第26回問21〜問25の解き方

第26回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問21.労働市場の知識

【B】令和5年版労働経済の分析から3問目の出題です。難しい用語が続出しますが、内容理解に努め、賃金がこれまでに上昇してこなかった理由を確認しましょう。

 令和5年版労働経済の分析

正答:4

1.×:企業が稼ぐ付加価値額は長期的に増加傾向にあり、特に2012年度以降、2018年度まで一貫して増加している。それは企業の内部留保の積み上げに繋がっているが、賃金の増加に繋がっていない。【P101】

付加価値額は、企業の売上高から、商品の仕入原価から主に構成される、売上原価を差し引いた売上総利益に近いものであり、人件費や販売費や一般管理費を差し引く前の会社の利益の源泉である。

2.×:市場が集中的になると企業の交渉力が強くなり、賃金に対して下押し圧力が生じる。

一方、労働組合加入率が高まると労働者の交渉力が強くなり、賃金に対して底上げ圧力が生じることが考えられる。【P104】

3.×:生え抜き正社員の賃金プロファイルを学歴・企業規模別にみると、どの層でもフラット化しているが、特に大企業の大卒等雇用者においてフラット化が顕著に確認される。【P115】

なお、賃金プロファイルとは、労働者の年齢と賃金の組み合わせのことである。

4.○:希望する労働条件が多様化し、求職者が賃金よりもむしろ労働条件を重視するようになると、相対的に賃金の重要度が低下し、その結果として賃金に対して下押し圧力が生じている可能性が考えられる。【P121】

問22.労働市場の知識

【B】こちらは初出の資料からの出題でしたが、第26回みん合☆総仕上げ模試(問3)で取り上げていましたので、お役に立てました。

 新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画 2023 改訂版

正答:1

三位一体の労働市場改革

1.リ・スキリングによる能力向上支援
2.個々の企業の実態に応じた職務給の導入
3.成長分野への労働移動の円滑化

また、労働市場改革を進めるにあたってのキャリアコンサルタントの役割や体制整備が言及されている。【P4】

なお、「一億総活躍社会の実現」は、平成29年頃からの安倍内閣が掲げた「人生100年時代構想」の一つのスローガンである。【首相官邸

問23.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【A】職業能力開発推進者に関する問題は、これまでにも度々出題されており、第25回に続いての出題でした。

正答:4(BとD)

A.×:職業能力開発推進者の選任は、事業主の法的義務ではなく努力義務である。

B.○:厚生労働省の資料には「職業能力開発推進者には、専門的な知識・技術をもつキャリアコンサルタント等から選任しましょう!」とある。【厚生労働省:PDF

C.×:事業所ごとの「事業所単独選任」が基本だが、「本社選任」もしくは「共同選任」とすることもできる。【厚生労働省(P3):PDF

D.○:従業者の職業能力開発への取組を社内で積極的に推進するキーパーソンが「職業能力開発推進者」である。【厚生労働省

ヨコ解きリンク

「職業能力開発推進者」からの最近の出題(大問)は次のとおりです。

第16回問2 第18回問12 第25回問16 

問24.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【C】3と4の判断が難しいため、B寄りのCとして位置づけました。なお、出張中の宿泊先ホテル内での怪我(労災対象になる)については、第26回対策総仕上げ模試(問24)で取り上げており、惜しかったです。

正答:4

1.×:労災保険における労働者は、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、 労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係なく適用される。【厚生労働省

2.×:住居と就業の場所との間の移動は業務起因性のある「通勤」に該当し、その途中で怪我などをした場合には、通勤災害として認められる。【東京労働局

しかし、スーパーマーケットに立ち寄ることは業務起因性がないため、買い物の際の転倒事故は、通勤災害として適用されない。【参考サイト:人事のミカタ

3.×:労災保険給付を受給している場合にも、労災保険給付でカバーされない損害などについて、会社に対し民事損害賠償請求を提訴できる。

なお、損害賠償金または保険金と労災保険の給付は、支給調整が行われる。【大阪労働局

4.○:申請された経路とは異なる経路や、異なる交通手段での通勤中に交通事故等の場合には、通勤自体が「合理的な経路及び方法」で行われていたのであれば、通勤災害として労災保険が適用される。

ただし、労災保険とは関係ないが、就業規則で通勤経路違反に関する規定や罰則を設けている企業もある。【参考サイト:人事のミカタ

問25.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【A】選択肢1、2、3は積極的に判断したい内容です。

正答:4

1.×:妊娠中または出産後の症状等に対応する職務軽減措置は義務である(男女雇用機会均等法第13条)。【厚生労働省

2.×:妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いは禁止される(男女雇用機会均等法第9条)。

そして、妊娠中・出産後1年以内の解雇は「妊娠・出産・産前産後休業を取得したこと等による解雇でないこと」を事業主が証明しない限り無効となる。【厚生労働省P29:PDF

3.×:合理的な理由がないにも関わらず、労働者の身長、体重等を要件とすることは、間接差別として禁止される(男女雇用機会均等法第7条)。

4.○:退職または正社員をパートタイム労働者等の非正規社員とするような労働契約内容の変更の強要を行うことや、降格させること、減給をすることなどがある。【厚生労働省P30:PDF

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