【第27回対策】問1~問10の解説

第27回対策「みん合☆総仕上げ模試」正答と解説

問1.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

正答:1

 経済財政運営と改革の基本方針 2023

1.×:労働者が自らの意思でリ・スキリングを行い、職務を選択できる制度に移行していくことが重要である。また、現在、企業経由が中心となっている在職者への学び直し支援策については、「個人経由」での給付が可能となるよう、「個人」への直接支援を拡充する。【P4】

三位一体の労働市場改革
①リ・スキリングによる能力向上支援
②個々の企業の実態に応じた職務給(ジョブ型人事)の導入
③成長分野への労働移動の円滑化

2.○:雇用調整助成金について、休業よりも教育訓練による雇用調整を選択しやすくなるよう助成率等の見直しを行う。

他に、5年で1兆円の「人への投資」施策パッケージのフォローアップと施策の見直し等を行うことなどがある。【P4】

3.○:他に、自己都合退職の場合の退職金の減額といった労働慣行の見直しに向けた「モデル就業規則」の改正や退職所得課税制度の見直しを行うなどがある。【P5】

(参考)モデル就業規則(厚生労働省)

4.○:2023年の春季労使交渉の賃上げ率は約30年ぶりの高い伸びとなり、この賃上げの流れの維持・拡大を図る。

具体的な施策としては、最低賃金の引上げ、同一労働・同一賃金制の施行の徹底と必要な制度見直しの検討等を通じて非正規雇用労働者の処遇改善を促すなどがある。【P5】

問2.社会及び経済の動向並びにキャリア形成支援の必要性の理解

正答:4

 令和5年版労働経済の分析

1.×:企業の欠員率は、企業規模が小さい企業ほど高い傾向があるが、近年では企業規模にかかわらず上昇傾向である。【P126】

2.×:プラスに寄与する傾向があり、労働組合がある会社への一定の信頼感が示唆される。【P130】

3.×:フルタイム・パートタイム労働者ともに、現在の勤め先を選んだ理由は、「仕事の内容に興味があった」の割合が最も高いが、パートタイム労働者は「労働条件がよい」が「仕事の内容に興味があった」に近い水準である。【P132】

令和5年版労働経済の分析(P132)より転載

4.○:年収が増加するほど、仕事の満足度が高まった者、生き生きと働けるようになった者、自己啓発活動をするようになった者、幸福度が高まった者の割合が高まる傾向がある。【P135】

問3.キャリアコンサルティングの役割の理解

正答:4

 働く環境の変化に対応できるキャリアコンサルタントに関する報告書

1.×:労働者の自律的・主体的なキャリア形成を促すために、企業内の課題解決に向けて、キャリアコンサルタントは経営者層へのアプローチなど企業への提案力、人事担当部署との協業をする能力が求められる。【P7】

2.×:特に中高年のキャリア支援にはライフプラン(家計の問題、住宅、教育等)とキャリアの課題は密接であるためファイナンシャルプランナーとの連携は有効と考えられる。【P8】

3.×:キャリアコンサルタントの実践の経験の場作りの観点からは、特に支援の初期段階においてはオンラインによるキャリアコンサルティングが有効と考えられることから、これを積極的に推進することも一計である。【P9】

4.○:リテンションは「維持」や「保持」を意味し、内定後の就職準備支援や、新人研修、社会人基礎力の習得支援など、初期キャリア段階での支援の取り組みにより職場定着を図る役割がキャリアコンサルタントに期待される。【P9】

問4.キャリアに関する理論

正答:2

1.○:シャインは組織と個人の相互作用を重視している。【渡辺先生P152】

2.×:垂直的な移動(成長)は、一般社員層→管理職層→経営層といった、「階層次元」の移動(成長)を意味している。部内者化は組織の核へ向かう移動である。【渡辺先生P156】

3.○:シャインはキャリアの捉え方として「外的キャリア」と「内的キャリア」の2つの軸から捉えており、それぞれ「組織の三次元モデル」と「キャリア・アンカー」で説明している。【渡辺先生P157】

4.○:キャリア・アンカーを明確にするだけではなく、キャリア・サバイバルの概念によって、仕事とマッチングするかどうかにも着目している。【渡辺先生P163】

プラスワン:シャインの8つのキャリア・アンカー

専門、全般管理、自律/独立、保障/安定、起業家的創造性、奉仕/社会献身、純粋な挑戦、生活様式

せんぜん じぶんはほうきをもって ほうしした じんせい

問5.キャリアに関する理論

正答:4

1.○:リチャードソンの指摘は、先進各国での人種構成が多様になる人口動態と軌を一にする形で多文化キャリアカウンセリングの先駆けとなった。【木村先生P93】

2.○:フアドは、アメリカのマイノリティは、アセスメントの結果、キャリア意識が低く判定されやすくなることを示した。【木村先生P94】

3.○:アーサーは、可能な限りさまざまな文化のアイデンティティを知り、クライエントの文化に応じつつ、社会的に公平なキャリア支援を行うことを提唱した。【木村先生P95】

4.×:ワッツではなく、ブルースティンである。ブルースティンは社会階層は「最もパーニシャス(pernicious:致命的、有害)」な影響を与えるとした。【木村先生P99】

ワッツは「キャリアガイダンスの4つのイデオロギー」を提唱した。【木村先生P98】

問6.キャリアに関する理論

正答:3

1.○:スーパーはナラティブアプローチ・キャリア構築理論にも影響を与えている。「外挿」とは数学の用語で、データの傾向を延長しデータのない部分も予測することである。【木村先生P77】

2.○:コクランのナラティブ・アプローチでは、ナラティブ(物語)に加えて「意味」を強調しており、プロット(筋書き)を作ることを重視する。【木村先生P79】

なお、ナラティブアプローチを行う上でのアセスメントとして、ライフ・ラインやライフ・チャプター、職業カードソートなどを勧めている。

3.×:これらの質問をキャリア構築インタビューとして行うことを提唱しているのは、サビカスである。【渡辺先生P104】

なお、ジェプセンは、キャリアはノンフィクションの仕事経験小説であるとし、ストーリー(物語)としてのキャリアカウンセリングを提唱した。【木村先生P78】

4.○:キャリアアダプタビリティの4つの次元として適切である。

プラスワン:4つの次元に対応するキャリア質問【渡辺先生P99】

関心:私に未来はあるのか?
統制:誰が私の未来を所有しているのか?
好奇心:私は自らの未来をどうしたいのか?
自信:私はそれを実現できるのか?

問7.キャリアに関する理論

正答:4

1.○:自己効力感を高める4つの情報源として適切である。

覚え方:すいげん だいじよ

2.○:モデリング(観察学習)の4つの学習過程として適切である。

覚え方:ちゅうほ うんどう

3○:SCCTは、①社会的認知(自己効力感と結果期待など)、②個人の性別などの属性、③環境要因(サポートや労働市場、経済動向など)との三者相互作用の中でキャリア選択がなされていくと考える。【ジルP34】

4.×:直接経験ではなく、学習経験である。学習経験には、直接経験による学習と、観察学習による学習がある。【渡辺先生P138】

プラスワン:クランボルツの偶然の出来事をキャリアに取り込む5つの資質
①好奇心、②持続性、③柔軟性、④楽観性、⑤冒険心(リスクテイキング)

覚え方:こーじくん じゅうなんに たのしく ぼうけん

問8.キャリアに関する理論

正答:4

1.×:これはスーパーの「発達的アプローチに関する14の命題」の4の内容である。【渡辺先生P52】

ジェラットは、連続的意思決定プロセス(前期理論)や積極的不確実性(後期理論)を提唱した。【渡辺先生P111】

2.×:変幻自在なキャリア(protean career)を提唱したのはホールである。【渡辺先生P169】

3.×:統合的人生設計を提唱したのは、ハンセンである。【渡辺先生P208】

プラスワン:ハンセンが提唱した6つの重要な人生課題
①グローバルな状況を変化させるために、なすべき仕事を探す
②人生を意味ある全体像のなかに織り込む
③家庭と仕事の間を結ぶ
④多元性と包括性を大切にする
⑤個人の転機と組織の変化にともに対処する
⑥精神性、人生の目的、意味を探求する
覚え方:グジカタコセ

4.○:心理学者フェスティンガーが提唱した「認知的不協和理論」をキャリア意思決定に応用した。【木村先生P86】

問9.カウンセリングに関する理論

正答:1

1.○:感情的アプローチは、人は自己実現を目指して機能すると捉えるアプローチであり、具体的には来談者中心療法(ロジャーズ)などがある。

2.×:非合理的な思考などの思い込みに焦点をあてるのは、認知的アプローチであり、具体的には論理療法(エリス)や認知療法(ベック)がある。【木村先生P117】

3.×:不適切な行動の学習や適切な行動の未学習に焦点をあてるのは、行動的アプローチである。具体的には、系統的脱感作(ウォルピ)や主張訓練がある。【木村先生P120】

4.×:キャリアカウンセリングは、具体的な個別の理論だけにはとらわれずに、包括的、折衷的に行われるため、最もふさわしいアプローチである。【木村先生P124】

問10.カウンセリングに関する理論

正答:2

1.×:これはベックの認知療法の内容である。

2.○:吉本伊信の内観療法の内容として適切である。なお、内観療法は、浄土真宗の「身調べ」を前身としている。

プラスワン:日本の精神療法には、「あるがまま」を重視する、森田正馬(まさたけ)の森田療法もあり、治療の初期にはただ一人で静かに横になる「絶対臥褥」療法が特徴的である。

3.×:これは、バーンの交流分析の内容である。

4.×:自律訓練法を体系化したのは、パールズではなく、シュルツである。パールズは、エンプティ・チェアなどで知られるゲシュタルト療法を創始した。

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