【技能検定】第20回問01~問05の解き方
第20回キャリアコンサルティング技能検定学科試験問題を徹底解説!
選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。
目次
問1.社会・経済的な動向とキャリア形成支援の必要性の認識
2級技能検定、キャリアコンサルタント試験の両試験において頻出の「第10次職業能力開発基本計画」からの出題です。
本計画は5カ年計画で、第10次は平成28年度から平成32年度(令和2年度)までの国の人材育成の指針。令和3年度からは第11次の計画に移行しましたが、基本方針に変化は無いため、内容は軽く確認しておきましょう。
1.○:【P8】の文章。労働生産性の維持・向上に資する人材の継続的な育成に向けたものである。
2.○:【P9】の文章。「全員参加の社会」の実現加速に向けたものである。
3.○:【P10】の文章。地域で働く一人一人の労働の質を高め、地域経済の「稼ぐ力」の向上につなげる。
4.×:「職業訓練制度に特化」には違和感がある。「人材の最適配置を図るためには、職業訓練制度と職業能力評価制度を車の両輪としつつ…」とある。【P10】
問2.社会・経済的な動向とキャリア形成支援の必要性の認識
平成28年度能力開発基本調査からの出題です。
1.○:キャリアコンサルティングを行うしくみがある事業所は、正社員で44.5%、正社員以外で30.9%と正社員以外の方が低い水準である。【平成28年度P18】
令和4年度も同様である。正社員で45.2%、正社員以外で29.6%と正社員以外の方が低い水準である。【令和4年度P20】
2.○:企業規模が大きくなるにつれ、キャリアコンサルティングを行うしくみを導入している割合が高くなっている。【平成28年度P19】
令和4年度でも同様の傾向がある。【令和4年度P21】
3.○:導入の目的で最も多いのは、「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」であり、続いて「労働者の自己啓発を促すため」である。なお、前回19回問2でも同様の趣旨の選択肢が出題されている。【平成28年度P20】
令和4年度でも正社員、正社員以外ともに「労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため」が最も多く、続いて「労働者の自己啓発を促すため」である。【令和4年度P22】
4.×:キャリアコンサルティングを行っていない理由の1位は「労働者からの希望がない」であり、2位は「労働者がキャリアに関する相談をする時間を確保することが難しい」である。【平成28年度P21】
令和4年度の1位は「労働者からの希望がない」であり、2位は「キャリアコンサルタント等相談を受けることのできる人材を内部で育成することが難しい」である。【令和4年度P24】
問3.キャリアコンサルティングの役割の理解
キャリアコンサルタントの役割について、支援の基本姿勢から正答を導くこともできますが、その拠り所となるのはキャリアコンサルタント倫理綱領です。一読しておきましょう。
1.×:人間尊重を基本理念とし、この尊厳を侵してはならないことや、相談者の自己決定権の尊重がうたわれている。【第1条、第9条】
2.○:職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上を図ることが大切であることは管理職も同様である。
3.×:相談者に対する支援だけでは解決できない環境の問題に対しては、環境への働きかけを行う。【第11条】
4.×:「異動申請や転職を前提に」は、支援の基本姿勢から誤りである。
問4.キャリアコンサルティングを担う者の活動範囲と義務
キャリアコンサルタントの活動範囲や限界に対する設問です。支援の基本姿勢から常識的にアプローチしましょう。こちらも拠り所になるのはキャリアコンサルタント倫理綱領です。
1.×:「関連する課題の全てに関与し」は適切とはいえない。専門性の範囲を超える業務や、明らかに自己の能力を超える業務の依頼を引き受けてはならないとされている。【第8条】
2.×:事業主が必要とする人間像も考慮に入れる必要がある。なお、その場合等に利益が相反するおそれがある場合についても、キャリアコンサルタント倫理綱領に規定がある。【第11条】
3.○:より質の高いキャリアコンサルティングの実現のため、他の専門家とのネットワークの構築に努めなければならない。【第4条】
4.×:グループカウンセリングの手法も有効ではあるものの、「個別相談よりも多用すべき」であるというのは言い過ぎであり、適切とはいえない。
問5.キャリアコンサルティングを担う者の活動範囲と義務
活動範囲・限界の理解について、特に守秘義務や説明責任に関する内容が問われています。事前の了解はなるべく丁寧に得るべきであり、守秘義務やプライバシーの尊重は特に留意しなくてはならない。
1.×:守秘義務の観点から、個人のUSBを自宅へ持ち帰ることは適切とはいえない。【第5条】
2.×:キャリアコンサルタントは説明責任を負い、また、契約関係にある組織等と相談者の間に利益相反のおそれがある場合には、相談者の了解のもとに職務の遂行に努めなければならない。【第7条、第11条】
3.○:変更が生じた場合には、改めて同意を得る必要がある。【第7条】
4.×:自宅の電話にメッセージを残すことは守秘義務に抵触するおそれがあるため、最も適切とはいえない。【第5条】
キャリアコンサルタントはプライバシーの尊重、守秘義務には特に注意を払う必要があります。その例外は、自殺企図などの身体・生命の危険が察知される場合や法律に定めのある場合に限られます。
参考文献・資料
第10次職業能力開発基本計画(PDF)
平成28年度能力開発基本調査(PDF)
令和4年度能力開発基本調査(PDF)
キャリアコンサルタント倫理綱領(PDF)