第28回問46~問50の解き方
第28回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問46.相談過程の総括
【A】毎回のように、こういった出題がありますが、「こんなキャリアコンサルタントは嫌だ」という視点で、面談場面を想像して適否を検討しましょう。
正答:3
1.×:クライエントの主体性を尊重することは誤りではないが、相談期間中に進捗状況の確認を行わないのは不適切である。
2.×:目標は固定的なものではなく、変更可能である。【木村先生P380】
3.○:延々とカウンセリング関係を続けるのは不適切だが、必要なフィードバックを行う。
目標に照らしてどこまで到達したかの成果を評価したり、クライエントの成果を監査(モニタリング)する。【木村先生P397】
4.×:連絡に応じないのは不適切である。
将来、必要があればカウンセリングに戻ってこられるよう、ドアを開けたままにしておくことが大切である。【木村先生P399】
問47.キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動
【A】頻出の「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」からの出題です。資料に目を通しておくのも良いですし、最近の過去問をヨコ解きをしておくのもおすすめです。ジョブ・クラフティングについては第28回対策模試(問15)がズバリでした。
正答:1
1.○:学びが継続できるような伴走支援の取組例として推奨されている。【P16】
2.×:管理職等の現場リーダーやキャリアコンサルタントが学びが継続できるような伴走支援を行う。【P16】
3.×:前段のジョブ・クラフティングの意味は適切だが、後段が不適切である。
「ジョブ・クラフティング」の手法を学びの分野にも援用し、労働者が学び・学び直しを前向きに捉え直すような機会を設ける。【P16】
4.×:学び、学び直しにおいても協働を行う。
企業は、キャリアコンサルタントが必要に応じて会社に対し、支援策等の制度の改善を提案することができるよう、意見を述べることができる機会を提供する。【P16】
問48.環境への働きかけの認識及び実践
【A】出典の表記はありませんでしたが、「『セルフ・キャリアドック』導入の方針と展開」にすべての根拠を見出せる問題です。
なお、問47の職場における学び・学び直し促進ガイドライン、問33の治療と仕事の両立支援ガイドラインをあわせた3種類の資料は、資料「御三家(労働経済の分析、能力開発基本調査、第11次職業能力開発基本計画)」に続く、頻出の資料「御三卿」に位置づけています。←名付け方が古い。
正答:2(BとC)
A.×:全体報告書には、個別の従業員が特定されないよう配慮した上で、面談対象者全体のキャリア意識の傾向や組織的な課題、及びその課題に対する解決策(提案)を盛り込む。【P14】
B.○:セルフ・キャリアドックの継続的改善に繋がる、適切な内容である。【P25】
C.○:組織的な改善措置の実施に繋がる適切な内容である。【P24】
D.×:キャリアコンサルタントには職業能力開発促進法に基づく守秘義務があり、本人の同意がない限り、上司や人事部に対して個別面談の結果が共有されることはあってはならない。【P12】
問49.自己研鑽及びキャリアコンサルティングに関する指導を受ける必要性の認識
【A】出典の表記はありませんでしたが、定期的に出題のある「キャリアコンサルタントの継続的な学びの促進に関する報告書」からの出題でした。
正答:3
1.○:資質の向上には、テクニカルなスキルに加えて、プロフェッショナルとしての自覚と責任、さらには倫理といった職業人としての人間的な資質の向上も重要である。【P1】
2.○:企業領域においては、人事など企業の関係部門との連携・協働が必要不可欠である。【P4】
3.×:こうした趣旨の出題が定期的にあるが、経験を積んだキャリアコンサルタントにとっても、スーパービジョンは必要な研鑽の機会である。
キャリアコンサルタントとしてのキャリアの初期段階にある者に留まらず、経験を積んだキャリアコンサルタントにおいても、積極的かつ定期的にスーパービジョンを受けるべきである。【P7】
4.○:実際に現場で十分に活躍できる力量を身に付けていくためには、国家資格試験に合格 ・登録した後も、多様なそして現実的な状況に対応できるよう、継続的学びによる資質向上と経験の蓄積が必要不可欠となる。【P1】
問50.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢
【A】キャリアコンサルティングにおける多重関係については、第28回対策模試(問49)で詳しくお伝えしていましたが、ポイントを整理します。
多重関係とは「キャリアコンサルタントとクライエント」以外のすべての社会的な関係のことを意味し、トラブルの原因やそもそもの目的達成の障害になることがあるため、本来はそうした関係になることを避けるべきである。
とはいえ、実際に多く行われている、上司と部下によるキャリアコンサルティングなど、もしもそれが避けられない場合には、多重関係による弊害や影響をお互いに認識してカウンセリングを行い、本来の目的を果たす必要がある。
正答:3
1.○:多重関係とは「キャリアコンサルタントとクライエント」以外のすべての社会的な関係のことを意味する。
2.○:多重関係の弊害として適切である。
例えば、相談者に著書の購入などを促してしまうと、カウンセリング関係以外での著者と読者といった、金銭的な関係や師弟関係が生まれるようなこともある。
3.×:自己開示がしやすくなることには繋がらず、クライエント側にとっても、カウンセリング関係においてリスクやデメリットがある。
4.○:確かに、以前から知っている人の場合には、予断や偏見を持ってしまう可能性はある。先入観を排してキャリアカウンセリングに集中する必要がある。
以上、全50問の解説をお伝えしました。おつかれさまでした。