令和4年版労働経済の分析第Ⅱ部ダイジェスト
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このページでは、毎回テーマが異なる第Ⅱ部の要点をお届けします。今回の第Ⅱ部のテーマは、キャリアコンサルタント、キャリアコンサルタント受験生にとっては、ど真ん中のテーマにて、今後の試験での出典資料として定番化するのではないかと予測しています。
第Ⅱ部:労働者の主体的なキャリア形成への支援を通じた労働移動の促進に向けた課題
第1章 我が国の労働力需給の展望と労働移動をめぐる課題
生産年齢人口の減少による労働力の供給制約の下で、産業構造の転換による労働力需要の変化に対応していくため、外部の労働市場を通じた労働力の需給調整が重要である。また、経済成長や賃上げの実現に必要な、生産性を高める上でも労働移動が重要である可能性がある。
第1節 我が国の労働力需給の展望
・我が国の生産年齢人口や新規学卒者数は減少傾向にあり、短期的にはこれらの増加による労働力供給の大幅な増加は見込めない。(P118)
・1970年代以降、我が国の産業のサービス化に伴い、第2次産業(製造業、建設業)から第3次産業(卸売業、小売業、サービス業など)への就業者シェアの長期的なシフトが続いている。(P120)
・介護・福祉分野における労働力需要の高まりへの対応は喫緊の課題となっている。(P123)
・今後の我が国の労働市場においては、IT人材の労働力需要のさらなる高まりが予測されている。(P127)
・感染拡大後、民間求人情報サイトでの求人は販売・サービス職で減少した一方、「IT系専門職」では増加している。(P128)
第2節 日本経済の成長と労働移動
・21世紀の先進国では経済成長を実現する上で、TFP(全要素生産性)上昇の重要度が相対的に上昇している。(P129)
・TFP上昇率と労働生産性上昇率には強い相関がみられる。(P132)
・労働生産性やTFPの上昇と労働移動の活発さには正の相関がみられ、労働移動により技術移転や組織の活性化が行われることで生産性の向上につながる可能性がある。(P137)
第2章 我が国の労働移動の動向
第1節 労働移動の概況
・転職入職率は2005年以降おおむね横ばいで推移しており、転職者数は長期的に増加傾向、離職者数は近年横ばいとなっている。離転職者数は女性で増加している。(P139)
・入職者に占める転職入職者の割合は6割程度で推移している。企業規模が小さいほど高い傾向にあるが、近年は大企業においても上昇傾向がみられている。(P141)
・女性の中高年層を中心に、入職者に占める転職入職者の割合が上昇傾向である。(P142)
・2020年の感染症の影響下においては、対人サービス業を中心に労働移動者が減少したが、 「情報通信業」「社会保険、社会福祉、介護事業」などでは入職者の増加もみられた。(P144)
・平均勤続年数は、定年年齢の引上げ等の影響から高年齢層で上昇しているが、2000年代以降、男性では54歳以下、女性では39歳以下の年齢層で緩やかに低下している。
(P146)
・我が国の雇用者の勤続年数は、国際的にみて比較的長期間となる傾向となっている。(P148)
・勤続年数10年以上の雇用者の割合は、アメリカ、カナダ、イギ リス、北欧諸国等と比較すると高く、イタリア、フランス等と同程度の水準となっている。(P148)
第2節 キャリアチェンジを伴う労働移動の動向
・男性では大学・大学院卒かつ若年層、女性では大学・大学院卒の35歳以上の層を中心に産業間移動が活発化している傾向がみられる。(P154)
・同一産業内の労働移動性向は一般的に高く、「情報通信業」「建設業」「運輸業、郵便業」で特に高くなっている。(P157)
・職種間の労働移動は、大学・大学院卒の者でやや活発となっている傾向がみられる。(P161)
第3節 転職者の実態
・転職経験者の割合は、男女別では男性より女性の方が高く、就業形態別では正規雇用労働者より非正規雇用労働者の方が高い傾向にある。(P166)
・初職の企業規模が大きいほど転職経験者の割合は低い傾向にあるが、年齢層が高くなるにつれてその差は縮小する。(P167)
・性別・雇用形態にかかわらず、前職の離職理由が会社都合である転職者の割合は低下傾向にあり、収入や労働条件を理由とする割合がやや上昇している。(P167)
・男性は、能力発揮を目的として転職先を選ぶ者 の割合が高く、女性は働き方や労働環境を意識した理由で転職先を選ぶ者の割合が高い。(P169)
・男性の方が女性よりも転職後に役職が上がった者の割合が高い傾向にある。(P171)
・就業経験が長くなるほど、転職時にタスク距離が近い職種を選ぶ傾向にある。(P173)
・雇用形態の変化を伴わない転職では、同一職種やタスク距離の近い職種に転職する傾向がみられる。(P174)
第3章 主体的な転職やキャリアチェンジの促進において重要な要因
第1節 転職希望者の就職活動への移行や転職の実現に向けた課題
・転職希望者は就業者のうち、4割程度である。(P178)
・現職の産業別では「飲食店、宿泊業」「医療・福祉」で転職希望者の割合が高く、「飲食店、 宿泊業」「教育・学習支援」等で転職活動移行者の割合が高い。(P180)
・職種別では「サービス職」 で転職希望者や転職活動移行者の割合が高く、「管理職」で低くなっている。(P180)
・子育て世代では、男性では子どもがいない場合、転職希望者の割合は高い。(P182)
・仕事の満足度が低い場合やワークライフバランスが悪化している場合に加え、キャリアの見通しができている場合などに、転職活動への移行が促進される可能性がある。(P184)
第2節 キャリアチェンジを伴う転職の促進に向けた課題
・男性はおおむね子どもがいる場合の方が職種の変わるキャリアチェンジをしにくい傾向がある。(P189)
・職種間移動をする者は、転職先を選ぶに当たり、ワークライフバランスに関する条件を重視する者が多い傾向がある。(P190)
・職種間移動をする者についても、キャリア見通しができていることや自己啓発によりスキルを向上させることで、転職後の仕事の満足度等が高くなりやすい傾向がある。
・キャリアチェンジをする場合、賃金が増加する者がいる一方で、賃金が減少した者も存在する。(P194)
・キャリアの見通しや自己啓発への取組は賃金の増加にもつながる可能性がある。(P198)
第3節 介護・福祉分野やIT分野へキャリアチェンジする者の特徴
・介護・福祉職に他分野から転職する者は女性が多い。前職の産業は「医療・福祉」等が多く、職種では「サービス職」からの転職が多い(P200)
・IT職に他分野から転職する者は男性が多い。前職の産業は 「情報通信業」や「製造業」が多く、職種では「専門職・技術職」や「事務系職種」が多い。(P206)
・IT職に他分野から転職する者の入職経路としてはインターネットの転職情報サイト等が多くなっている。(P207)
第4章 主体的なキャリア形成に向けた課題
キャリアコンサルティングを通じて、自らの適性や能力、関心などに気づき、自己理解を深めるとともに、社会や企業内にある仕事について理解(職業理解)することにより、その中から自身に合った仕事を主体的に選択できるようになることが期待される。
第1節 キャリアコンサルティングが労働者のキャリア形成意識やキャリア形成に及ぼす影響
・49歳以下の年齢層の方が自ら職業生活設計を考えていきたいと考える者の割合がやや高い。(P219)
・正社員以外では正社員と比較して自ら職業生活設計を考えていきたいとする者の割合が低く、「わからない」とする者の割合が高い。(P219)
・キャリアコンサルティングを受けた者の方が、自ら職業生活設計を考えていきたいと考える者の割合が高い傾向がある。(P221)
・キャリアコンサルティングの経験がある者の方が、現在の仕事内容や職業生活全般の満足感が高い傾向にある。(P222)
・過去にキャリアコンサルティング経験のある者の方が転職回数は多い傾向にある。(P223)
・キャリアコンサルティング経験がある者の方が、特定の分野の仕事に限定した職業経験を積むよりも、異分野へのキャリアチェンジを積極的に行う傾向がある
・キャリアコンサルティングの経験がある者の方が、自らの職業能力が他社で通用すると考えている者の割合が高い。
・自らの職業能力が他社で通用すると考えている者には、キャリアコンサルティングを企業外で受けている者の割合が比較的高い傾向にある。(P225)
・キャリアコンサルティングの経験がある者は自発的な能力向上の取組を行うことが必要と考える者の割合が高い。(P225)
・キャリアコンサルティングにより、現在の仕事に対する影響に加え、「自分の目指すべきキャリアが明確になった」「自己啓発を行うきっかけになった」といった、キャリアに関する意識や行動への良い影響を感じている。(P226)
・企業内でキャリアコンサルティングを受ける場合は、キャリアの見通しの向上のほか、職業能力の向上、労働条件や人間関係の改善といった変化を感じている者が多い。(P227)
第2節 自己啓発の取組の促進に向けた課題
・自己啓発を行った者の割合は男性・女性の正社員・正社員以外ともに2012年度調査に比べ て2020年度調査ではやや低下している。(P229)
・企業が従業員に対して金銭的な援助や就業時間の配慮、情報提供等を行うことが自己啓発を促進する可能性がある。(P234)
・キャリアコンサルティングを受けた者の方が、キャリアコンサルティングを受けていない者よりも自己啓発を行っている者の割合が高い。(P235)
第3節 企業における転職者の採用等に関する課題
・職種間のキャリアチェンジをした後に事業所でOJTやOFF-JTを実施すると転職者の 満足度が高まる傾向がある。(P242)
・転職者を採用する際の問題点は、全ての企業規模において「必要な職種に応募してくる人が少ないこと」が最も多い(3割超)。
第4節 公共職業訓練の効果と課題に関する分析
・公共職業訓練の受講により、離職者の再就職の確率を高める一定の効果がある。(P258)
・公共職業訓練による再就職への効果は分野を問わず確認されている。(P259)
・介護・福祉分野の訓練については、他分野からの労働移動を促進している可能性がある。
・IT分野の訓練の受講者は、訓練に関連した就職をする割合が他の分野と比較してそれほど高くない。(P268)
・IT分野の訓練受講者のうち、情報技術者に就職する者よりも事務職に就職する者の割合の方が高くなっている。(P269)
・ITのユーザーレベルの「情報ビジネス科」の受講者割合が高い。(P271)
・女性もITの専門訓練を受講した場合には情報技術者になりやすくなる傾向があり、その効果について、男性との差はない。(P272)
・女性のIT専門訓練の受講者においても、事務職への就職意向が強い。(P272)
・女性の情報技術者への就職を促すためには、IT専門訓練の充実に加え、女性の情報技術者への就職に対する関心を高めるための支援が求められる。(P273)
まとめは以上となりますが、本資料の「まとめ」においても、とてもコンパクトに内容を把握することができます。
令和4年版労働経済の分析(P285~P289)
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