【技能検定】第28回問26~問30の解き方

第28回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!

選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。

問26.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

 頻出のエリクソンの個体発達分化の図式からの出題です。養成講座のテキスト等に記載があれば、それを参照し、もしもなければ、岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」を参照しましょう。

岡田昌毅先生の「働くひとの心理学」は、木村先生や渡辺先生の著書には記述がほとんどない、発達理論に関する記述が充実した参考書です。養成講座のテキストにそれらの記述のある方はマストとまでは言えませんが、キャリア理論全般についても、体系的にまとめられている良書です。

1.×:最初の発達段階である乳児期の心理社会的危機は、「信頼対不信」である。【岡田先生P80】

2.○:学童期における心理社会的危機は、「勤勉性対劣等感」である。【岡田先生P80】

3.○:青年期における心理社会的危機は、「同一性対同一性拡散」である。同一性とは自我同一性、アイデンティティのことである。【岡田先生P80】

4.○:成人前期における心理社会的危機は、「親密性対孤立」である。【岡田先生P80】

問27.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識

 発達段階と発達課題に関する、理論家横断的な問題です。正答選択肢は選びづらいものでしたが、他の3つの選択肢は、積極的に不適切と選びたい問題です。

1.○:主要参考書には名前くらいしか表記がないが、ハヴィガーストは人生の発達段階を6つに分け、それぞれの段階での発達課題を初めて提唱した。

2.×:成人前期から中年期の移行期を「人生半ばの過渡期」と名付けたのは、レビンソンである。【岡田先生P78】なお、ギンズバーグは職業選択過程の理論を最初に理論化したと言われている。【木村先生⑤P34、⑥P70】

3.×:シャインは、人が生きている領域を大きく3つのサイクルに分け、それぞれのサイクルに段階を設けた。【渡辺先生P153】

4.×:安定期と過渡期を繰り返しながら心理社会的に発達していくとしたのは、レビンソンである。【岡田先生P78】

問28.人生の転機の知識

 転機に関する理論家横断的な問題です。ブリッジスの4つの法則は即答が難しい問題でした。

正答:2.AとC

A.○:ブリッジスは、トランジションの特徴を4つの法則にまとめている。「トランジションのはじめの頃は、新しいやり方であっても、昔の活動に戻っている。」は、法則の1つ目である。【岡田先生P87】

B.×:職業的発達段階に、暦年齢にゆるく関連した「移行期」があるとしたのは、スーパーである。【渡辺先生P45】

C.○:転機(トランジション)の捉え方については、渡辺先生の著書に説明がある。発達段階の移行期としての「トランジション」と、人生上の出来事の視点から見た「トランジション」の2つがあり、シュロスバーグのトランジションは後者のものである。【渡辺先生P188】

D.×:①文脈的(コンテクスチュアル)あるいは文化的(カルチュアル)な視点、②発達的(ディベロップメンタル)な視点、③ライフ・スパンの視点、④転機(トランジション)の視点の4つに整理している。【渡辺先生P186】

問29.人生の転機の知識

 選択肢2と4の判断が難しい問題です。選択肢2は出典などの根拠が見つかっていないので、推測込みの見解です。4については、岡田先生の著書に根拠があります。

1.×:いずれの転機のタイプであれ、その転機がクライエントにとって、どの程度の重大さを持つのかなど、転機の意味を理解することが大切であり、予期せぬ転機をいち早く終わらせる支援が重要なわけではない。【渡辺先生P193】

2.×:選択肢文章の出典は不明だが、不確実な未来を受け入れる、ジェラットの積極的不確実性の理論からは、転機の時期や内容を制御可能なものとして捉えるのは無理がある。

3.×:これはシュロスバーグの転機の理論である。【渡辺先生P193】

4.○:ブリッジスは、成人の発達的観点より、個人や組織に適応する転機のプロセスの概観について論じている。【岡田先生P86】

問30.個人の多様な特性の知識

 リハビリテーション・カウンセリングは両試験で度々出題されているものの、正誤のポイントはどの問題も似ており、ノーマライゼーションがキーワードです。なお、本問は2級第19回問36と全く同じ問題でした。

1.○:障害者が他の人々と等しく生きる社会や福祉環境の整備を目指す、ノーマライゼーションの考え方である。理念として適切である。

2.×:カウンセラーが主導するものではない。支援をすることが大切である。

3.○:障害を持つ人自身が、主体的に自己を主張することも大切である。

4.○:自立して自分の力で生きていけるようにすることは適切である。

参考文献・資料

新版キャリアの心理学渡辺三枝子著(ナカニシヤ出版2018年)

働くひとの心理学岡田昌毅著(ナカニシヤ出版2013年)

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