第27回問01~問05の解き方

第27回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。なお、過去の類題の過去問解説のリンク先の内容は、直近3回分以外はみん合☆プラス会員限定公開です。

解説内のページ数の表記(【P××】)は、出典の官公庁資料、出典と思われる専門書などの参照ページ数を表しています。

問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

【B】高年齢者雇用は中盤の「個人の多様な特性の知識」から出題されることが多く、問1では珍しいケースです。毎回言えることですが、問1で出鼻をくじかれないようにしましょう。

選択肢2、3の積極的な判断が難しい問題でした。60歳以上の常用労働者の推移のグラフは目に焼き付けておきましょう。

 令和5年高年齢者雇用状況等報告

正答:4

1.×:65歳以上定年企業(定年制の廃止企業を含む)は30.8%である。【P2】

2.×:70歳までの就業確保措置を実施済みと報告した企業の割合は、全企業の29.7%、301人以上の企業は22.8%、21~300人の企業は30.3%である。【P5】

資料には考察がないが、人手不足の解消や、技能継承の点で、高年齢者の就業確保は中小企業において、より喫緊の課題であると思われる。

3.×:「よりも」には注意する。

逆である。「希望者全員を対象とする継続雇用制度」は84.6%であり、「経過措置に基づく基準対象者とする継続雇用制度」は15.4%である。【P3】

4.○:60歳以上の常用労働者の推移は、まさに右肩上がりに上昇している。【P8】

令和5年高年齢者雇用状況等報告P8より転載

問2.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

【C】前回、前々回に続き、冒頭の時事問題は2問体制でした。

この調査からの出題は初めてであることに加え、内容的にも、個人差のある感覚的なものに頼らざるを得ない点で、初見では正解できなくてもやむを得ない難問ですが、そう言われれば、と思える内容ですから、概要は確認しておきましょう。

 第11 回 21世紀成年者縦断調査(平成 24 年成年者)の概況

正答:1

 1.○:夫の休日の「家事・育児時間あり」では7割以上で第2子以降が生まれており(なしでは4割ほど)、家事・育児時間が長いほど子どもが生まれる割合が高くなる傾向がある。【P5】

 2.×:積極的な子ども観は平成14年成年者の方が高い傾向となり、消極的な子ども観は平成24年成年者の方が高い傾向となっている。【P6】

3.×:女性の方が比率が高い。消極的な子ども観の「仕事が十分にできなくなる」の割合を男女で比較すると、男性7.8%に対して、女性23.5%である。【P6】

4.×:妻の出産後の就業状況をみると、正規・非正規ともに「離職」の割合が、平成14年成年者と比べ低くなっている。「離職」は正規が20.6%から6.3%へ、非正規は60.4%が41.0%へ減少している。【P7】

問3.キャリアコンサルティングの役割の理解

【A】今年も6月公表→11月初出題となった最新の(令和5年度)能力開発基本調査からの出題です。積極的に判断しづらい選択肢もありましたが、正答選択肢については、第27回対策総仕上げ模試(問11)が的中しました。

 令和5年度能力開発基本調査

正答:3

1.×:「自己啓発する労働者が増えた」は正社員、正社員以外ともに2位である。【P27】

2.×:「その他」「不明」を除いて最も低かったのは、「メンタルヘルス上の理由による長期休業等が減った(または職場復帰が進んだ)」である。【P27】

3.○:「キャリアコンサルティングを行った効果」の1位は正社員、正社員以外ともに「労働者の仕事への意欲が高まった」である。【P27】

4.×:正社員、正社員以外ともに「メンタルヘルス上の理由による長期休業等が減った(または職場復帰が進んだ)」が最も少ない【P27】

問4.キャリアに関する理論

【B】サビカスの大問(選択肢4つ分の問題)は第22回以来でしたが、出典は渡辺先生ではなく、仁村英幸先生の「個と組織を生かすキャリア発達の心理学」からの出題でした。ライフテーマの理解を問う、やや難しい問題でした。

直接の出題の出典となったことは少ないものの、キャリア発達、トランジション、動機づけ理論やリーダーシップからアセスメントまで、バランスよく、幅広く学べる良書です。

個と組織を生かすキャリア発達の心理学

正答:3

1.×:これは、キャリアアダプタビリティの4次元(関心、統制、好奇心、自信)を表している。【二村先生P50】

2.×:自分自身に関する意思や行動に関する自己語りは、キャリアストーリーを表している。【二村先生P50】

3.○:ライフテーマは、キャリア・トランジションの中で明確になる。

なぜその仕事を選択し、どのような意義を見出しているかなど、個人が重視していることをライフテーマとしている。【二村先生P50】

4.×:個別具体的なキャリアストーリーの中に存在する一貫したまとまりの中から、ライフテーマが見出されていく。【二村先生P50】

問5.キャリアに関する理論

【A】正答選択肢の2については、第21回問6でも問われており、スーパーの基本的な職業の捉え方として、押さえておきたいところです。他の選択肢は即答が難しいものが多いですが、木村先生の著書に根拠を見いだせました。

正答:2

1.×:これは、個人と環境の調和的な相互作用に着目する、ホランドの理論である。【木村先生P67】

キャリアコンサルティング理論と実際

木村先生の著書「キャリアコンサルティング理論と実際」は、学科試験出典ナンバー1のバイブルですので机上にぜひご用意のうえ、出題箇所を参照しましょう。参照ページ数は6訂版のページ数です。

2.○:これは、スーパーの職業的発達理論の基本的な考え方である。【木村先生P71】

3.×:これは、コクランのナラティブアプローチの内容である。【木村先生P79】

4.×:これは、サビカスのキャリア・アダプタビリティの内容である。【木村先生P82】

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