第27回問06~問10の解き方
第27回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問6.キャリアに関する理論
【C】クランボルツについて、これまでに出題されていない内容からの出題でした。直接の出典は下で紹介しているキャリア・カウンセリングエッセンシャルズ400と思われますが、他の主要参考書に掲載されているものは、それらを紹介しています。
正答:4
1.×:「職業選択行動は、学習の結果であって過去に起こった出来事と将来起きるかもしれない出来事を結びつけて解釈した結果である」の内容は適切だが、それは自己決定理論の立場からではなく、学習経験をはじめとした社会的学習理論の立場から捉えている。【木村先生P89】
2.×:これは自己効力感理論ではなく、プランドハプンスタンス理論である。【木村先生P90】なお、自己効力感の理論は、バンデューラが提唱した。【木村先生P91】
3.×:偶然の出来事を好機として活かすための5つのスキルには、好奇心、持続性、柔軟性、楽観性、冒険心がある。【ジルP47】
覚え方:コージくん、柔軟に楽しく冒険♪
職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査
当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料で、キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。
4.○:あまり知られていないフレーズであり、これまで未出題の内容だが、「幸せで成功した人は、計画に費やす時間を減らし、行動に費やす時間を増やしている事実を踏まえ、完璧主義を避け、パフォーマンスが悪くても早く行動を起こすこと」を勧めている。【参考:キャリアカウンセリングエッセンシャルズ400:P95】
キャリアカウンセリングエッセンシャルズ400は、1項目1ページで人物やキーワードを解説しているキャリアカウンセリングの事典的な良書です。試験対策上マストではありませんが、知識の確認、習得に役立つ一冊です。
問7.キャリアに関する理論
【A】超頻出のシュロスバーグの4Sほか、理論家の基本的な内容が問われています。しっかり獲得しましょう。なお、第19回問5に非常によく似た問題でした。
正答:3
1.×:個人の行動傾向を6タイプのモデルとして類型化し、VPI などの進路支援ツールの開発につなげたのは、ホランドである。【渡辺先生P63】
キャリアの理論に関する出題は、渡辺三枝子先生の「新版キャリアの心理学」が出典と思われる出題が多く、木村先生の著書とともに机上に用意しておきたい参考書です。なお、2018年7月に出版された第2版のページ数を表記しています。
2.×:キャリア・アンカーは仕事を経験してから、少しずつ明らかになっていくものであるため、学生への進路支援において活用するのは適切ではない。【渡辺先生P162】第24回問6(選択肢3)でも似た観点からの出題がある。
3.○:シュロスバーグの4Sの内容として適切である。
4.×:「連続的意思決定プロセス」を提唱し、キャリアにおける意思決定を進行させるためのガイダンスの枠組みを示したのは、ジェラットである。【渡辺先生P116】
なお、ジェラットは左脳的な「連続的意思決定プロセス」に加えて、後に後期理論と呼ばれる右脳的な「積極的不確実性」を提唱している。【渡辺先生P119】
問8.キャリアに関する理論
【A】間違い探しは容易な問題でしたが、第22回問5の類題で、Bはそのままの内容でした。
正答:3(BとD)
A.×:スーパーのライフ・ステージ(マキシサイクル)は、成長期、探索期、確立期、維持期、衰退(下降)期の5つの段階であり、職業的発達段階と呼ばれる。【渡辺先生P44】
B.○:人生で演じる役割の重要性は、「情意的側面(思い入れの程度)」と「行動的側面(時間やエネルギーの投入の程度)」及び「認知的側面」の3要素によって多重的に決定されると考えられる。【渡辺先生P48】
C.×:成人期を四季にたとえた「ライフサイクル」に焦点を当てたのは、レビンソンである。【岡田先生P78】
岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストとまでは言えませんが、キャリア理論全般についても、体系的にまとめられている良書です。
D.○:職業的適合性の内容として適切である。能力は適性と技量から構成され、パーソナリティは適応、価値観、興味、態度から構成される。【渡辺先生P40】
問9.キャリアに関する理論
【A】ホールの大問での出題は久しぶりの第19回問3以来でした。内容的には「伝統的キャリアとプロティアン・キャリアの対比」の問題で、第12回問8の類題でした。
プロティアン・キャリアは組織によってではなく、個人によって形成されるという視点で検討しましょう。
正答:3
1.○:プロティアン・キャリアでは、「地位、給料」より「心理的成功」を重視する。【渡辺先生P173】
2.○:プロティアン・キャリアでは、「私は何をすべきか」よりも、「自分は何がしたいか」を重視する。【渡辺先生P173】
3.×:逆である。「組織で生き残ることができるか」よりも、「市場価値」を重視する。【渡辺先生P173】
4.○:プロティアン・キャリアでは、「他者からの尊敬」よりも、「自尊心」を重視する。
問10.キャリアに関する理論
【A】人が生きている3つの領域に関する出題は過去にも繰り返し出題されており、しっかり獲得したい問題です(第13回問7、第16回問5、第20回問6)。
正答:1
シャインは、「生物学的・社会的」「家族関係」「仕事・キャリア」の3つのサイクルが相互に影響し合って、人が存在しているとした。【渡辺先生P153】