【技能検定】第33回問26~問30の解き方
第33回キャリアコンサルタント試験学科試験問題を徹底解説!
選択肢の正誤と解説、参考文献をお伝えします。試験対策にお役立てください。
目次
問26.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
【C】バルテスは過去に一度だけ(2級第23回問27)、トーンスタムは1級(第12回問24)で出題はあるものの、正答選択肢のユングも含め、表現も難しい内容が多く、難問でした。
正答:2
1.×:文章の内容は、マーシャのアイデンティティ・ステイタスの4つの様態である。【岡田先生P83】
バルテスは発達心理学の研究者であり、それまでの発達心理学は幼児期から青年期にかけての研究が主流であったが、バルテスは老年期までの生涯発達を研究の対象とした。
また、バルテスは心理的発達を「能力の獲得」と「能力の喪失」の視点から捉え、中年期以降は獲得が少なくなり、喪失が多くなるとした。
【参考:エピソードでつかむ生涯発達心理学(岡本祐子、深瀬裕子編著)】
2.○:ユングは40歳前後を「人生の正午」と位置づけ、最大の危機は中年期の転換期であるとし、人生の後半は自分らしく生きることを実現する時期であるとした。これは「個性化の過程」とも言われ、内的世界の充実を図る課程である。
3.×:これはエリクソンの「個体発達分化の図式」の8段階目、老年期の発達課題「統合性」の内容である。【岡田先生P82】
なお、トーンスタムは「老年的超越」の概念を提唱した。
老年的超越とは、老年になり、起床、食事、排便、話す、歩く、寝るなどの日常の行為をするにも「ありがたい」という感覚が生じることであるという。【参考サイト:医療法人和楽会】
4.×:これはエリクソンの提唱した青年期の発達課題である「自我同一性」を意味していると思われる。【岡田先生P79】
選択肢の表現が難しいが、アイデンティティを確立することは、自己についての肯定的で一貫した感覚(自己の連続性)を持つことである。
なお、ハヴィガーストは、最初に各発達段階における「発達課題の概念」を提唱した。
問27.中高年齢期を展望するライフステージ及び発達課題の知識
【B】中高年齢期に関するキャリア理論や発達課題ではなく、高年齢者の雇用に関する法制度やデータに関する横断的な出題でした。通常、このようなテーマは、「個人の多様な特性の知識」からの出題が多いです。
正答:3
1.×:高年齢者雇用安定法における、70歳までの就業機会の確保は、法的義務ではなく、努力義務である。【厚生労働省】
2.×:65~69歳の就業率は上昇傾向にあり、2023年(令和5年)のデータでは、52.0%に及ぶ。なお、70~74歳の就業率は34.0%、75歳以上の就業率は11.4%である。【令和6年版高齢社会白書】
3.○:健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」のことをいい、2019(令和元)年の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳となっており、伸びている傾向が見られる。
なお、平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳である。【e-ヘルスネット】
4.×:企業の選択肢は、「定年の65歳への引上げ」だけではない。
高年齢者雇用確保措置のうち、継続雇用制度については、対象者を限定する基準を定めることが経過措置として認められていたが、2026年3月31日で終了する。
なお、高年齢者雇用確保措置には1.定年制の廃止、2.定年の引上げ、3.継続雇用制度の導入のうち、いずれかの実施が企業に義務づけられている。【厚生労働省:PDF】
問28.人生の転機の知識
【A】前回に続き、「人生の転機の知識」からの出題はシュロスバーグの大問の出題でした。4Sの意味を問う形は、意外にも珍しいケースでしたが、言葉の意味からアプローチしましょう。
正答:2
1.×:何が転機をもたらしたか(引き金)やコントロールできるかは、Situation(状況)の点検内容である。【渡辺先生P196】
2.○:Self(自己)の内容として適切である。
Self(自己)の点検には、変化への対処に関係する個人的な特徴、社会経済的地位、性、年齢と人生段階、健康状態などがある。【渡辺先生P196】
3.×:周囲からの支え、親密な人間関係などは、Support(支援)である。【渡辺先生P197】
4.×:対処行動といえるもので、状況を変える、あえて何もしないなどは、Strategies(戦略)である。【渡辺先生P198】
問29.個人の多様な特性の知識
【B】インターンシップとして位置づけられているタイプ3、タイプ4は、条件付きながら、取得した学生情報の採用活動への活用ができる、と捉えておきましょう。
インターンシップを始めとする学生のキャリア形成支援に係る取組の推進に当たっての基本的考え方
正答:2
1.×:タイプ1(オープンカンパニー)では、取得した学生情報の採用活動への活用はできない。【P8】
2.○:タイプ2(キャリア教育)では、取得した学生情報の採用活動への活用はできない。【P8】
3.×:タイプ3(汎用的能力・専門活用型インターンシップ)では、取得した学生情報の採用活動への活用は、「採用活動開始以降に限り、可」である。【P8】
4.×:タイプ4(高度専門型インターンシップ)では、取得した学生情報の採用活動への活用は、「採用活動開始以降に限り、可」である。【P8】
問30.個人の多様な特性の知識
【A】頻出資料からの出題です。必要な本人の取組、そして支援の基本姿勢から判断しましょう。特にP3の留意事項は出題も多く、一読しておきましょう。
正答:1
1.○:両立支援を行うにあたっての留意事項「労働者本人による取組」の内容として適切である。他には、服薬すること、適切な生活習慣を守ることがあげられている。【P3】
2.×:両立支援には、産業医との連携は重要だが、産業医が全ての責任を持って行うものではない。【P4】
3.×:仕事の繁忙等を理由に必要な就業上の措置や配慮を行わないことがあってはならないことが、両立支援を行うにあたっての留意事項の一つとしてあげられている。【P3】
4.×:治療と仕事の両立支援は、私傷病である疾病に関わるものであることから、労働者本人から支援を求める申出がなされたことを端緒に取り組むことが基本となる。【P3】
なお、この資料からの出題は、2級技能検定では5回連続でした。