第28回問16~問20の解き方
第28回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問16.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【不明】選択肢4のハロートレーニングの受講費用が基本的に無料という点は、ハロートレーニングのうち、在職者訓練と学卒者訓練が有料であるため、発表された正答には疑問があります。
正答:4
1.×:主に雇用保険を受給できない求職者を対象としており、一定の要件を満たす場合は、職業訓練受講給付金を受給できるのは、離職者訓練ではなく、求職者支援訓練である。【厚生労働省】
2.×:主に雇用保険受給者を対象としており、雇用保険を受給しながら職業訓練を受講できるのは、求職者支援訓練ではなく、離職者訓練である。【厚生労働省】
3.×:求職者支援訓練は民間教育訓練機関が、厚生労働省の認定を受けた職業訓練を実施している。【高齢・障害・求職者雇用支援機構】
4.○※:離職者訓練、求職者支援訓練は基本的に無料で実施している(テキスト代等自己負担)。なお、公共職業訓練のうち、障害者訓練も無料である。
※みん合での選択肢4の見解
次の厚生労働省の資料に、ハロートレーニングの種類と有料、無料の情報が整理されている。
ハロートレーニングの全体像(厚生労働省)
ハロートレーニング(公的職業訓練)は、公共職業訓練と求職者支援訓練の総称であり、公共職業訓練には、離職者訓練、在職者訓練、学卒者訓練、障害者訓練がある。
このうち在職者訓練と学卒者訓練は、「有料」で行われているため、「ハロートレーニングの受講費用は基本的に無料である」の表現を適切と評価するには無理がある。【厚生労働省】
なお、過去には「ハロートレーニングのうち、在職者訓練、学卒者訓練は有料→適切」という趣旨の出題もある(第10回問18、第16回問11)。
今後の対策としては、ハロートレーニングのうち、離職者訓練、求職者支援訓練、障害者訓練は原則無料であり、在職者訓練、学卒者訓練は原則有料である、とおさえておくのがよい。
問17.企業におけるキャリア形成支援の知識
【A】公正な採用に関する大問は、非常に久しぶりの出題で、似た内容が第4回問20で出題されていますが、以下のサイトを一読しておくとよいでしょう。採用等の実務においても気をつけておきたいところです。
就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例(大阪労働局)
正答:4
1.○:家族に関することは、採用選考時に配慮すべき項目に当たる。
2.○:住宅状況に関することは、採用選考時に配慮すべき項目に当たる。
3.○:現住所の略図を求めることは、採用選考時に配慮すべき項目に当たる。
4.×:自覚している性格に関しては、採用選考時に配慮すべき項目に当たらない。
問18.企業におけるキャリア形成支援の知識
【A】出典(根拠)等が、やや不明なものもありますが、消去法でアプローチしましょう。なお、選択肢2以外は、第5回問22と内容が同様でした。
正答:1
1.○:企業が求める能力と、既存の人材が持つ能力とのギャップを埋めることは、人材開発の役割として適切である。
2.×:OJTのデメリットとして、指導者の能力やモチベーションにばらつきがあるため、効果に差が生じる点がある。
3.×:従来の一律的なキャリア開発から、従業員の希望や特性を考慮した個別のキャリア開発を行う流れはあるものの、経営幹部、管理職、専門職に重点をおいて育成しているとはいえない。
4.×:CDP(Career Development Program)とは、個人の適性や希望を考慮しながら、教育研修や配属先を決定し、従業員の能力を最大化するための長期的なプログラムであり、Off-JTに限定されるものではない。【参考サイト:Hr pro】
問19.企業におけるキャリア形成支援の知識
【A】副業・兼業に関する大問の出題は、第26回問17でも出題されていますので、あわせて解いておきましょう。また、企業側、労働者側に課される義務を確認しておきましょう。
正答:4
副業や兼業の基本的な考え方
副業や兼業については、裁判例を踏まえると、企業は原則として、副業・兼業を認める方向とすることが適当であり、労働契約法第3条の「信義誠実の原則」に基づき、使用者は賃金支払義務を、労働者は労務提供義務があり、他には次のような付帯義務がある。
①安全配慮義務(選択肢1)
②秘密保持義務(選択肢2)
③競業避止義務(選択肢3)
④誠実義務
1.○:労働契約法第5条に基づき、副業・兼業を行う労働者を使用する全ての使用者が安全配慮義務を負う。
なお、就業規則等において、長時間労働等によって労務提供上の支障がある場合には、副業・兼業を禁止または制限する規定を設けることができる。【P6】
2.○:労働者には秘密保持義務があり、適切である。
なお、就業規則等において、業務上の秘密が漏洩する場合には、副業・兼業を禁止または制限する規定を設けることができる。【P7】
3.○:労働者には競業避止義務があり、適切である。
なお、就業規則等において、競業により、自社の正当な利益を害する場合には、副業・兼業を禁止または制限する規定を設けることができる。【P7】
4.×:「程度・態様に関わらず」の表現に気をつける。
形式的に就業規則の規定に抵触したとしても、職場秩序に影響せず、使用者に対する労務提供に支障を生ぜしめない程度・態様のものは、禁止違反に当たらないとし、懲戒処分を認めていない。【P8】
問20.労働市場の知識
【C】2013年から2023年の推移を問う内容であり、自営業者の減少傾向と高齢者の就業率の増加傾向から選択肢1と3は消去しやすいものの、選択肢2と4は判断が難しく、Cランクに位置づけています。
正答:2
1.×:自営業主・家族従業者は2013年の729万人から2023年の639万人へ減少している。【7ページ目】
2.○:女性雇用者に占める非正規雇用者の割合は、2013年の55.8%から2023年の53.2%へ低下(減少)しており、2023年においても5割を超えている。【9ページ目】
一方、男性雇用者に占める非正規雇用者の割合は、2013年の21.1%から2023年の22.5%へ、若干ではあるが増加している。これは高年齢者の雇用が増加していることの影響と思われる。
3.×:65歳以上の高齢者の就業率は、2013年の20.1%から2023年の25.2%へ上昇(増加)している。【6ページ目】
4.×:役員を除く雇用者を雇用契約期間別にみると、無期の契約は2023 年平均で3784 万人と13万人の増加、有期の契約は1443 万人と14 万人の増加となった。【9ページ目】
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