【第28回対策】問1~問10の解説
第28回対策「みん合☆総仕上げ模試」正答と解説
目次
問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解
正答:4
1.×:「くるみん」認定は次世代育成支援対策推進法に基づき「子育てサポート企業」としての認定である。女性活躍推進法に基づいて、女性の活躍に関する取組の実施状況が優良な企業が認定されるのは「えるぼし」である。【P242】
2.×:2023(令和5)年の15~24歳の完全失業率は4.1%、25~34歳は3.6%であり、全体の2.6%よりも高い傾向がある。【P245】
3.×:65歳までの「高年齢者雇用確保措置」は、21人以上規模企業の99.9%で、70歳までの「高年齢者就業確保措置」は21人以上規模企業の29.7%で実施済みである。【P244】
4.○:大卒者は97.3%、高卒者は98.0%でいずれも前年より改善している。【P245】
なお、この「就職率」は、就職希望者に占める就職決定者の割合であり、進学者や起業者(フリーランス含む)やフリーターを志向する人は含まない。これについては、文部科学省が定義の通知を行っている。【文部科学省】
問2.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解
正答:3
1.○:キャリアコンサルティングや求人紹介など、就職から職場定着まで一貫した支援を行っている。【厚生労働省】
2.○:特定求職者雇用開発助成金の「就職氷河期世代安定雇用実現コース」の内容である。【厚生労働省】
3.×:トライアル雇用は、原則3ヶ月である。【厚生労働省】
4.○:キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化や処遇改善などの取組を実施した事業主に対して助成する制度である。【厚生労働省】
問3.キャリアコンサルティングの役割の理解
正答:1
1.○:正規雇用労働者は12.9%、契約社員は12.3%、派遣社員は14.6%で大きな違いはなく、むしろ派遣社員の割合は高い。【P220】
これは派遣労働者に対して、本人が希望する場合に、キャリアコンサルティングの実施が2015年の法改正により義務付けられたことが影響している可能性がある。
2.×:過去にキャリアコンサルティングを受けた経験がある者の方が、転職回数が「0回」である者の割合は低く、「1回」以上である者の割合は高くなっている。【P223】
3.×:キャリアコンサルティング経験がある者の方が、異分野へのキャリアチェンジを積極的に行う傾向がある。
キャリアコンサルティングにより、自らの適性や能力がいかせる可能性を幅広く検討した結果、異分野へのキャリアチェンジをしやすくなっている可能性があると考えられる。【P224】
4.×:「企業外」や「公的機関」でキャリアコンサルティングを受けている場合には、「就職できた」「仕事を変わった・転職した」と答える者の割合が高い。【P227】
問4.キャリアに関する理論
正答:3
1.×:探索段階の次は、確立段階である。職業的発達段階(マキシサイクル)は、成長→探索→確立→維持→解放の順である。【渡辺先生P44】
2.×:暦年齢にゆるく関連した「移行期(Transition)」があるとした。【渡辺先生P45】なお、暦年齢とは生まれてからの暦の上での年齢のことである。
3.○:スーパーの理論の成り立ちとして適切である。
シャーロッテ・ビューラーは、「生涯発達心理学」の先駆者であり5つのライフステージに分けた。ハヴィガーストは発達段階における「発達課題」の概念を、ギンズバーグは「職業選択における発達段階」を初めて提唱した。【渡辺先生P42、木村先生P71】
4.×:制限妥協理論を提唱したのはゴッドフレッドソンである。スーパーは子供のキャリア発達の理論化は行っていない。【木村先生P75】
問5.キャリアに関する理論
正答:2
1.○:レオンらは、アジア系は集団主義的な世界観を持っているため、個人主義的なヨーロッパ系と違った形でキャリアの問題を認識するとした。【木村先生P94】
2.×:「文化的に適切なキャリアカウンセリング(Culturally Appropriate Career Counseling:CACC)」モデルを提唱したのは、フアドとビンガムである。
ブルースティンは多文化、異文化の視点ではなく、社会正義論の視点から、キャリア支援で最も重要な要因は「社会階層」であるとし、社会階層は「最もパーニシャス(pernicious:致命的、有害)」な影響を与えるとした。【木村先生P99】
3.○:アーサーは、可能な限りさまざまな文化のアイデンティティを知り、クライエントの文化に応じつつ、社会的に公平なキャリア支援を行うことを提唱した。【木村先生P95】
4.○:4つのイデオロギーとして、コンサバティブ(社会統制)、リベラル(非指示的)プログレッシブ(個人的変化)、ラディカル(社会変革)に分類した。
なお、ワッツは個人を対象とするのではなく社会に働きかけ、社会をより良いものにすることで問題を解決する、「ラディカル(社会変革)」を重視した。【木村先生P98】
問6.キャリアに関する理論
正答:4
1.○:ジェラットの前期の理論の内容として適切である。
職業選択は、職業に関する職業に関する意思決定の連鎖的なプロセスであると捉えるのが意思決定理論である。【木村先生P86】
2.○:ヒルトンの意思決定モデルは、フェスティンガーの認知的不協和理論を意思決定プロセスに応用したものである。【ジルP29】
3.○:ティードマンについては第6回問43で、7段階のプロセスについて一度出題がある。
ティードマンは、意思決定のプロセスを予期と実行の段階に大別し、さらに予期は4段階、実行は3段階の合計7段階のプロセスからなるとした。
・予期の4段階:①探索(選択肢の探索)②結晶化(目標の明確化)③選択(目標選択)④明確化(決定)
・実行の3段階:⑤導入(行動の開始)⑥変革(柔軟に変革)⑦統合(目標実現)
4.×:「遺伝的特性や特別な能力」と「環境条件や出来事」は、いわば、自分では変えられない部分が大きく、「学習経験」と「課題アプローチスキル」を重要な要素としている。
なお、社会的学習理論では、職業選択を学習の結果であると位置づけている。【木村先生P89】
問7.キャリアに関する理論
正答:4(4つ)
A.○:ハンセンの統合的人生設計における、人生上の役割の4つのLとして適切である。【ジルP65】
B.○:サビカスのキャリア構築理論は、職業パーソナリティ、キャリア・アダプタビリティ、ライフテーマの3つを主要な概念とし、キャリア・アダプタビリティを中核概念に位置づけている。【渡辺先生P94】
C.○:バンデューラの自己効力感を高める4つの情報源として適切である。【渡辺先生P136】
D.○:シュロスバーグの転機を乗り越える資源の4Sとして適切である。【渡辺先生P196】
問8.キャリアに関する理論
正答:4
1.×:職務満足を高めるのは動機づけ要因である。【岡田先生P26】
2.×:親和欲求、権力欲求、達成欲求からなる達成動機理論を構築したのは、マクレランドである。【岡田先生P27】
なお、岡田先生の著書には記述はないが、マクレランドは後に、「回避欲求」を追加した。回避欲求は、安定した環境を好み、挑戦やリスクを避け、失敗や困難を回避しようとする欲求である。前述の3つの欲求とは性格がやや異なる印象である。
3.×:存在欲求、関係欲求、成長欲求の3つの次元から構成される ERG モデルを提唱したのは、アルダファである。【岡田先生P26】
アルダファとマクレランド、紛らわしいと思うのは私だけではないはずです。
そこでですが、ERGのEはExistence(存在)のE。
存在欲求(Existence)が「在る」ダファ、なんて。
お粗末様でした。
4.○:デシの内発的動機づけの理論として適切である。
また、当初は内発的動機づけに基づいた行動であっても、報酬が与えられるようになると、内発的動機づけが減退する、アンダーマイニング効果をデシは発見した。
動機づけ理論【まとめ編】 ≪会員限定≫動機づけ理論【問題編】
問9.カウンセリングに関する理論
正答:1
1.○:チクセントミハイはポジティブ心理学の第一人者である。
内発的に動機づけられ、時間感覚を失うほどの集中力、楽しさ、没入感覚で言い表されるような意識の状態あるいは経験を「フロー」と名付けた。【岡田先生P30】
2.×:エンプティチェアは、ゲシュタルト療法の技法のひとつだが、提唱したのはウォルピではなくパールズである。
ウォルピは行動療法の系統的脱感作の技法で知られる。【木村先生P121】
3.×:交流分析のうち「構造分析」で、その人の中でどの「自我状態(P:親、A:大人、C:子供)」が優勢であるかを明らかにする。交流分析を提唱したのはアドラーではなく、バーンである。【ジルP108】
アドラーはアドラー心理学で知られ、その目指す姿として、家族、地域、職場において、自己を受容し、他者を信頼し、他者への貢献からなる「共同体感覚」の重要性を唱えている。
4.×:吉本伊信は浄土真宗の一部に伝わる修行法である「身調べ(みしらべ)」を元に、内観療法を創始した。
内観療法は、両親や子ども、配偶者などの身近な人に「してもらったこと、して返したこと、迷惑をかけたこと」の3点に絞って想起する。自分を見つめ直し、周囲への感謝の気持ちを持ち、対人関係を好転させ、本来の自分を取り戻す精神療法である。
「あるがまま」は同じく日本の精神療法である森田正馬(まさたけ)の森田療法の鍵となる考え方である。神経質の性格の治療において、神経質に悩む人が陥りがちな「とらわれの機制」の悪循環から解放されるため、不安や症状、生の欲望に対して「あるがまま」の生活に取り組む。【参考サイト:東京慈恵会医科病院森田療法センター】
管理人注:「とらわれの機制」は、論理療法などで表現される「ねばならぬ信念」に近いものを、個人的に感じました。
問10.カウンセリングに関する理論
正答:3
1.×:フェルト・センスは、言葉にしがたい身体感覚のことである。例えば、仕事のことを考えるとお腹のあたりが重たく感じるようなことである。このような内なる身体感覚に焦点をあてるのは、ジェンドリンが創始した、フォーカシングの技法である。【ジルP117】
2.×:クライエントが本来持っている強みを活かして、解決に焦点を絞るのは解決志向アプローチである。【ジルP144】
3.○:ナラティブ・アプローチは原因の除去が目的ではなく、クライエントにとって望ましいストーリーの著述によって、問題が問題ではない状態にすることを目指す。【ジルP156】
4.×:個人の問題行動は、不適切な行動の学習や適切な行動の未学習、環境による不適切な刺激と強化により引き起こされると考えるのは、行動的アプローチの特徴である。【木村先生P120】