第27回問21〜問25の解き方

第27回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問21.労働市場の知識

【B】第6回問23と同様の問題(「よい」と「良い」の違いのみ)でしたが、調査の種類については定期的に出題があります。

似たような名称のものあり、インプットしづらいものもありますが、調査結果を一度見ておくと印象づけに繋がります。

正答:4

1.○:労働力調査は、我が国における就業及び不就業の状態を明らかにするための調査で、完全失業率がわかる。調査は毎月、総務省が行っている。【総務省統計局

2.○:一般職業紹介状況は、公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況(新規学卒者を除く)を集計し、毎月の有効求人倍率がわかる。調査は毎月、厚生労働省が行っている。【厚生労働省

3.○:賃金構造基本統計調査は、主要産業に雇用される労働者について、その賃金の実態を労働者の雇用形態、就業形態、職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数別等に明らかにするものであり、年に1回、厚生労働省が行っている。【厚生労働省

4.×:産業別の所定外労働時間を含む総実労働時間をみるには、毎月勤労統計調査を調べるとよい。産業別の月間現金給与額などもわかる。【厚生労働省

なお、就労条件総合調査は、主要産業における企業の労働時間制度、定年制度、賃金制度等について総合的に調査し、我が国の民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的として、毎年、厚生労働省が実施している。【厚生労働省

問22.労働市場の知識

【A】問20に続き、頻出資料御三家の一つ「労働経済の分析」からの出題です。問20は第1部からの出題でしたが、こちらは第2部からの出題です。労働生産性や賃金のこれまでの趨勢についてよく確認しておきましょう。

 令和5年版労働経済の分析

正答:3

1.○:資料のP79の図表を見ると一目瞭然だが、1970年台から1990年頃までは、名目労働生産性や名目賃金は右肩上がりに上昇している。【P79】

2.○:名目労働生産性や名目賃金については、1990 年代半ば頃から伸びは鈍化し、ほぼ横ばいと言っても良い状況である。【P79】

3.×:OECD諸国について、2016年時点の開業率と、2016~2019 年の生産性の上昇率の関係をみると、開業率が高い国ほど、生産性の上昇率が高いという正の相関関係が確認できる。また、開業率と賃金増加率にも正の相関関係がみられる。【P168】

4.○:賃上げを実施したことによる効果を確認したところ、約4割が「既存の社員のやる気が高まった」と回答しているほか、約2割が「社員の離職率が低下した」と回答しており、賃上げは雇用者のモチベーションを高め、人材の定着を促す効果があるとしている。【P134】

令和5年版労働経済の分析はこれで対策

【楽習ノートプラス】

令和5年版労働経済の分析第Ⅰ部ダイジェスト

令和5年版労働経済の分析第Ⅱ部ダイジェスト

【合格問題集第2版】

P128:問題6

問23.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【C】職業能力開発促進法における労働者の定義、範囲については過去に出題はあるものの、このように各法律横断的に労働者の定義が問われたのは初めてです。各法律の目的や適用内容に照らして理解しておきましょう。

正答:3

1.○:労働基準法第9条では、「労働者」を「事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者をいう」と規定している。【厚生労働省

なお、この「労働者性」は、以下の2つの基準で判断される。

①労働が他人の指揮監督下において行われているかどうか、すなわち、他人に従属して労務を提供しているかどうか
②報酬が、「指揮監督下における労働」の対価として支払われているかどうか

よって、採用選考中の者は含まれない。

2.○:労働組合法では、「労働者」とは、「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と規定している。【労働組合法第3条

選択肢1の労働基準法は、「事業又は事務所に使用される者」が要件だが、労働組合法にはその要件はない。

また、解雇や退職後に労働組合を通じて、所属していた企業と交渉することもありうる。【参考サイト(PDF):厚生労働省

よって、失業者も含まれる。なお、この内容は、第23回問23で出題されている。

3.×:職業能力開発促進法では、「労働者」とは、「事業主に雇用される者及び求職者」をいう。【職業能力開発促進法第二条

例えば、離職者を対象とした、公共職業訓練の離職者訓練は、職業能力開発促進法に基づいて職業訓練行われている。

よって、求職者も含まれる。

4.○:労働契約法では、「労働者」とは、「使用者に使用されて労働し、賃金を支払われる者」をいう。

この定義は労働基準法に似ているが、休職中は労働者の労働義務を免除しているものの、労働契約自体はそのまま維持されている。

よって、休職中の労働者も含まれる。

問24.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【B】在籍型出向や転籍に関して、個別同意が必要かどうかが、選択肢1、2、3の論点となりました。出向は個別同意が法的義務ではないものの、トラブルを防ぐため、同意を得るのが望ましいと押さえておきましょう。

正答:3

1.○:在籍型出向は、労働者が自己の雇用先の企業に在籍のまま、他の企業において相当長期間にわたって出向先企業の業務に従事することである。

在籍型出向を命じるには、原則として労働者の「個別的な同意を得る」か、または「出向先での賃金・労働条件、出向の期間、復帰の仕方などが就業規則等によって労働者の利益に配慮して整備されている」 必要がある。【出向の進め方:産業雇用安定センター(P5):PDF

なお、在籍型出向のマッチング支援は、「産業雇用安定センター」などが行っている。

2.○:転籍は、移籍とも呼ばれ、企業との現在の労働関係を終了させて、新たに他企業との間に労働契約を成立させるため、個別的、具体的な本人の同意が必要である。【神奈川県かながわ労働センター(P1):PDF

3.×:出向者は、元々出向元の従業員であり、出向元の命令により一時的に出向先で就労しているため、出向者の同意を得ずに出向元は復帰させることができる。【参考サイト:四谷麹町法律事務所

4.○:労働安全衛生法の責任の主体は、原則として現実的に労務の給付を受けている出向先が負う。【出向の進め方:産業雇用安定センター(P17):PDF

問25.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識

【C】法定休日に時間外割増賃金が無いことを理解しておけば、正答は導き出すことが出来るものの、60時間超の場合の割増率や代替休暇は初めての出題ですので、知らなかった内容があればインプットしておきましょう。

正答:1

1.×:法定休日には法定労働時間の概念が存在しないため、時間外労働に対する割増賃金は発生しない。

なお、法定休日の労働に対する割増賃金は、通常の賃金の3割5分以上である。また、法定休日の労働が深夜に及んだ場合には、深夜労働の割増賃金(2割5分以上)が併給される。【厚生労働省

2.○:月60時間を超える法定時間外労働に対しては、50%以上の割増賃金を支払わなければならない。【厚生労働省:PDF

3.○:月60時間を超える法定時間外労働を行った労働者の健康を確保するため、引き上げ分の割増賃金の支払いの代わりに有給の休暇(代替休暇)を付与することができる。【厚生労働省:PDF

4.○:家族手当や通勤手当、住宅手当などは、労働とは直接的な関係が薄く、個人的事情に基づいて支給されるため、割増賃金の基礎となる賃金から除外できる。【厚生労働省:PDF

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