第25回問46~問50の解き方

第25回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

問46.相談過程の総括

【A】相談過程の評価には、1.クライエントのため、2.カウンセラー自身のため、3.関係者、機関、組織など第三者のための3つの目的があります。文意が捉えにくいものもありましたが、消去法でアプローチしましょう。

正答:1

1.×:クライエントが、日標に照らしてどのレベルまで達成したか、しなかったかを、クライエントとカウンセラーが客観的に認識し、それを共有することは、これからさらに目標に向かって対処し、成果を維持するのに役立つ。【木村先生P397】

2.○:カウンセリングの対処方針、結果、使用したスキルは適切だったかなどについて評価することは、カウンセラーの今後の学習と成長のために役立つ。【木村先生P398】

3.○:カウンセリングの開始時と比べて、クライエントがどのように変わったかを客観的に評価することは、その成果を関係者や組織に説明する際に役立つ。【木村先生P398】なお、その際には当然、守秘義務に配慮する。

4.○:カウンセリングで学習したことをほかの場面にいかに適用するかを探索することは、生産的な学習となる。【木村先生P397】

問47.キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動

【A】今回の問題は、資料を読んでいなくても正答判断は比較的容易でしたが、この資料からは度々出題があり、今後のキャリアコンサルタントの方向性を示すものですから、一度しっかりと目を通しておきましょう。

また、できるだけヨコ解きをしましょう。

 働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書

正答:3

1.○:キャリアコンサルタントには、専門職としての知見・実践力を生かし、それらを一本に繋ぐようなキャリア形成支援がなされることについて労使双方からの期待が寄せられる。【P1】

2.○:労働者のキャリア目標の明確化やキャリア形成支援を、組織全体で実践するためには、キャリアコンサルタントと人事部門あるいは上司・部下関係等組織内におけるキャリア形成に向けた円滑なコミュニケーションの向上を図ることが有効な手段である。【P2】

3.×:ジョブ・カードは就業経験の少ない人向けに開発されているわけではなく、企業でも活用できる。

ジョブ・カードは、職業能力開発基本計画において、「企業にとっても、個人の職業能力の見える化や人材育成、従業員のモチベーション向上、定着等組織の活性化に役立つツールであり、また、企業内におけるキャリア面談時のコミュニケーションツールとして有用であることから、さらに普及を進めていくことが必要」とされている。【P3】

4.○:年齢階層別に見た場合、高齢者と比較して若年層のほうが、キャリアコンサルティング経験が多いという結果を示すデータがあり、個人へのキャリアコンサルティングの認知度を高めていく場合には、高齢者の雇用継続支援等を念頭に、特に、60歳以上のシニア層を含む中高年齢層を意識した支援を実践していく必要がある。【P4】

ヨコ解きリンク

本報告書からは次の回で出題されています。

【国家】第19回問2 第20回問2 第22回問3 第22回問49

【2級】第27回問42 第29回問2

問48.ネットワークの認識及び実践

【A】正答選択肢の判断は、守秘義務の観点から容易でしたが、難しいカタカナ用語が登場しますので、知らなかったものはインプットしておきましょう。

正答:3

1.○:アルムナイを社外ネットワークとして維持しようとすることは適切である。

アルムナイとは、英語で卒業生、同窓生の意味であり、企業を退職した人のことをいい、以前に自社を退職した人材を再び採用することを、アルムナイ採用という。

アルムナイは企業文化や理念を理解していたり、企業に愛着や信頼を持っていることから、採用を行いやすいという特徴がある。【参考サイト:パーソルキャリア

2.○:治療と仕事の両立支援のおいては、関係者間の連携と、症状や治療方針などに合わせた個別対応が大切である。【参考サイト:治療と仕事の両立支援ナビ

3.×:キャリアコンサルタントには守秘義務があり、プライバシーへの配慮が求められる。個人情報の利用には、相談者の同意が必要である。

なお、エンゲージメントサーベイとは、従業員のモチベーション、企業への愛着や忠誠心等を数値化するなどして把握するための調査ツールである。【参考サイト:モチベーションクラウド

4.○:自発的にPCで学習できる環境を構築し、それをリスキリングに活用、キャリアコンサルタントがそれを推奨することは適切である。

ラーニング・マネジメント・システム(LMS)は、学習管理システムとも呼ばれ、e-ラーニングを実施する際の基幹となる仕組みである。【参考サイト:デジタル・ナレッジ

問49.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢

【A】2024年1月に改定のあった、キャリアコンサルタント倫理綱領。今回の試験では改定前であることを明記した上での出題がありました。

この数回は、倫理綱領そのものからの出題が少なかったのですが、バトンを渡すかのように出題がありました。次回以降は、新しい倫理綱領での出題が定番になるでしょう。

 キャリアコンサルタント倫理綱領(新)

(旧綱領:PDF

正答:2

1.×:キャリアコンサルタント倫理綱領は、特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会が公表している。

2.○:第1章にキャリアコンサルタントが自らを律する「基本的姿勢・態度」、第2章に相談者等との関係で遵守すべき「職務遂行上の行動規範」を示している。【旧:序文】

新しい倫理綱領においても、第1章で「基本的姿勢・態度」、第2章で「職務遂行上の行動規範」を明示している。【新:前文】

3.×:キャリアコンサルタントは、相談者の利益をあくまでも第一義とし、研究目的や興味を優先してキャリアコンサルティングを行ってはならない。【旧:第3条3】

新しい倫理綱領では次の規定が関連する。

キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングが、相談者の人生全般に影響を与えることを自覚し、相談者の利益を第一義として、誠実に責任を果たさなければならない。【新:第1条3】

キャリアコンサルタントは、スーパービジョン、事例や研究の公表に際して、相談者の承諾を得て、業務に関して知り得た秘密だけでなく、個人情報及びプライバ シー保護に十分配慮し、相談者や関係者が特定される等の不利益が生じることがないように適切な措置をとらなければならない。【新:第5条3】

キャリアコンサルタントは、調査・研究を行うにあたり、相談者を始めとした関係者の不利益にならないよう最大限の倫理的配慮をし、その目的・内容・方法等を明らかにした上で行わなければならない。【新:第9条3】

4.×:「説得に努める」は不適切である。

キャリアコンサルタントは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うことを職務とする。キャリアコンサルタントの使命は、相談者のキャリア形成上の問題・課題の解決とキャリアの発達を支援し、もって組織および社会の発展に寄与することである。【旧:前文】

新しい倫理綱領でも、前文に次のように表現している。

キャリアコンサルタントが、職業能力開発促進法に則り、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行い、使命である相談者のキャリア形成の支援と、その延長にある組織や社会の発展への寄与を実現するために、遵守すべき倫理を表明する。

問50.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢

【A】やや出題意図が理解しにくい選択肢もありましたが、消去法でアプローチしましょう。

正答:2

1.×:「食事をしながら」は面談に集中できず、不適切である。また相談室以外の場所で面談を行う場合には、プライバシーの保護に留意する。

2.○:選択肢では「誰もいないので」を強調しており、誰もいない環境、かつ遅い夜の時間帯では、リラックスした温かな雰囲気の中での面談が難しくなる可能性があるため、面談日の変更は適切である。

3.×:税理事務所というのは、税理士事務所(会計事務所)と思われるが、多重関係が生じるため、不適切である。【新綱領(第11条):PDF

4.×:趣味に関する話題提供を中心として面談を終えるのは不適切である。

全50問の目次