉え直すことによって、やりがいのあるものに仕事を創り変えていく取り組みのことを言う。
3.○:企業領域で活動するキャリアコンサルタントとして、適切な行動である。
4.×:自分が経験した頃からは施策も変化しているため、当時の経験をもとに対応策を指示するのは不適切であり、現在の両立支援関係の施策をよく確認した上で対応策を指示する。
育短とは、育児のための短時間勤務制度のことであり、3歳に満たない子を養育する労働者に対する短時間勤務制度(原則、1日の所定労働時間を6時間とする)を設けることが義務付けられている。【両立支援のひろば】
問48.自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識
【A】更新講習の出題は第22回問50以来、2回目。また、スーパーバイザーのキャリアコンサルティングへの「同席」に関しては初めて問われました。
正答:3(AとC)
A.○:更新講習の内容として適切である。
B.×:スーパーバイジー(指導を受ける側)の成長にも関わる。
C.○:環境への働きかけを行う能力養成が必要である。
D.×:「どのような時も」といったALL表現には注意する。守秘義務やプライバシー保護に留意し、クライエントの了解を得た上で同席することはありうる。
問49.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢
【A】面談記録に関する大問は初めてですが、正答選択肢は守秘義務の観点から選択は容易でした。
正答:1
1.○:キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを通じて、職務上知り得た事実、資料、情報について守秘義務を負う。
2.×:「よりも」表現に注意する。面談記録の書き方に明確なルールがあるわけではないが、「時間の流れよりも、重要と思った点から」は適切とはいえない。
3.×:主観的情報を書き加えておくことは不適切とは言えない。クライエントの問題点の把握や、解決策のヒントになる可能性もある。
4.×:非言語コミュニケーションもカウンセリングの基本要素であり、カウンセリングにおいて印象的だったことは特に可能な限り文章化する。
問50.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢
【A】「多重関係」の大問が出題されました。今回の問2においては、キャリアコンサルティングの実施機関として「企業内の職場の上司・管理者」が最も多いことが問われていましたが、職場の上司・管理者によるキャリアコンサルティングは、まさに多重関係にて、大きな課題と言えます。
正答:3
1.○:多重関係は、「キャリアコンサルタントとクライエント」以外のすべての社会的な関係のことを言う。
2.○:多重関係の弊害として適切である。
3.×:自己開示がしやすくなるとは言えない。師弟関係や恋愛関係を想定すると、むしろ逆の場合もあるだろう。
4.○:多重関係の弊害として適切である。カウンセリングにおいて予断や偏見は禁物である。
参考文献・資料
キャリアコンサルティング理論と実際6訂版木村周、下村英雄著(雇用問題調査会2022年)