第28回問31~問35の解き方

第28回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問31.メンタルヘルスの知識

【A】メンタルヘルスケアに関する横断的な内容が出題されましたが、本問は第14回問19とほぼ同じ内容でした。なお、「職場における心の健康づくり」は、第16回問27以来の久々の出題です。

正答:3

1.×:同僚によるケアではなく、事業場内産業保健スタッフ等によるケアである。

4つのケアには、セルフケア、ラインによるケア、事業場内産業保健スタッフ等によるケア、事業場外資源によるケアがある。【職場における心の健康づくり~労働者の心の健康の保持増進のための指針(P7):PDF

2.×:「仕事の失敗、責任の発生等」が39.7%で最も多く、次いで「仕事の量」が39.4%、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」が29.6%となっている。【令和5年労働安全衛生調査(実態調査)P15:PDF

ただし、同ページにも記載があるが、前年の調査では「仕事の量」の割合が最も高く、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」であった。【令和4年労働安全衛生調査(実態調査)P13:PDF

3.○:ストレッサーによって引き起こされるストレス反応は、心理面、身体面、行動面の3つに分けることができる。【こころの耳(厚生労働省)

4.×:労働者が 50 人以上いる事業所では、毎年1回、実施することが義務付けられている。【厚生労働省:PDF

ストレスチェックの実施対象については、2025年3月14日に労働安全衛生法の改正案が閣議決定され、全企業で義務化され、実施対象を従業員50人未満の零細企業にも広げて職場環境の改善を促す方向である。改正案が国会で成立すれば、公布から3年以内に施行の予定である。【参考サイト:朝日新聞

問32.個人の多様な特性の知識

【A】合理的配慮に関して、このような具体的なケースによる出題は久しぶりで(第7回問14)、配慮がされていないものは明確な問題でしたが、実務などでの合理的配慮の具体例は以下の合理的配慮指針事例集が役立ちます。

 合理的配慮指針事例集第三版

正答:4

1.○:聴覚障害の従業員に対する合理的配慮として適切である。【P20など】

2.○:身体障害者に対する合理的配慮として適切である。【P33など】

3.○:視覚障害者に対する合理的配慮として適切である。【P5など】

4.×:障害者への配慮がなく、不適切である。

問33.個人の多様な特性の知識

【A】出典としての問題表記はありませんでしたが、頻出の治療と仕事の両立支援ガイドラインからの出題です。内容もこれまでに出題されているものが多いですが、支援の基本姿勢に照らして判断しましょう。

 事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン

正答:2(AとD)

A.○:具体的には、事業場内ルールの作成と周知、労働者や管理職等に対する研修による意識啓発、相談窓口や情報の取扱方法の明確化などがある。【P3】

B.×:離職を促すことは適切ではない。

近年の診断技術や治療方法の進歩により、かつては「不治の病」とされていた疾病においても生存率が向上し、「長く付き合う病気」に変化しつつある。【P1】

C.×:仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならない。【P3】

D.○:個別事例の特性に応じた配慮が必要である。【P3】

ヨコ解きリンク

治療と仕事の両立支援は、最近では次の回で出題されています。

第20回問32 第22回問32 第23回問34 第24回問32 第26回問32 

問34.カウンセリングの技能

【B】変化球な出題内容でしたが、渡辺先生の著書に根拠がありました。

キャリアのそもそもの語源といわれている「轍(わだち)」を思い出せると、判断がしやすかったかもしれませんが、客観的な判断が難しい問題でした。

正答:4

1.×:キャリアは職業(occupation)や職務(job)と同義語ではない。【渡辺先生P18】

職業や職務はvocation、occupation、job、workなどと訳されるが、キャリアには職業経歴の積み重ねの意味が含まれる。

2.×:ある時点のみを指すのではなく、スーパーは、キャリアには長期的な時間的スパンのなかでの個人の仕事との関わりの意味が含まれると述べている。【渡辺先生P15】

3.×:シャインの理論で知られているが、キャリアには内的キャリアと外的キャリアがある。【渡辺先生P157】

4.○:キャリアは、一時点での出来事や行為、あるいは現象を指す言葉でなく、必ず、「時間的流れ」「時の経過」が内包されている言葉である。【渡辺先生P19】

問35.カウンセリングの技能

【A】ラポール(信頼関係)に関する基本的な内容が問われました。

正答:3

1.○:クライエントとのよい信頼関係(ラポール)の形成が、クライエントの自己成長力を高める。

2.○:信頼関係の効能、効果として適切である。カウンセリングは「協働」と捉えることもできる。

3.×:拙速な表現には気をつける。

面接の初期段階において、できるだけ早く提案することは、信頼関係の構築に繋がらない。

4.○:語りや非言語メッセージからクライエントのニーズを的確に把握するよう努めることで、クライエントも出来事や感情を伝えやすくなるだろう。

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