【技能検定】第33回問06~問10の解き方

第33回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問6.キャリアに関する理論

【A】理論家とその特徴、キーワードが問われた平易な良問です。

正答:1

1.×:不確実性を積極的に受け入れることの重要性を示したのは、ジェラットの後期の理論である。【渡辺先生P112】

なお、ギンズバーグは職業選択の過程(空想期、試行期、現実期)を最初に理論化した。【木村先生P70】

2.○:生活構造とは、ある時期におけるその人の生活の基本的パターンないし計画のことである。 レビンソンは成人の心理社会的発達は、生活構造の安定期(築かれる時期)と過渡期(変わる時期)が交互に現れ進んでいくと考えた。【岡田先生P78】

なお、レビンソンは、成人の発達は、児童期と青年期、成人前期、中年期、老年期の4つの発達期(人生の四季)を経て徐々に進むと考えた。

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほぼない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストとまでは言えませんが、キャリア理論全般についても、体系的にまとめられている良書です。

3.○:エリクソンは、人の生涯発達を心の中核部分の積み重ねの変化として捉え、心理社会的な自我の性質を8つの段階で表した。【岡田先生P80】

覚え方:エリクソンは「エイト」段階とおさえましょう。

4.○:スーパーはビューラーの生活段階、ハヴィガーストの発達課題、ミラーとフォームの仕事経歴からみた人生段階、ギンズバーグの職業選択の発達理論などそれまでの発達理論を整理した。【木村先生P71】

問7.キャリアに関する理論

【A】ホランドの6類型(RIASEC)の内容が問われており、オーソドックスに見えますが、このような形式で各領域の内容が問われるのは実は珍しいケースでした。

正答:4

1.×:現実的職業領域(Realistic)は、機械や物体を対象とする具体的で実際的な仕事や活動の領域である。【木村先生P68】

2.×:企業的職業領域(Enterprising)は、企画・立案したり、組織の運営や経営等の仕事や活動の領域である。【木村先生P68】

3.×:社会的職業領域(Social)は、人と接したり、人に奉仕したりする仕事や活動の領域である。【木村先生P68】

4.○:慣習的職業領域(Conventional)は、定まった方式や規則を重視し、それに従って行う仕事や活動の領域であり、例えば一般事務員や経理担当者などの職業である。【木村先生P68】

他には以下がある。
・研究的職業領域(Investigative)は、研究や調査のような研究的、探索的な仕事や活動の領域である。
・芸術的職業領域(Artistic)は、音楽、美術、文学等を対象とする仕事や活動の領域である。

問8.カウンセリングに関する理論

【B】精神分析に関して、構造論や劣等感、転移など、これまでと比べると、やや深い内容が問われており、C寄りのBランクと位置づけています。エス、自我、超自我の働きはよく確認しておきましょう。

正答:1

1.○:フロイトは心の構造を①自我(ego)、②イド(エス)、③超自我(super ego)の3 層からなる「心的装置」として捉えている。

自我は、「現実原則」で動き、外界からの要請を受けて、イド(エス)や超自我に迫られながら、その間の調整機能を果たす。【ジルP102】

職業相談場面におけるキャリア理論及びカウンセリング理論の活用・普及に関する文献調査は、当サイトでは通称、ジルや、ジル資料と呼んでいますが、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT:ジルピーティー)で発行している資料です。

キャリア理論とカウンセリング理論がわかりやすくまとめられており、おすすめです。なお、PDFファイルは無料でダウンロードでき、移動時間等の学習に役立ちます。

・構造論(心の構造とその働き)

自我(ego) 意識的な心の動き 現実原則
イド(エス) 無意識な本能欲求 快楽原則
超自我 自我に対する検閲、理想像 道徳原則

テキスト&問題集第3版P64参照

2.×:昇華しているのではなく、抑圧している。

私たちの意識が存在を認めたくない衝動や願望などは、無意識のなかに閉じ込められる。これが「抑圧」という防衛機制であり、これにより、心の安定を保っている。【ジルP102】

また、怒りや悲しみなどのネガティブな衝動を、社会的に認められる活動や目標にエネルギーを傾ける防衛機制のことは「昇華」という。例えば、ボクサーや芸術家などがあげられる。【ジルP103】

3.×:エディプスコンプレックスは、主に3歳から5、6歳頃の男児に現れる心理状態とされ、母親に対して性愛的な好意の感情を抱き、父親に敵意を持つ無意識的な心理状態をいう。【参考サイト:心理オフィスKなど】

4.×:転移は、クライエントが、別の特定の人物へ抱いている感情を、無意識にカウンセラーに向けることをいう。【参考サイト:心理学用語集など】

一方、逆転移は、カウンセラー側から相談者側へ無意識に自分の感情を向けてしまうことをいう。

問9.カウンセリングに関する理論

【A】アサーションについて、知らなかった、という方もいるかもしれませんが、それはないだろう、という不適切なものを除外しましょう。

「アサーション」は自己表現の権利であり、相手の立場や権利を侵害することなく、自分の意見や感情や権利を自らが表現することである。

自他を尊重することを「アサーティブ」という。
そして、自分の考えを表現しない、できないことを「ノンアサーティブ(非主張的)」といい、自分本位に他者を踏みにじるような言動をしてしまうことを、「アグレッシブ(攻撃的)」という。

ノンアサーティブ(非主張的)とアグレッシブ(攻撃的)では、相互の尊重や対等な関係には程遠い。

正答:3

1.×:アサーションは、対人場面で、正当な自己主張や自己表現ができるスキルである。【木村先生P121】

2.×:自尊感情を持つことは阻害要因ではなく、むしろ、正当な自己主張や自己表現を行うために必要なものである。

3.○:相手の立場や権利を侵害することなく、自分の意見や感情や権利を自らが表現することを重視している。

4.×:自分だけ、他人だけ、ではなく、自他を尊重する状態、関係を「アサーティブ」な状態、関係という。

これをやっておこう

テキスト&問題集第3版:P67 合格問題集第2版:P91、P98問題8

アサーションの大問は、国家試験第21回問10で出題があります。

問10.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識

【B】人材開発支援助成金の内容は自信を持って答えることは難しいものの、選択肢1、4の判断は容易でした。トライアル雇用の概要を確認しておきましょう。

正答:4

1.×:セルフ・キャリアドックは法律で義務づけられているものではない。

2.×:ほかに、教育訓練休暇等付与コース、建設労働者認定訓練コース、建設労働者技能実習コースがある。

令和6年度の人材開発支援助成金は次の6コースである。【厚生労働省

人材育成支援コース
教育訓練休暇等付与コース
人への投資促進コース
事業展開等リスキリング支援コース
建設労働者認定訓練コース
建設労働者技能実習コース 

3.×:キャリアアップ助成金は、「非正規雇用の労働者(有期雇用労働者等)」の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成するものである。【厚生労働省

同じ趣旨の問題が、直近の国家試験第27回問15(選択肢1)で出題されている。

4.○:職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を、無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用(トライアル雇用)を行う事業主に対して助成する。【厚生労働省

なお、雇い入れの条件には次の3つがある。

・ハローワーク等の紹介により雇い入れること
・原則「3か月」のトライアル雇用をすること
・1週間の所定労働時間が、通常の労働者の所定労働時間と同じである

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)に関する大問は国家試験第21回問42で出題されており、制度の内容が一通り確認できる良問である。

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