第27回問16~問20の解き方
第27回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問16.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【A】御三家資料の一つ、第11次職業能力開発基本計画からの出題です。今後の方向性の点から不適切な選択肢をピックアップすることは比較的容易でした。
正答:2
1.○:企業における人材育成を支援するとともに、労働者の継続的な学びと自律的・主体的なキャリアの形成を支援する人材育成戦略として本計画を位置付け、職業能力開発施策を実施していく。【5スライド目】
2.×:日本型雇用慣行の維持や、企業主導のキャリア形成の方向性ではない。
中長期的な日本型の雇用慣行の変化の可能性や、労働者が自らキャリアを選択していく機会が増加することを視野に、(中略)労働者一人ひとりが転職や再就職も含めた希望するライフスタイルの実現を図ることが求められる。【19スライド目】
3.○:技能検定・職業能力評価や日本版O-NETの推進が明記されている。【25スライド目】
4.○:ニート、高校中退者等の支援として明記されている。【33スライド目】
問17.企業におけるキャリア形成支援の知識
【B】教育訓練給付金の電子申請が出題されるなど、やや細かい内容が問われています。厚生労働省のページに根拠があります。また、2024年10月の改正内容は、2025年4月以降の試験での出題可能性があります。
正答:1
1.○:2024年2月1日以降、教育訓練給付金の「支給申請」と「受給資格確認」は、電子申請が可能になった。
2.×:特に労働者の中長期的キャリア形成に資する教育訓練が対象となるのは、専門実践教育訓練である。
3.×:一般教育訓練は、受講費用の20%(上限10万円)が訓練修了後に支給される。
4.×:特に労働者の速やかな再就職及び早期のキャリア形成に資する教育訓練が対象となるのは、特定一般教育訓練である。
教育訓練給付金のうち、特定一般教育訓練及び専門実践教育訓練の給付率が、2024年10月より引き上げられました。法令基準日の点から出題は2025年4月以降と予測をしていますが、拡充の内容はこちらからご確認ください。
問18.企業におけるキャリア形成支援の知識
【B】高度プロフェッショナル制度の大問での出題は、第19回問17以来でした。
正答:2
1.×:過半数ではなく、労使委員会の委員の5分の4以上の多数による決議である。【P3】
2.○:適用業務は、労働基準法施行規則(厚生労働省令)により限定されている。【P25】
3.×:基準年間平均給与額の3倍の額を相当程度上回る⽔準として厚⽣労働省令で定める額以上であることとされており、1,075万円以上であることが規定されている。【P10】
4.×:対象労働者の同意を書面で得る必要がある。【P18】
問19.企業におけるキャリア形成支援の知識
【B】SL理論(状況対応型リーダーシップ理論)は、これまでには第11回問20(選択肢1)で出題があるのみです。
ハーシーとブランチャードの人名に驚いた方も多いと思いますが、内容を考え、辻褄が合うものを落ち着いて検討しましょう。SL理論の特徴をまとめます。
SL理論では、部下の成熟度とそれに適合するリーダーシップを4つにわけています。
部下の成熟度(状況) | 適したリーダーシップのタイプ | |
①能力は不十分で、やるべきこともわからない | 教示的(型) | |
②意欲はあるが、能力がまだ不十分 | 説得的(型) | |
③能力はあるが、まだ自信がない | 参加的(型) | |
④能力もモチベーションも高い | 委任的(型) |
SL理論では、リーダーシップを「援助的行動」と「指示的行動」の2つの軸で捉える特徴がありますが、傾聴や支援といった「援助的行動」の度合いは②や③で高くなり、指導や監督といった指示的行動の度合いは、①や②で高くなります。
正答:4
1.×:能力もやる気もある部下に対しては、「説得的」よりも、権限を委譲し任せる「委任的」なリーダーシップスタイルが適している。
2.×:能力もやる気もない部下に対しては、「委任的」よりも、細かな指示を与える「教示的」なリーダーシップスタイルが適している。
3.×:やる気はあるが能力が低い部下に対しては、「教示的」よりも説明しながら疑問に答える「説得的」なリーダーシップが適している。
4.○:能力は高いがやる気がやや低い部下に対しては、仕事をある程度任せつつ、必要に応じて支援を行う「参加的」の支援(支持)的なリーダーシップが適している。
問20.労働市場の知識
【A】令和5年版労働経済の分析からの出題は、今回は問22と合わせて2問でした。こちらは第一部の雇用指標からの出題です。いずれもポイントを押さえておきたい内容です。雇用指標の趨勢をつかんでおきましょう。
正答:1
1.○:正規雇用労働者の割合は長期的に上昇傾向で推移しており、男性は「60~64歳」、女性は「25~34歳」「35~44歳」で顕著である。【P23】
2.×:2013年以降、「不本意非正規雇用労働者数」と「不本意非正規雇用労働者比率」は、ともに減少傾向で推移している。【P26】
3.×:2022年まで19年連続で過去最高を更新しており、2020年も減少傾向は見られない。【P29】
なお、2023年においても20年連続の過去最高を更新している。【令和6年版労働経済の分析(P29):PDF】
4.×:2007年に外国人雇用状況の届出が義務化されて以降の過去最高を10年連続で更新した。2020年以降、伸び率が鈍化したものの、コロナ禍においても毎年増加している。【P31】