第27回問31~問35の解き方
第27回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
問31.メンタルヘルスの知識
【A】ストレスチェックは、現在は労働者が「50人以上」いる事業所に義務づけられていますが、最近の報道によると、厚生労働省では今後すべての事業所に義務づける方針を固めています。その動きには、未来のキャリアコンサルタントとしても、注視しておきましょう。【参考サイト:ヤフーニュース】
正答:1
1.×:労働安全衛生法の規定により、労働者が「50人以上」いる事業所では、毎年1回、この検査を全ての労働者に対して実施することが義務付けられている。【P1】
2.○:ストレスチェック結果で「医師による面接指導が必要」とされた労働者から「申出」があった場合は、医師に依頼して面接指導を実施する。【P6】
3.○:面接指導を実施した医師から、就業上の措置の必要性の有無とその内容について、意見を聴き、それを踏まえて、労働時間の短縮など必要な措置を実施する。【P6】
4.○:ストレスチェック結果の集計・分析結果を踏まえて、職場環境の改善を行う。【P6】
問32.個人の多様な特性の知識
【B】多文化キャリアカウンセリングが「キャリアに関する理論」からではなく、「個人の多様な特性の知識」の出題範囲から出題されたのは驚きましたが、マイノリティへの支援という視点では、今後もありうるのかもしれません。
こちらは第27回対策みん合総仕上げ模試(問5)がお役に立てました。
なお、ナンシー・アーサーの「文化を取り入れたキャリアカウンセリングモデル」は、第25回問5でも出題されており、ポイントを押さえておきたいところです。
LGBTのキャリアカウンセリング研究の第一人者であるポープは、キャリアカウンセリングを提供する側(カウンセラー)のものの見方、つまり自分自身の内にある「バイアス」を十分に意識することが多文化キャリア支援の基礎となることを提唱している。
その後、ナンシー・アーサーは「文化を取り入れたキャリアカウンセリングモデル(Culture Infused Career Counseling:CICC)」の4つの領域を提唱した。
4つの領域は以下である。
①自分の文化的アイデンティティを知る
②他者の文化的アイデンティティを知る
③作業同盟(クライエントとの協働関係)に対する文化的な影響を理解する
④文化的に対応した社会的に公平なキャリア支援を行う
正答:2
1.×:まず意識するのは、クライエントではなく、カウンセラーの中にある「バイアス」である。【木村先生P95】
2.○:ナンシー・アーサーは、まずキャリアカウンセラー自身の文化的なアイデンティティ(他の文化に対する自身の偏見やバイアス等も含めて)を自覚する必要を説いている。【木村先生P95】
3.×:まずそれを意識する必要性を説いている。【木村先生P95】
4.×:クライエントが自身のバイアスを意識するかしないかは、多文化キャリアカウンセリングの基礎としては問題にはならない。【木村先生P95】
問33.個人の多様な特性の知識
【A】こちらの資料は、2級第31回問30で出題されていましたが、マークしていなくても、「ひきこもり」が病名ではないことは積極的に判断したいところです。なお、国家試験では、この資料からの出題は第1回問13以来でした。
「個人の多様な特性の知識」では、模試などでは度々取り上げているものの(汗)、氷河期世代への支援が未出題であり、引き続き、気になっています。
正答:1
1.×:ひきこもりという用語は病名ではなく、あくまで対人関係を含む社会との関係に生じる現象の一つをおおまかにあらわしている言葉である。【P10】
2.○:ひきここもりは、原則的に6ヵ月以上にわたって慨ね家庭にとどまり続けている状態を指す現象概念である。【P6】
3.○:ひきこもりが生じる原因には「いじめ」「家族関係の問題」「病気」などが挙げられるが、一つの原因でひきこもりが生じるわけではない。【P10】
4.○:ほかには、特に母親との間に過保護や過干渉を伴う関係性などが形成されている場合には、そうした家族システムの機能不全の解消も支援の重要な対象となる。【P11】
問34.カウンセリングの技能
【A】開かれた質問は、質問された人が自由に回答出来る質問法で、閉ざされた質問は、「はい、いいえ」や「A、B、C」など短い言葉で回答できる質問です。落ち着いて、仲間外れを探しましょう。
開かれた質問や閉ざされた質問の特徴や具体例は、ジル資料が参考になります。【ジルP99】
正答:1
1.×:一言、二言では回答できない質問であり、開かれた質問である。
2.○:開かれた質問である。
3.○:自由な回答を行うため、伝える内容の整理に時間がかかることがある。
4.○:自由な回答ゆえに、意図や方向性が伝わっていた方が回答しやすくなることもある。
問35.カウンセリングの技能
【A】自己開示は自分に関する情報、価値観、考え、趣味などを正直に伝えることで、自分をさらけ出すことです。
ただし、さらけ出す、とはいえ、道徳的に疑問のある体験などについてまでを、自己開示する必要ありません。
正答:4
1.○:自己開示である。
2.○:自己開示の効果としてありうる。
3.○:共感性の表明にも繋がる。
4.×:どこまで自己開示するかは強制されるものではなく、自らが決めることである。「道徳的に疑問のある体験」までを開示する必要は無い。