第26回問46~問50の解き方
第26回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問46.相談過程の総括
【A】相談過程の終結における相談者の心境に焦点をあてた問題です。正答選択は容易でしたが、終結場面をイメージしながら検討しましょう。
正答:1
1.×:終結が困難になるからといって、感情面に触れないのは不適切である。相談者の感情の表現も含めて傾聴し、終結を話題にする。
2.○:分離不安は、愛着を持っている人との別れに対して強い不安や恐怖を覚えることである。選択肢1と同様、感情表現も含めて相談者を見る必要があり、分離不安を持っているようであれば、面談終結後もいつでも面談の扉を開いていることなどを伝える。
3.○:当初の主訴や目標などからの変化も当然ありうるし、それを含めて振り返りをすることは適切である。
4.○:今後の職業生活への希望や期待を語ってもらうことは適切である。
問47.キャリア形成及びキャリアコンサルティングに関する教育並びに普及活動
【A】セルフ・キャリアドックの主に実施面に関する内容の出題で、出典はすべて頻出資料の「導入の方針と展開」に見出せます。
正答:2
1.○:キャリア研修・キャリアコンサルティング面談を担当するキャリアコンサルタントが説明会の講師を担うことにより、対象従業員とキャリアコンサルタントの「顔合わせ」の場とすることができる。【P18】
2.×:集合形式で実施することで、他の対象従業員からの学びの機会を得て、相互啓発を通した変化や気づきを促すことも期待できる。【P18】
3.○:対象従業員にアンケートを行うなどして、キャリア開発についての何らかの取組を行うきっかけとなったかなどを把握し、その結果をキャリアコンサルティング面談の際に参考とすることができる。【P19】
4.○:フォローアップについてもキャリアコンサルタントが行うことが、セルフ・キャリアドックを効果的に展開するために重要である。【P18】
問48.ネットワークの認識及び実践
【A】企業領域のキャリアコンサルタントの活動に焦点をあてた問題ですが、正答選択はしやすく、また、第21回問48とほぼ同じ問題でした。選択肢4のみ、若干、改題をしているようです。
正答:1
1.×:メンタルヘルスや精神疾患については、「キャリアコンサルタント試験の試験科目及びその範囲並びにその細目:PDF」においても、一般的な知識を習得することが定められている。習得する必要がない、というのは不適切である。
2.○:多様な働き方については、情報を入手しないとわからないこと、知らないことは多く、積極的な情報収集が必要である。
プロボノとは、「公共の善のために」を意味するラテン語が語源であり、これまでの仕事で培ったスキルや経験を活かす社会貢献活動のことである。
3.○:キャリア自律の風土が浸透するよう、学び合いをすることは適切である。
ポジティブ・アクションとは、社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対し、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置のことをいう。【内閣府男女共同参画局】
4.○:自社の入社を検討する学生に対して、オンラインを活用して自社を告知し、体験、体感してもらうような機会を創出することは適切である。
問49.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢
【A】キャリアコンサルタントとしての職業倫理的なアプローチもできますが、新しい倫理綱領に根拠を見出せます。なお、新しい倫理綱領からの出題は今回が初めてですが、今後の試験では新しい倫理綱領で対策しましょう。
キャリアコンサルタント倫理綱領(2024年改正)
正答:4
1.×:キャリアコンサルタント倫理綱領(2024年改正)には次の記述がある。
キャリアコンサルタントは、自己の身分や業績を過大に誇示したり、他のキャリアコンサルタントまたは関係する個人・団体を誹謗・中傷してはならない。【第7条2】
キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、自己の専門性の範囲を自覚し、その範囲を超える業務や自己の能力を超える業務の依頼を引き受けてはならない。【第8条】
2.×:自分の心に不調を感じながら、外見を保ち面談を行うことは、相談者の利益に繋がらないおそれがあり、不適切である。
キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングが、相談者の人生全般に影響を与えることを自覚し、相談者の利益を第一義として、誠実に責任を果たさなければならない。【第1条3】
3.×:すぐさまといった拙速表現に気をつける。
もちろん、第8条の「任務の範囲・連携」に関する行動規範があるが、相談者が見捨てられたような気持ちにならないようにする配慮や、信頼関係の中で、他の専門家への紹介(リファー)を行う。
キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、自己の専門性の範囲を自覚し、その範囲を超える業務や自己の能力を超える業務の依頼を引き受けてはならない。【第8条】
4.○:キャリアコンサルタントは、訓練を受けた範囲内でアセスメントの各手法を実施しなければならない。【第8条2】
問50.キャリアコンサルタントとしての倫理と姿勢
【A】問49に続き、新しい倫理綱領からの出題です。
キャリアコンサルタント倫理綱領(2024年改正)
正答:1
1.○:第4条の規定である。
キャリアコンサルタントは、個人及び組織を取り巻く社会・経済・技術・環境の動向や、教育・生活の場にも常に関心を払い、社会の変化や要請に応じ、資格の維持のみならず、専門性の維持向上や深化に努めなければならない。【第4条】
2.×:詳細な情報共有ではなく、プライバシーに配慮し、責任を持って適切な対応を行う。
キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングにおいて知り得た情報により、組織における能力開発・人材育成・キャリア開発・キャリア形成に関する支援を行う場合は、プライバシーに配慮し、関係部門との連携を図る等、責任をもって適切な対応を行わなければならない。【第5条2】
3.×:自身の人間としての成長や不断の自己研鑽が重要であることを自覚し、幅広い学習と研鑽に努める。
キャリアコンサルタントは、質の高い支援を提供するためには、自身の人間としての成長や不断の自己研鑽が重要であることを自覚し、実務経験による学びに加え、新しい考え方や理論も学び、専門職として求められる態度・知識・スキルのみならず、幅広い学習と研鑽に努めなければならない。【第6条】
4.×:相談者と組織に対し、自身の立場を明確にし、相談者の利益を守るために最大限の努力をしなければならない。
キャリアコンサルタントは、キャリアコンサルティングを行うにあたり、相談者との多重関係を避けるよう努めなければならない。自らが所属する組織内でキャリアコンサルティングを行う場合においては、相談者と組織に対し、自身の立場を明確にし、相談者の利益を守るために最大限の努力をしなければならない。【第11条2】
なお、新しい倫理綱領については、7月の新刊(総仕上げ問題集の改訂版)である、「合格問題集」に全文を掲載して改正のポイントを整理し、予想問題もたっぷり盛り込んでいます。どうぞご活用ください。【序章P33~、P242~】
以上、全50問の解説をお伝えしました。おつかれさまでした。