第26回問31~問35の解き方
第26回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問31.メンタルヘルスの知識
【A】これまでにたびたび出題されていた、「健康づくりのための睡眠指針2014」は「健康づくりのための睡眠ガイド2023」へ改訂されました。内容はより細かく、詳しくなった印象がありますが、これまでと同様に、健康クイズ感覚で取り組める問題でした。
正答:3
1.○:7時間前後の睡眠時間の人が、生活習慣病やうつ病の発症および死亡に至るリスクが最も低く、これより長い睡眠も短い睡眠もこれらのリスクを増加させることが報告されている。【P11】
2.○:日中に光を多く浴びることで夜間のメラトニン分泌量が増加し、体内時計が調節され、入眠が促進される。【P23】
3.×:睡眠障害が疑われる場合には、速やかに医療機関を受診する。【P34】
4.○:アルコール(エタノール)は一時的には寝つきを促進し、睡眠前半では深い睡眠を増加させるが、睡眠後半の眠りの質は顕著に悪化し、飲酒量が増加するにつれて中途覚醒回数が増加することが報告されている。【P31】
問32.個人の多様な特性の知識
【A】大変出題の多い資料です。P1~P10は一度目を通しておきましょう。本問では「限定して」という表現には注意しましょう。
正答:4
1.○:ガイドラインの内容とねらいとして適切である。【P2】
2.○:本ガイドラインが対象とする疾病は、がん、脳卒中、心疾患、糖尿病、肝炎、その他難病など、反復・継続して治療が必要となる疾病であり、短期で治癒する疾病は対象としていない。【P2】
3.○:また、健康診断または本人からの申出により事業者が把握した健康情報については、取り扱う者の範囲や第三者への漏洩の防止も含めた適切な情報管理体制の整備が必要である。【P3】
4.×:事業場内ルールを作成し、すべての労働者に周知することで、両立支援の必要性や意義を共有し、治療と仕事の両立を実現しやすい職場風土を醸成する。【P4】
本ガイドラインに関する、最近の大問での出題を紹介します。本当によく出題されています。
第17回問34 第19回問34 第20回問32 第22回問32 第23回問34 第24回問32 2級第29回問46 2級第31回問31
問33.個人の多様な特性の知識
【B】発達障害のある人への職場適応への配慮については、たびたび出題されており、本問は第20回問33とまったく同じ問題でした。更に遡ると第8回問15でも同様の問題のため、3度目の出題です。なお、発達障害の出題は前回から連続でした。
直接の出典ではないものの、厚生労働省の合理的配慮指針事例集が、実務上も参考になります。「発達障害」に関しては65ページから記載があります。
正答:1
1.○:不注意傾向や注意散漫傾向のある人には、集中して取り組むための環境をつくることは適切である。
2.×:多動で落ち着きがない人に、動きの少ない仕事に就かせるのは適切とはいえない。
3.×:時間の管理ができない人に、過密にスケジュールを入れることは適切とはいえない。
4.×:先延ばし傾向のある人には、できるときにやればよい、は適切とはいえない。
問34.カウンセリングの技能
【C】表現の解釈が難しく、判断が困難な問題でした。
参考資料として、福原眞知子先生の「マイクロカウンセリング技法」(風間書房、2007年)があり、積極技法には「指示」「論理的帰結」「解釈」「自己開示」「フィードバック」「カウンセラー発言の積極的要約」「助言、情報提供、教示」がある。
「フィードバック」は、カウンセラーや第三者がクライエントをどう見ているかという資料を与えることであり、肯定的資質(クライエントの長所)に焦点を合わせると効果的であるとしている。【福原先生P13】
正答:4
1.×:複雑な心配事に対して、選択的にかかわることは適切とは言えず、様々な視点からみることにも繋がらない。
2.×:クライエントの矛盾を見出し、指摘し、自らの矛盾や不一致に向き合っていくことを助けるのは「対決」である。この技法を用いるには、しっかりとした信頼関係と終始指示的な姿勢を示すことが大切である。【福原先生P11】
3.×:「フィードバック」ではなく、どのような行動を取ってほしいのかを明確に示す「指示」の内容に近いと思われる。【福原先生P12】
なお、その際においてもクライエントの自己決定権を尊重する点に留意する。
4.○:「フィードバック」では、具体的で厳密なものを提示することにより、クライエントの「自己探求」「自己吟味」を促すとしており、選択肢の「自己査定」「評価」の表現とは異なるものの、最も適切なものとされた。【福原先生P13】
問35.カウンセリングの技能
【A】傾聴の意義に関する、解きやすい内容でした。支援の基本姿勢からアプローチしましょう。
正答:2
1.○:無条件の肯定的関心をもって、受容的な態度で接することは、傾聴の意義として適切である。【木村先生P116】
2.×:社会的に望ましくない考えや感情を押し殺すことや、周囲の人から求められる自分を成長させていくことは、自己概念と経験の不一致を拡大させてしまうことになり、傾聴の意義として不適切である。
3.○:ありのままの自分を受容する、つまり、クライエントの自己概念と経験が一致する方向へ援助することが、カウンセリングの役割である。【木村先生P116】
4.○:自分に対して評価的で防衛的になることは、自己概念と経験が不一致を起こしており、不適応状態にある。クライエントの自己概念と経験が一致する方向へ援助することが、カウンセリングの役割である。【木村先生P116】