第28回問11~問15の解き方
第28回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問11.カウンセリングに関する理論
【A】選択肢3は珍しい人名とキーワードでしたが、それ以外は定番の内容が多く正答判断はしやすく幸いでした。交流分析・吉本伊信・ゲシュタルト療法・論理療法は、第28回対策模試(問9、問37)で出題していたのでお役に立てました。
なお、デュセイとフランクルは、テキスト&問題集(第3版:P69)などで紹介していますが、人名は初出題でした。
正答:3
1.×:エリスといえば、論理療法。エゴグラムといえば、交流分析で知られるバーンの弟子であるデュセイが開発した。【ジルP108】
2.×:デュセイは選択肢1で紹介している交流分析のエゴグラムを開発した。ゲシュタルト療法を提唱したのは、パールズである。代表的な技法として、エンプティチェアがある。【参考サイト:ゲシュタルト療法学会】
3.○:ロゴセラピーは、人が自らの「生の意味」を見出すことを援助することで心の病を癒す心理療法のこと。創始者は、神経科医で心理学者のヴィクトール・フランクルである。【参考サイト:Wikipedia】
フランクルは、第二次世界大戦中にナチスの強制収容所に収監された経験を元に、著書「夜と霧」を記したことでも知られる。
4.×:吉本伊信は、浄土真宗に伝わる「身調べ」を元に、内観療法を創始した。論理療法は、選択肢1のエリスが創始した。
カウンセリング理論の人名やキーワードを、おおむね網羅的に確認できます。
問12.カウンセリングに関する理論
【A】選択肢3、4は難しい内容でしたが、交流分析:エゴグラム(×エニアグラム)に気付くことが出来たかどうかが正誤判断の分かれ目でした。
正答:2
1.○:交流分析はアメリカの精神科医バーンによって開発された心理療法である。【ジルP108】
2.×:エニアグラムではなく、エゴグラムである。
3つの自我状態は、親(Parent)、大人(Adult)、子ども(Child)で適切だが、自我状態への心的エネルギーの分配状況をグラフにして表すのは、エゴグラムである。【ジルP108】
エゴグラムは問11で登場した、バーンの弟子のデュセイ(デュッセイ)が開発した。
なお、エニアグラムは人の思考や行動パターンを9つのタイプに分類するものであり、交流分析のエゴグラムとは関係ない。エニアは「9」、グラムは「図」を表す。【参考サイト:日本エニアグラム学会】
3.○:交流分析では、以下の4種類の分析を行う。
①構造分析
②交流パターン分析
③ゲーム分析
④脚本分析
このうち②の交流パターン分析では、対人的コミュニケーションを、スムーズなやり取りが進む相補(そうほ)的交流、やりとりが滞り、緊張が生じる交差(こうさ)的交流、やり取りに隠された意図が含まれる裏面(りめん)的交流に分類する。【ジルP109】
4.○:人と人の間で交わされる、心と心のふれあい、感情的な交わりや刺激を「ストローク」という。
また、「愛情」や「承認」といった肯定的で陽性のストロークと、「非難」や「攻撃」など否定的で陰性のストロークがある。【参考資料:厚生労働省(PDF)】
問13.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【A】教育訓練給付講座検索システムは、国家試験では出題されておらず、2級で一度出題があるのみのため、あまり知られていないかもしれませんが、選択肢4の正誤判断は容易だったために助かりました。
正答:4
1.○:社内検定認定制度の内容として適切である。
過去には「誰が」認定するかが問われたことがあるが、厚生労働大臣が認定する。【厚生労働省】
2.○:キャリア形成・リスキリング推進事業の内容として適切である。
ハローワークの機能の強化の点では特に、全国のハローワークに「キャリア形成・リスキリング相談コーナー」を設置している。【キャリア形成・リスキリング相談コーナー】
3.○:教育訓練給付講座検索システムの内容として適切である。【教育訓練給付講座検索システム】
4.×:キャリアコンサルタント検索システム(キャリコンサーチ)は、企業担当者や個人と、「国家資格キャリアコンサルタント」のマッチングを支援するシステムである。【キャリアコンサルタント検索システム(キャリコンサーチ)】
問14.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【A】問3に続いての能力開発基本調査からの2問目の出題は、頻出の「キャリアコンサルティングを行うしくみの導入状況」でした。
正社員以外を問うている点が、むしろヒントになったかもしれません。また、ジョブ・カードの認知状況については第28回対策総仕上げ模試(問12)がお役に立てました。
正答:1
1.○:正社員に対しては41.6%であり、正社員以外はそれより低い24.7%である。
正社員を雇用する事業所のうち、正社員に対してキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、41.6%である一方で、正社員以外を雇用する事業所のうち、正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、24.7%である。【P24】
2.×:正社員に対しては、事業所のうち73.6%であり、正社員以外に対しては65.3%であり、どちらも50%を上回っている。【P27】
3.×:ジョブ・カードの認知状況は、「内容を含めて知っており活用している」は1.2%である。【P29】
4.×:実施した取組の内容としての「キャリアコンサルティングの実施」は、12.7%にとどまっている。
なお、実施した主体的なキャリア形成に向けた取組として最も多いのは、「上司による定期的な面談の実施(1on1ミーティング等)」が65.8%で最も高い。【P31】
問15.職業能力開発(リカレント教育を含む)の知識
【A】前回の第27回問17に続き、教育訓練給付金からの出題です。
教育訓練給付金については、2024年10月より制度が一部変更になりましたので、2025年7月以降の試験では新しい内容が出題される可能性があります。改正のポイントをまとめていますので、ご確認ください。
正答:2
1.○:教育訓練給付金の内容として適切である。
教育訓練給付金は、働く方々の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と就職の促進を図ることを目的として、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講費用の一部が支給されるものである。【厚生労働省】
2.×:在職中で雇用保険に加入している人のほか、離職してから1年以内等の人も受給ができる。【厚生労働省:PDF】
3.○:教育訓練給付金の種類として適切である。【厚生労働省:PDF】
なお、教育訓練給付金については、2024年10月から一部拡充の改正があり、次回2025年7月からの試験では要注意である。
4.○:専門実践教育訓練給付金と特定一般教育訓練給付金の受給には、訓練前キャリアコンサルティングを受けることが必要である。【ハローワークインターネットサービス】
教育訓練給付金の改正のポイントは次の2点である。
①特定一般教育訓練給付金では、これまでの教育訓練経費の40%(年間上限20万円)に加え、資格取得・就職※した場合に、教育訓練経費の10%(年間上限5万円)の支給が追加された。
※訓練終了の翌日から起算して原則1年以内に、雇用保険の一般被保険者として雇用された、または雇用保険の一般被保険者として雇用されていて、訓練終了の翌日から起算して原則1年以内に資格を取得した場合。
ややこしいが、雇用+合格、または在職したまま合格した場合には10%(年間上限5万円)が上乗せされる。
例:資格取得等に要した入学金や受講料が合わせて30万円だった場合には、訓練終了後に40%の12万円が支給され、資格取得をした場合に10%の3万円が支給、合計15万円の50%が支給される。
②専門実践教育訓練給付金では、これまでの教育訓練経費の50%(年間上限40万円)及び資格取得・就職※した場合の20%(年間上限16万円)に加えて、訓練修了後の賃金が受講開始前の賃金と比較して5%以上上昇した場合は、教育訓練経費の10%(年間上限8万円)の支給が追加された。
つまり、賃金上昇の要件を満たした場合は、給付率はこれまでの最大70%から最大80%へ引き上げられた。
例:資格取得等に要した入学金や受講料が合わせて50万円だった場合には、まず、教育訓練経費の50%の25万円が支給され、資格取得・就職(雇用されている場合も含む)をした場合に20%の10万円が支給される。
さらに、訓練修了後の賃金が受講開始前の賃金と比較して5%以上上昇した場合は、教育訓練経費の10%(年間上限8万円)の5万円が追加で支給され、合計の給付額は40万円となる。
ややこしいが、訓練修了後の賃金が受講開始前の賃金と比較して5%以上上昇した場合は、教育訓練経費の10%(年間上限8万円)が上乗せされることになった。
【厚生労働省】