第28回問21〜問25の解き方
第28回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
目次
問21.労働市場の知識
【B】出題可能性があるとしていた「令和6年版」が出題されました。今回の出題内容は楽習ノートプラスの第1部ダイジェストですべてカバーしていました。
解説では、実質賃金や労働分配率について、詳しくお伝えしています。
正答:3
1.×:年次有給休暇の取得率は働き方改革の取組を背景に上昇傾向であり、2023年調査においてはは調査開始以降始めて6割を超えた。【P61】
2.×:名目賃金は、2023年においても24か月連続の増加となったが、実質賃金は、年間を通じて減少しており、21か月連続の減少となっている。【P73】
実質賃金とは、労働者が実際に受け取った賃金(名目賃金)から、消費者物価指数に基づいた物価変動の影響を差し引いた指数である。
端的に言えば、賃金は上昇しているものの、物価の上昇に追いついていない状況である。
3.○:2020年の景気後退の影響により企業収益が悪化し、労働分配率は大幅に上昇したが、翌年以降は、経済社会活動の活発化に伴う企業収益が増加により、労働分配率は低下がみられる。【P77】
また、付加価値は、大雑把にいうと、売上から外部購入費用を差し引いた金額、いわゆる粗利益(売上総利益)に近いものであり、労働分配率は企業が儲けたお金を、どのくらい労働者に分配しているのかを表す。
人件費/付加価値×100=労働分配率(%)
例1:人件費が300万円で付加価値が1000万円の場合は、労働分配率は30%となる。
例2:景気が良くなり(売上が増加)、人件費がそのまま300万円で、付加価値が1500万円になった場合、労働分配率は20%となる。
つまり、景気拡大局面では労働分配率は低下し、景気後退局面では上昇する傾向がある。
4.×:労働組合員数は3年連続で減少し、推定組織率(16.3%)は3年連続で低下したものの、パートタイム労働者の労働組合員数、推定組織率(8.4%)ともに過去最高である。
第1部と第2部の内容を短時間で確認できます(動画もあります)
問22.労働市場の知識
【B】男女共同参画白書からの出題は、第22回問12以来で、それほど出題頻度は高くありませんが、今回は問1で令和5年版、問22で令和6年版の合計2問が出題されました。
たまに出題されるような資料について2年分をマークすることはほぼ不可能です。他の資料から得られるデータや趨勢もありますし、こうした過去問など
で知らなかったデータや趨勢があれば、インプットしましょう。
令和6年版男女共同参画白書(現状編)
正答:4
1.×:管理的職業従事者に占める女性の割合は、諸外国ではおおむね30%以上だが、日本は令和5(2023)年は14.6%であり、諸外国と比べ低い水準となっている【P123】
なお、起業家に占める女性の割合は、2017年のデータで27.7%である。【P124】
2.×:M字カーブではなくL字カーブと名付けられる。Lを右回りにして倒したような線を描く。
女性の就業率はかつてのM字カーブは緩和され、台形に近づく形で高い水準が続くものの、年齢階級別の正規雇用比率は、25~29歳の59.1%をピークに滑り台のような形で低下していく。【P125】
男女共同参画白書令和6年版(内閣府)P125より転載
3.×:第1子出産前に就業していた女性の就業継続率(第1子出産後)は上昇傾向にあり、2015年から2019年に第1子を出産した女性では69.5%である。【P131】
4.○:正社員・正職員の男女の所定内給与額をみると、男性の給与水準 を100としたときの女性の給与水準は77.5となり、前年に比べ0.7ポイント減少している。【P127】
問23.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識
【B】雇用保険制度に関する大問は、最近の第26回問26でも出題がありました。選択肢2の加入要件はしっかりと覚えておきましょう。
正答:2
1.×:労働者を1人でも雇用する事業は、 その業種や事業規模のいかんを問わず、 すべて適用事業となるが、農林水産の事業のうち一部の事業は、 当分の間、任意適用事業(暫定任意適用事業)とされている。【厚生労働省:PDF】
2.○:次の①と②の両方に該当する場合には、事業所規模に関わりなく、 原則として、すべて雇用保険の被保険者となる。【厚生労働省】
①1週間の所定労働時間が20時間以上である
②31日以上の雇用見込みがある
3.×:雇用保険二事業には、雇用安定事業と能力開発事業がある。
雇用保険制度は、「失業等給付」「育児休業給付」「雇用保険二事業」に大別され、高年齢雇用継続給付、介護休業給付は「失業等給付」の「雇用継続給付」に該当する。【ハローワークインターネットサービス】
4.×:雇用保険料率は、例えば令和7年度の「一般の事業」の場合、賃金の1000分の5.5(0.55%)が労働者負担、1000分の9(0.9%)が事業主負担であり、事業主負担の方が多く、折半ではない。【厚生労働省:PDF】
問24.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識
【C】年次有給休暇の大問での出題は、第11回問26以来の出題であり、内容も正誤判断の難しい選択肢が多く、初見では獲得できなくてもやむを得ないでしょう。
なお、選択肢3以外は、以下の資料に根拠があります。選択肢3については、そのものズバリな参考サイトが見つかりませんでした。
年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています(厚生労働省)
正答:2
1.○:週所定労働日数が4日以下(4日~1日)、かつ週の所定労働時間が30時間未満の労働者であっても、1年間の所定労働日数と継続勤務年数に応じて、年次有給休暇は付与される。
2.×:育児休業取得期間は出勤したものとみなされる。
年次有給休暇の発生要件は、雇入れの日から6か月継続勤務をしており、全労働日の8割以上出勤していることが求められる。
なお、出勤率の算定にあたっては、業務上の怪我や病気で休んでいる期間、法律上の育児休業や介護休業を取得した期間等は、出勤したものとみなして取り扱う必要がある。
3.○:労働者が指定した年次有給休暇の日を、会社側から日の変更を求める時季変更権の行使にあたっては、使途を尋ねること自体はさしつかえない(違法ではない)ため、適切な選択肢である。
しかし、様々なサイトでは、使途の質問は労使間のトラブルを避けるためにも、なるべく控えたほうがよい、する見解が多い。
なお、時季変更権の行使が認められるのは、例えば同じ日に多くの労働者が同時に休暇指定した場合などが考えられる。
4.○:年次有給休暇は、1日単位で与えることが原則だが、労使協定を結べば、1時間単位で与えることができる(上限は1年で5日分まで)。
問25.労働政策及び労働関係法令並びに社会保障制度の知識
【B】労働時間について、選択肢1は解釈が難しく、3や4についても、これまでには出題の無い内容でしたが、労働時間は「使用者の指揮命令下に置かれている時間」であることを基準にして判断しましょう。
正答:3
1.×:労働基準法上の労働時間とは 「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」のことであり、労働契約や就業規則等の規定に左右されない。【厚生労働省:PDF】
2.×:「いかなる場合であっても」には注意する。
業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、労働時間に該当しないが、実質的な業務指示により参加するものは労働時間に該当する。【厚生労働省:PDF】
3.○:使用者の指揮命令下の元、実作業を伴わなくても警報が鳴った場合の対応が義務づけられる場合には、労働者の仮眠時間は労働基準法上の労働時間に該当する。【参考サイト:セキュリティーワーク】
4.×:このような、いわゆる手待ち時間は使用者の監督下にあり、指示があればすぐに業務を行うため、労働時間に該当する。【参考サイト:弁護士法人ALG】