第25回問31~問35の解き方

第25回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問31.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

【B】マーシャに関する大問は、これまでに第18回問6第20回問29で出題があり、今回もその類題でした。

4つのアイデンティティ・ステイタスのうち、第18回では「予定アンデンティティ」が、第20回では「アイデンティティ達成」が今回のような形式で問われています。

今回は「モラトリアム」が問われました。なお、岡田先生の著書と思われます。

働くひとの心理学

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストとまでは言えませんが、キャリア理論全般についても、体系的にまとめられている良書です。

正答:3

1.×:アイデンティティ拡散の内容である。【岡田先生P84】

2.×:予定アイデンティティの内容である。【岡田先生P84】

3.○:アイデンティティの危機の最中であり、積極的関与をしている段階は、モラトリアムである。【岡田先生P84】

4.×:アイデンティティ達成の内容である。【岡田先生P84】

問32.個人の多様な特性の知識

【B】働く女性の実情からの出題は、第10回問14以来の久々です。2を判断できたかが差がつくポイントでしたが、女性管理職の割合は大づかみでよいですから、確認しておきましょう。

 令和3年版働く女性の実情

正答:4

1.○:グラフ全体の形はM字型から台形に近づきつつある。【令和3年版働く女性の実情(P3):PDF

2.○:非正規職員・従業員の割合は、男女計36.7%、男性は21.8%(約2割)で、女性は53.6%(約5割)である。【令和3年版働く女性の実情(P18):PDF

3.○:男女間の賃金格差(男性=100.0 とした場合の女性の所定内給与額)は75.2(前年74.3)であり、80に満たない。【令和3年版働く女性の実情(P29):PDF

4.×:資料、図表の読み取りが難しい設問だが、企業規模10人以上の役職別女性管理職割合は、「課長相当職以上(役員含む)」の割合は12.3%で、横ばい傾向である。

また、図表の読み取りの難しい点だが、「部長相当職」は7.8%、「課長相当職」10.7%を足した場合は18.5%であり、やはり3割を超えていない。また、いずれも横ばい傾向である。

なお、係長相当職は18.8%で増加傾向が見られる。【令和3年度雇用均等基本調査(P6):PDF

問33.個人の多様な特性の知識

【B】生活困窮者自立支援制度については第6回問15第17回問24以来の出題で、今回は内容も難しいものでしたが、次の厚生労働省のサイトに支援内容を全体像が示されていますので、参照しておきましょう。

生活困窮者自立支援制度(厚生労働省)

正答:3

1.○:生活困窮者自立支援法における定義である。

生活困窮者とは、就労の状況、心身の状況、地域社会との関係性その他の事情により、現に経済的に困窮し、最低限度の生活を維持することができなくなるおそれのある者をいう。【生活困窮者自立支援法第三条

過去に出題があった点を紹介する。

生活困窮者自立支援制度の理念は、生活保護に至っていない生活困窮者に対する「第2のセーフティネット」を全国的に拡充し、包括的な支援体系を創設するものである。

2.○:適切である。アウトリーチは「手を伸ばす」の意であり、支援を支援者側から積極的に提供することである。

3.×:生活困窮者に対して有期で家賃相当額を支給する住居確保給付金制度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で制度内容が改正されたが、それ以前から存在している。

住居確保給付金制度は、主たる生計維持者が離職・廃業後2年以内である場合、もしくは給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たした場合に、実際の家賃額(上限有り)を原則3か月間支給する制度である。【参考サイト:厚生労働省

4.○:就労訓練事業(中間的就労)とは、すぐに一般企業等で働くことが難しい人を対象に、訓練として、就労体験や、支援付きの雇用を提供する事業であり、個別の就労支援プログラムに基づき、一般就労に向けた支援を中・長期で実施する。

なお、非雇用型(雇用契約は結ばず、訓練として就労体験)と支援付雇用型(雇用契約を締結し専任担当者の支援を受ける)の2つの形態がある。【参考サイト:埼玉県

問34.個人の多様な特性の知識

【B】発達障害については、国家試験、技能検定ともに、出題頻度が増加しています。試験に直結する資料や参考書、参考サイトが少ない点もあり、可能な限り、ヨコ解きしましょう。

 発達障害のある人の雇用管理マニュアル

正答:3

1.○:適切である。障害特性を踏まえた職務配置や職場環境の整備などの適切な雇用管理を行い、本来持っている能力を発揮させ、貴重な戦力として企業利益に貢献できる人材として活用する。【P17】

2.○:本人の障害特性や指導上の配慮事項等を、周囲の同僚や上司に正しく理解してもらうことが大切だが、基本的には本人の意思や気持ちを確認し、それを十分尊重したうえで判断するのがよい。【P17】

3.×:「よりも」表現には注意。逆である。

職務についての既定の手順や方法に本人が適応することを求めるのではなく、本人の障害による困難から職務の手順や方法を見直してみる、というふうに発想の転換を図ることが大切である。【P19】

4.○:適切である。なお、メンターとは、職場で仕事を教える上司・先輩・同僚であり、公私両面で支えとなるキーパーソンの役割を果たす社員である。【P20】

ヨコ解きリンク

発達障害に関する大問は、次の回で出題があります。発達障害の特徴、合理的配慮や支援の留意点などの出題が多いです。

【国家】第4回問14 第8回問15 第11回問13 第13回問14 第14回問14 第20回問33 第21回問31

【2級】第18回問36 第23回問31 第27回問25 第30回問23 第30回問30

問35.グループアプローチの技能

【A】通常ではここで「カウンセリングの技能」の出題になるところですが、それがなく「グループアプローチの技能」の出題です。

「カウンセリングの技能」の出題は通常2問(最低1問)あるのですが、出題なしは新出題範囲になった第15回以降で初めてのことです。

「コンテント」も「プロセス」も日常で使われる意味とは、やや違いがありますが、不適切を選択するには比較的容易でした。コンテント、プロセスの意味については、紹介している参考サイトがわかりやすいです。

正答:4

1.○:コンテントとは、話の内容やテーマ、議題、言葉、しぐさや態度などである。【参考サイト:Facilitation Leaves】表出するものと捉えるとよい。

2.○:プロセスは、個人の心の中、相手やグループの関係の中で起こっていることである。【参考サイト:Facilitation Leaves】必ずしもそれは表出していない。

3.○:適切である。参考サイトでは、コンテントを海上に姿を表している氷山に見立て、プロセスは水面下にあるものと見立てている。【参考サイト:Facilitation Leaves

4.×:グループの思いとは逆の方向へ意図的に引っ張ることは、プロセスを軽視することあり、コンテントを歪めてしまうため、不適切である。

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