第25回問06~問10の解き方

第25回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問6.キャリアに関する理論

【A】ジェラットの前期理論である連続的意思決定プロセスが3段階であることは、しっかりと確認しておきましょう。

正答:2

1.○:ジェラットは、教育機関における進路指導、相談に携わりながら、キャリア発達における意思決定の仕方をガイダンスする際の枠組みを構築することを目的に研究をしている。【渡辺先生P111】

2.×:連続的意思決定プロセスは、予測システム、価値システム、決定(基準)システムの3段階からなる。【渡辺先生P116】

3.○:変化の激しい労働市場においては、与えられた情報が必ずしも、ある個人が職業生活をまっとうするまで真実であるとは限らなくなった。【渡辺先生P119】

4.○:客観的で合理的なストラテジーだけでなく、主観的で直感的なストラテジーを統合して用いていかねばならないと考え、積極的不確実性を提唱した。【渡辺先生P120】

問7.キャリアに関する理論

【B】初見の際には3の読み取りに難しさを感じましたが、「連続的意思決定理論(プロセス)」の特徴を思うと、「変化の激しい環境下」には向かないプロセスですから、消去できます。また、4はスーパーでは?と思った方も多いかもしれません。

正答:4

1.×:個人の状況、自己、周囲の援助、戦略は、シュロスバーグの転機に対処するための4つの資源(4S)を思わせる。【渡辺先生P193】

なお、ブリッジズは、終焉、中立圏、開始の「終わり」から始まる転機(トランジション)のプロセスの理論で知られる。【渡辺先生P194】

2.×:シュロスバーグの転機は、予測していた転機、予測していなかった転機、期待していたものが起こらなかった転機の3つに分けられる。【渡辺先生P193】

3.×:連続的意思決定のプロセスは、左脳的で、論理的な意思決定プロセスであるため、変化の激しい環境下での転機の対処には適切ではない。

どちらかといえば、ジェラットの後期理論である「積極的不確実性」の方が、変化の激しい環境下での転機に対処に適切である。【渡辺先生P119】

4.○:サビカスは、機動性という変化を常態とするキャリア構築の概念としてキャリア・アダプタビリティの重要性を主張している。【渡辺先生P96】

キャリア・アダプタビリティの「提唱」というと、スーパーを思い浮かべる受験者も多かったと思われるが、サビカスはスーパーの研究を引き継ぎ、キャリア構築理論の中核概念として、キャリア・アダプタビリティを取り入れている。【渡辺先生P94】

「最初に提唱」というサビカス・オリジナルなニュアンスがないことと、消去法でアプローチしても、選択肢4が残ることになる。

問8.カウンセリングに関する理論

【A】フロイトの防衛機制は、第25回対策総仕上げ模試の問9で「合理化」「反動形成」「補償」を出題していたので、お役に立てたかと思います。防衛機制は、大問での出題は、第18回問11以来でした。

正答:1

1.○:合理化の内容として適切である。

イソップ寓話の「すっぱいぶどう」の話がよく喩えられる。

お腹をすかせた狐がぶどうを見つけるが、ぶどうの木が高くて届かないため、「どうせすっぱくてまずいぶどうに違いない」と自分を納得させるようなことである。

2.×:認められない欲求を、社会的に受け入れられる⽅向へ置き換えるのは、昇華である。

例えば、暴力的な衝動や性的な衝動を、スポーツや芸術に没頭し発散するようなことであり、特に思春期においては、成長を促す有効な防衛機制である。

なお、補償は、運動が苦手なので勉強で結果を出そうとするなどの、劣等感情を克服することである。

3.×:自分のほうに持っている社会的に望ましくない(あるいは嫌な)感情を、相手のほうが持っていることにして責任を転嫁することは、投影である。【ジルP103】

例えば、自分が周囲のことを嫌っているのに、周囲が自分を嫌っていると思いこんだりすることである。

4.×:ある対象の考え方や感情、行動などを無意識に取り入れ、その対象と同じような傾向を示すことは、同一視(同一化)である。【ジルP103】

なお、同一視(同一化)は摂取(取り入れ)と内容が似ているが、摂取(取り入れ)は部分的であり、意識的であるのに対して、同一視(同一化)は全体的であり、無意識的である。

また、反動形成は、自分の弱さや感情を知られたくないために、わざと尊大になったり、本当は好きな子に対して、それを悟られないように、意地悪をするようなことである。【ジルP103】

なお、拙著のテキスト&問題集第3版(P64)に防衛機制の一覧がある。また、次のJILPTの資料に防衛機制の一覧がある。

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査

当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

問9.カウンセリングに関する理論

【B】精神分析に関する用語が問われた問題です。自由連想法とカタルシス効果はそれぞれ2回目ですが、抵抗分析と逆転移は国家試験では初めての出題です。

正答:3

1.○:自由連想法は、頭に浮かぶことをそのまま言葉にしていく方法であり、精神分析の最も基本的な技法である。【参考サイト:心理学用語の学習

2.○:抵抗分析は、意識化したくない無意識的な衝動などが意識化されそうになったときに、それを回避しようとする防衛機制などを分析することである。【参考サイト:心理学用語集サイコタム

3.×:これは転移の内容である。カウンセラー側から相談者側へ無意識に自分の感情を向けてしまうことを、逆転移という。【参考サイト:心理学用語の学習

4.○:カタルシスには、浄化や排せつの意味がある。

カタルシス(カタルシス効果)とは、自らでは対処することが困難な衝動や欲求、葛藤などを、言語や非言語で表現することによって発散することで、症状などがなくなる現象のことをいう。心の浄化作用とも呼ばれる。【参考サイト:心理学用語集サイコタム

覚え方:語ってスッキリ、カタルシス。

なお、カタルシスについては、第17回問10で出題されている。

問10.カウンセリングに関する理論

【A】選択肢の2、3は、同じような内容を第25対策総仕上げ模試(問10)で出題しており、行動療法は問8でたっぷりと出題していたので、お役に立てました。スキナーといえば、オペラント条件づけと覚えておきましょう。

正答:1

1.○:スキナーは、行動の直後の「結果」により、行動が生じる頻度が変化するという、オペラント条件づけを発見した。【ジルP123】

2.×:身調べという宗教的修行法を現代化した内観法がもととなっているのは、吉本伊信の内観療法である。

3.×:交流分析は、パールズではなく、バーンが提唱した。【ジルP108】

4.×:エンプティ・チェア・テクニック、ホットシート、未完の行為などは、パールズが提唱したゲシュタルト療法の内容である。

相談者が座っている椅子をホットシート、誰も座っていない空の椅子がエンプティ・チェアで、エンプティ・チェアには他者や自分の問題自体が座っていると仮定して対話を行う。

また、過去にやり遂げることができなかった、心残りの行動や感情的行為を、「未完の行為」と呼んでいる。

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