第26回問11~問15の解き方
第26回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問11.カウンセリングに関する理論
【A】文章題ではなく、人名とキーワードを結びつける問題は、22回以来の出題です。このタイプの問題はもう出ないのかな、と思っていましたが復活しました。文章題よりも解きやすく、対策もしやすいです。
楽習ノートプラスの次のページで、カウンセリングに関する理論の人名とキーワードを整理しています。ご活用ください。
«会員限定»カウンセリング理論と人名【問題編】
正答:4
1.×:アイビイといえば、マイクロカウンセリング技法である。【木村先生P371】
2.×:カーカフといえば、ヘルピング技法である。【木村先生P373】
3.×:パールズといえば、ゲシュタルト療法である。
4.○:ベックは認知療法を提唱した。【ジルP129】
また、同じく認知的アプローチに分類される論理療法はエリスが提唱した。【木村先生P118】
問12.カウンセリングに関する理論
【B】選択肢2~4が初出であり、かつ、一般的には知られていない精神分析理論の内容のため、難易度はC寄りのBに位置づけていますが、選択肢1は、口唇期、肛門期、性器期やリビドーというキーワードからフロイトと結びつけたいところです。
正答:1
1.○:フロイトの精神性的発達論の内容として適切である。
リビドーとは性的衝動など快感を満たすために生じるエネルギーのことであり、各発達段階に性格特徴があり、それが防衛機制にも繋がることをフロイトは見出した。
身体の発達に伴い、敏感に快感を覚える器官が存在するとしている。
発達段階 | 時期 | 特徴 |
口唇期 | 生後~1歳半 | 母子関係(授乳)による基本的信頼感/不信感 |
肛門期 | ~3歳 | 排便により親にほめられたい/こまらせたい |
男根期 | ~5歳 | エディプス期。異性の親への憎悪の葛藤を経て、親に同一視(あこがれ)するようになり、男児はヒーローごっこ、女児はままごとに夢中になる |
潜伏期 | ~12歳 | 義務教育が始まり、幼児性欲は消失、同性との交流が活発になり、男らしさ、女らしさが形成されていく |
性器期 | 思春期以降 | 第二次性徴。心理的葛藤を抱えながら自我を確立する |
参考:臨床心理学(2015年、有斐閣)P166~P172
2.×:母乳を与えてくれる母親との関係において、乳児期に「妄想-分裂ポジション」と「抑うつポジション」を行き来するとしたのは、メラニー・クラインである。【心理学用語の学習】
3.×:乳幼児が母親と分離していく過程について、「原初的没頭」、「ほど良い母親」、「移行対象(脱錯覚)」の概念を提唱したのは、ウィニコットである。【心理学用語の学習】
4.×:乳児の苦痛を包み込む母親の持つ機能をコンテイナー、乳児の側の不安や苦痛をコンテインドとし、母親が担っている情緒的・認知的役割に関する「コンテイナー/コンテインド理論」を提唱したは、ビオンである。【心理学用語の学習】
対象との関係に焦点をあて、乳児と母親との依存関係を重視した精神分析は「対象関係論」と呼ばれる。【Wikipedia】対象関係論が国家試験、2級試験で出題されるのは初めてである。
問13.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【A】問3に続いて、学び・学び直し促進ガイドラインからの出題です。問3と同様に、学び・学び直しを国も後押ししている点から、正誤判断をしましょう。
正答:4
1.×:企業・労働者双方の持続的成長に向けて、企業主導型の職業訓練の強化を図るとともに、労働者の自律的・主体的かつ継続的な学び・学び直しを促進することが重要となる。【P2】
2.×:日本企業の人的投資の状況をみると、米国やフランスなど諸外国に比べて低水準にとどまっており、また 、近年低下傾向にある。【P3】
3.×:企業が目指すビジョン・経営戦略の浸透を図り、個々の労働者の学び・学び直し の方向性・目標の「擦り合わせ」と伴走的支援を的確に行うためには、その間に立つ管理職等の現場のリーダーの役割は極めて重要となる。【P6】
4.○:学びの気運や企業文化・企業風土が醸成・形成され、その後の変化に対しても、学びが、自走的に進むことが期待される。これは労働者の労働者のエンゲージメントや職場満足度の維持向上、企業の持続的成長にもつながる。【P7】
問14.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【A】能力開発基本調査からの出題は、今回は2問でした(問19)。キャリアコンサルティングを受けた割合、役立ったこと、相談したい内容は頻出の内容のため、自信を持って判断したい内容です。(令和5年度版の内容を注記しています。)
正答:2
1.×:そこまで多くはない。
令和3年度中にキャリアコンサルティングを受けた者は、「労働者全体」では10.5%であり、正社員では13.5%、正社員以外では 5.1%である。【P57】
令和4年度中にキャリアコンサルティングを受けた者は、「労働者全体」では10.8%であり、「正社員」では13.8%、「正社員以外」では5.4%である。【令和5年度P63】
2.○:「企業内の人事部以外の組織またはキャリアに関する専門家(キャリアコンサルタント)」は正社員6.9%(正社員以外9.9%)であり、30%を下回っている。【P57】
なお、最も割合が高いのは、「職場の上司・管理者」(正社員76.8%、正社員以外65.6%)である。
「企業内の人事部以外の組織またはキャリアに関する専門家(キャリアコンサルタント)」は正社員5.6%(正社員以外5.5%)であり、30%を下回っている。【令和5年度P64】
「職場の上司・管理者」を挙げる者の割合が、正社員( 77.3%)、正社員以外(71.1%)ともに最も高い点にも変化はない。【令和5年度P64】
3.×:「仕事に対する意識が高まった」が正社員、正社員以外ともに最も割合が高い。【P57】
令和5年度版でも変化はない。【令和5年度P63】
4.×:キャリアコンサルタントに相談したい内容は、正社員は「将来のキャリアプラン」が最も多く、正社員以外は「適切な職業能力開発の方法(資格取得、効果的な自己啓発の方法等)」が最も多い。
正社員では、「将来のキャリアプラン」が最も多く、正社員以外では、「仕事に対する適性・適職( 職業の向き不向き)」が最も多かった【令和5年度P63】
問15.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【B】他の選択肢の消去法でもアプローチできる問題でしたが、支給要件照会に関する出題は初めてです。知らなかった方は覚えておきましょう。
正答:4
1.×:教育訓練給付金は、文部科学大臣ではなく、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給される。【厚生労働省】
2.×:教育訓練給付金には、専門実践教育訓練、特定一般教育訓練、一般教育訓練の3種類がある。また、正規社員、非正規社員による区分はない。【厚生労働省】
3.×:「のみ」には注意する。
在職中で雇用保険に加入している被保険者のほか、受講開始日時点で被保険者ではない場合にも、被保険者資格を喪失した日(離職日の翌日)以降、受講開始日まで1年以内の場合には、支給対象者となる。 【厚生労働省】
4.○:教育訓練給付金の支給申請に先立ち、教育訓練給付金の受給資格の有無や、受講を希望する教育訓練講座が厚生労働大臣の指定を受けているかどうか、ハローワークに照会できる。【厚生労働省(Q6)】