第26回問06~問10の解き方

第26回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問6.キャリアに関する理論

【C】ハックマンについては、2級では2度登場したことがあり(2級第27回問42級第30回問3)、2級の問題を通じて理解を深めていれば対応はできますが、初見では正解できなくてもやむを得ないでしょう。詳しい説明は、木村先生の著書にあります。

正答:4(自律性)

ハックマンとオルダムの職務特性理論のまとめ

職務の中核的次元には次の5つがあるとしている。

①スキルの多様性、②課業の主体性、③課業の重要性、④自律性、⑤フィードバック

課業はタスク(やるべき仕事、作業)のことである。
①~③は仕事の「有意味感」をもたらし、④は成果に対する「責任」、⑤が仕事の「把握感」をもたらすとしている。

そして、このような心理状態(有意味感、責任、把握感)が職務満足や仕事の動機づけ、仕事の達成感に結びつくとした。【木村先生P226】

問7.キャリアに関する理論

【A】スーパーのキャリア発達理論に関する出題です。表現はオリジナルなものが多いため、意味をよく考え判断しましょう。

正答:2

1.○:キャリア発達の過程は、職業を通して自己概念を実現するプロセスである、とスーパーは捉えている。

なお、職業的自己概念は、「教師」などの職業名で自己概念を表現する「職業的語り」と、「教えることが好き」などの「心理的語り」の両面から形成される。【渡辺先生P37】

2.×:「スーパーの発達的アプローチに関する14の命題」に根拠を見出せる。キャリア・パターンには、親の社会経済的レベルや本人の知的能力の影響はある。

キャリア・パターンの性質は、各個人の親の社会経済的レベル、本人の知的能力、教育レベル、スキル、パーソナリティの特徴(欲求、価値、興味、自己概念)、キャリア成熟、および個人に与えられた機会によって決定される。【渡辺先生P53】

3.○:職業適合性を能力とパーソナリティに分け、さらに能力は、適性と技量に、パーソナリティは、適応、価値、興味、態度に分類することで、個人と職業との関係をダイナミックに説明している。【渡辺先生P40】

4.○:ライフ・キャリア・レインボーは、キャリアを役割と時間軸の2次元で捉える。【ジルP19】

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査

当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

問8.カウンセリングに関する理論

【A】ジェラットの前期理論と呼ばれる合理的な意思決定理論(連続的意思決定システム)からの出題です。出典はジル資料に見出すことができ、説明もわかりやすいため、一読しましょう。

正答:2

1.×:ジェラットの意思決定モデルは、予期システム、価値(評価)システム、基準(決定)システムの三段階からなる。【ジルP29】

2.○:選択可能な行動とその結果の予想を行う。自分の客観的な評価と選択肢がマッチするかを予測する。【ジルP29】

3.×:これは基準(決定)システムの内容である。【ジルP29】

4.×:これは価値(評価)システムの内容である。【ジルP29】

問9.中高年期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

【B】岡本祐子の発達モデルに関する出題は2回目。消去法で1と2は判断したいところです。4はスーパーの「キャリア成熟」が意味するものを理解しておきましょう。

正答:3

1.×:エリクソンが個体発達分化の図式で示した、老年期の発達課題は、「統合性」対「絶望」である。「世代性」が課題となるのは、老年期の手前の成人期である。【岡田先生P80】

2.×:レビンソンは人生を四季にたとえ、成人前期から中年期への移行期を「人生半ばの過渡期」と呼び、①若さと老い、②破壊と創造、③男らしさと女らしさ、④愛着と分離の4つの両極性の解決が個性化の主要課題であるとした。【岡田先生P78】

なお、「自らの限界を受容すること」、「獲得した地位や利益を保持すること」などが主要な課題であるとしたのは、スーパーの職業的発達段階における「維持段階」である。【渡辺先生P47】

3.○:岡本祐子は「岐路としての中年期」に焦点を当て、アイデンティティ危機における心理的変化の特徴から、中年期の「アイデンティティ再体制化のプロセス」を明らかにした。【岡田先生P82】

アイデンティティ再体制化のプロセスは、自己のあり方が根底から問い直されるような危機期における、「危機→再体制化→再生」の心的変化のプロセスであり、アイデンティティ発達のきっかけと考えられている。【岡田先生P83】

なお、岡本祐子はアイデンティティのラセン式発達モデルを提唱しているが、これは第21回問29で出題されている。

4.×:スーパーは思春期におけるキャリア発達の中心的プロセスが成熟であるとして「キャリア成熟」の概念を見出した。【岡田先生P51】

成熟というと、中年期、高齢期などのベテラン、熟練の印象を持ってしまいますが、スーパーの「キャリア成熟」は、その時々の発達段階に対処できる準備(レディネス:具体的には知識や経験)があることを示していると捉えています。【渡辺先生P53を参考】

キャリア成熟は、各段階で度合いが深まるものと捉えていますが、成人期(確立段階)以降は、キャリアアダプタビリティ(適応力)の重要性が高まります。【渡辺先生P48を参考】

問10.人生の転機の知識

【A】ブリッジスの転機の捉え方は、「終わり」から始まり、「中立圏(ニュートラルゾーン)」を経て、「始まり」があります。

正答:3

1.○:すべてのトランジションは「終わり」から始まる。新しいものを手に入れる前に、古いものから離れなければならない。それは外的にも内的にも言えることである。【岡田先生P87】

2.○:終わり(終焉)の内容として適切である。岡田先生の著書からの出題であるが、他の「象徴的な死」として、その人の世界がもはや現実でないとの覚醒、方向感覚の喪失をあげている。【岡田先生P86】

3.×:中立圏とは、古い生き方と新しい生き方の間の空自地帯のことであり、一時的な喪失状態に耐える時期である。【岡田先生P87】

4.○:開始とは、社会的に見れば、離脱状態から帰還し、そこで得られた洞察や考えを形にしたり、行動に移したりすることを意味する。【岡田先生P87】

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