2023年(度)までの完全失業率と有効求人倍率【まとめ編】
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今回のテーマは、完全失業率と有効求人倍率の数値や傾向(趨勢)といった、雇用情勢に関する内容です。ほぼ毎回、出題があります。
いつの時点のデータが要注意なのか?
これまでの試験では、試験実施の前年(度)もしくは、さらにその前年(度)の雇用指標が問われること多いですが、特にコロナ前、最中、コロナ後の趨勢(傾向)の変化に注目しておくとよいでしょう。
完全失業率と労働力人口の推移
・完全失業率とは、労働力人口に占める完全失業者の割合をいう。
・完全失業者とは、次の3つの条件を満たす者である。
①仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった。
②仕事があればすぐ就くことができる。
③調査週間中に、仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた。
・その他の用語の定義が問われることもある。
・労働力人口は、15歳以上人口のうち、もっぱら通学や家事をしている人や、その他(高齢者など)の非労働力人口を除いたものである。
完全失業率の推移
・完全失業率は、総務省統計局による労働力調査により、毎月公表される。
年 | 完全失業率 ( )は年度 |
2019年・令和元年 | 2.4%(2.3%) |
2020年・令和2年 | 2.8%(2.9%) |
2021年・令和3年 | 2.8%(2.8%) |
2022年・令和4年 | 2.6%(2.6%) |
2023年・令和5年 | 2.6%(2.6%) |
コロナ前と後の完全失業率の比較
2019年平均の完全失業率は2.4%と低い水準であったが、2020年に2.8%(年度では2.9%)まで悪化した。その後は持ち直し、2022年に2.6%へ改善しているものの、2023年は前年と変わらず、2019年のコロナ禍前の水準には戻っていない。
なお、コロナ禍において最も完全失業率が上昇したのは、2020年10月の3.1%である。
労働力人口の推移
・労働力人口は、就業者と完全失業者からなる。
年 | 労働力人口 | 前年からの増減 |
2019年 | 6912万人 | 63万人増加 |
2020年 | 6902万人 | 10万人減少 |
2021年 | 6907万人 | 5万人増加 |
2022年 | 6902万人 | 5万人減少 |
2023年 | 6925万人 | 23万人増加 |
労働力人口は、2020年に減少した後は、2021年は増加、2022年は減少、2023年は大きく増加へ転じている。
就業者数の推移
・就業者は従業者と休業者からなる。また、従業者には主に仕事をしている人のほか、通学や家事のかたわらに仕事をしている人も含む。
年 | 就業者数 | 前年からの増減 |
2019年 | 6750万人 | 68万人増加 |
2020年 | 6710万人 | 40万人減少 |
2021年 | 6713万人 | 3万人増加 |
2022年 | 6723万人 | 10万人増加 |
2023年 | 6747万人 | 24万人増加 |
就業者数は、2020年に大幅に減少したものの、その後は増加が続いており、2023年に大きく増加している。
・2022年平均の就業者のうち、前年に比べ最も増加した産業は「医療、福祉」である。
・【注意】2023年平均の就業者のうち、前年に比べ最も増加した産業は「宿泊業、飲食サービス業」である。
正規、非正規の就業者数の推移
・正規雇用労働者は、2023 年平均で3615 万人と、前年から18万人増加(9年連続増加)し、2020年、2021年も増加している。
・非正規雇用労働者の就業者数の推移
年 | 就業者数 | 前年からの増減 |
2019年 | 1783万人 | 16万人増加 |
2020年 | 1709万人 | 74万人減少 |
2021年 | 1683万人 | 26万人減少 |
2022年 | 1697万人 | 14万人増加 |
2023年 | 1707万人 | 10万人増加 |
非正規雇用労働者は、2020年、2021年に大きく減少したが、2022年、2023年は増加している。
また、2023年の役員を除く雇用者に占める非正規の職員・従業員の割合は、37.0%である。正規:非正規の比は、概ね6:4と覚えておく。
非正規の職員・従業員数は男性683万人、女性1441万人で、その割合は男性が約32%、女性が約68%であり、概ね3対7と覚えておく。
データ出典:労働力調査(基本集計)2023年(令和5年)平均結果の概要
有効求人倍率
・有効求人倍率は求職者1人に対し何人分の求人があるのかを示し、倍率が1を上回ると人を探している企業が多く、下回ると仕事を探している人が多いと捉えることができる。
・有効求人倍率は公共職業安定所(ハローワーク)における求人、求職、就職の状況をとりまとめたものであり、民間の職業紹介事業者でのそれらの状況は含まれない。
有効求人倍率の推移
・有効求人倍率は、毎月、厚生労働省が調査公表する「一般職業紹介状況」でわかる。
・暦年(1月〜12月)と年度(4月〜3月)での倍率は次の推移である。
年 | 有効求人倍率 年度は( ) |
2019年・令和元年 | 1.60倍(1.55倍) |
2020年・令和2年 | 1.18倍(1.10倍) |
2021年・令和3年 | 1.13倍(1.16倍) |
2022年・令和4年 | 1.28倍(1.31倍) |
2023年・令和5年 | 1.31倍(1.29倍) |
2019年の1.60倍から2020年は1.18倍へ、2021年は1.13倍へと低下したが、2022年に持ち直し1.28倍へと改善した。
なお、2023年(令和5年)は、暦年では1.31倍で前年に比べて0.03ポイント上昇しているが、年度では1.29倍で、前年度に比べて0.02ポイント低下している。
暦年も年度も、コロナ禍前の水準までは回復していない。
出典:一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について
有効求人倍率に関するその他の気になる指標等
正社員有効求人倍率
パートタイムを除いた、正社員有効求人倍率の推移は次のとおりである。
年 | 正社員有効求人倍率 |
2019年12月 | 1.13倍 |
2020年12月 | 0.81倍 |
2021年12月 | 0.86倍 |
2022年12月 | 1.03倍 |
2023年12月 | 1.00倍 |
正社員有効求人倍率は2019年12月の1.13倍から2020年12月に0.81倍まで低下したが、2022年12月に1.03倍、2023年12月は1.00倍と1倍まで回復はしたものの、コロナ禍前の水準には戻っていない。
有効求人倍率の地域差
2023年12月の就業地別による都道府県・地域別有効求人倍率の最高は、福井県の1.94倍、最低は大阪府の1.06倍であり、地域差は「ある」と認識しておく。
景気動向指数
景気の現状把握や将来予測のための指標として景気動向指数があり、景気動向指数には3種類の系列がある。
景気の動きに先行して反応を示す「先行系列」、現状の景気の動きに反応する「一致系列」、景気の動きにやや遅れて追随して現れる「遅行系列」にわけることができるが、新規求人数、有効求人倍率、完全失業率は、次のように分類することができる。
先行系列:新規求人数
一致系列:有効求人倍率
遅行系列:完全失業率
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(2024年7月改訂)