令和元年度能力開発基本調査【2事業所調査:まとめ編】
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能力開発基本調査は、企業調査、事業所調査、個人調査の3つに分けられます。このページでは、事業所調査についてまとめます。事業所調査からは、キャリアコンサルティングの導入、運用に関する出題がとても多いです。
資料を一読の際には、まずは大雑把にイメージを掴みましょう。細かな数字は暗記する必要はありませんが、ご自身の感覚と違うものがあれば、よく印象付けておきましょう。そして、下記のまとめと問題(会員限定)で知識を固めましょう。
(1)教育訓練の実施に関する事項について【P11】
①OFF-JTの実施状況
・正社員に対してOFF-JTを実施した事業所は、75.1%である。[第2回問1]
・正社員以外に対してOFF-JTを実施した事業所は、39.5%であり、正社員に対する割合に比べ低い。[第7回問17]
・実施したOFF-JTの研修内容ランキング[第14回問20]
新規採用者など初任層を対象とする研修(75.4%)
新たに中堅社員となった者を対象とする研修(48.0%)
マネジメント(管理・監督能力などを高める内容)(47.0%)
②計画的なOJTの実施状況
・計画的なOJTの実施状況を階層別にみると、新入社員が56.5%、中堅社員は40.1%、管理職層は24.2%で、正社員以外29.0%となっている。[第7回問17]
・正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は64.5%であり、近年なだらかな増加傾向がうかがえる。[第2回問1、第7回問17]
・正社員以外に対して計画的なOJTを実施した事業省は29.0%と3年移動平均の推移でみると、近年なだらかな減少傾向がうかがえる。[第2回問1]
・いずれにおいても、企業規模別では規模が大きくなるほど実施率は高い。
(2)人材育成について【P19】
・能力開発や人材育成に関して何らかの「問題がある」とする事業所は、76.5%と大半を占めている。
・「問題がある」事業所の問題点ランキング
指導する人材が不足している。(58.1%)
人材を育成しても辞めてしまう。(53.7%)
人材育成を行う時間がない。(49.7%)
(3)労働者のキャリア形成支援について【P20】
①キャリアコンサルティングを行うしくみの導入状況
・正社員または正社員以外に対してキャリアコンサルティングを行うしくみを導入している事業所は、39.8%である。[第10回問1、第11回問17、第12回問4、第14回問16]
約4割とおさえておく。キャリアコンサルティングを行うしくみがあるのは、半数に満たない。
今回 | 前回 | |
正社員 | 39.4% | 44.0% |
正社員以外 | 27.0% | 28.0% |
・産業別では金融業・保険業が最も導入している割合が高い。また、企業規模別にみると、企業規模が大きくなるほどしくみを導入している割合が高い。[第10回問1、第7回問17]
・キャリアコンサルティングの実施時期は、正社員、正社員以外ともに、「労働者から求めがあった時に実施する」が最も割合が高い。[第2回問2、第12回問4]
・キャリアコンサルティングを行う目的ランキング[第2回問2、第5回問3、第10回問1、第11回問17、第12回問4、第14回問16]
労働者の仕事に対する意識を高め、職場の活性化を図るため。
労働者の自己啓発を促すため。
労働者の希望等を踏まえ、人事管理制度を的確に運用するため。
・キャリアコンサルティングを行う仕組みを導入している事業所のうち、キャリアコンサルティングを行う上での問題点がある事業所は正社員で67.3%、正社員以外で59.2%である。
・キャリアコンサルティングを行う上での問題点では、正社員、正社員以外ともに「労働者からのキャリアに関する相談件数が少ない」が最も多い。[第2回問2、第7回問17]
・事業所で相談を受けているのがキャリアコンサルタントであるのは、9.8%である。[第11回問17、第14回問16]
キャリアコンサルタントの活用は10%に満たない。
・キャリアコンサルティングを行うしくみを導入していない理由で最も多いのは、正社員、正社員以外ともに、「労働者からの希望がない。」である。[第2回問2、第11回問17、第12回問4、第14回問16]
②ジョブ・カードの認知状況
ジョブカードの認知状況は、「内容を含めて知っており活用している」は2.7%にすぎない。[第1回問17]
③労働者の自己啓発に対する支援の実施状況
・自己啓発の支援を行っている事業所の割合は、正社員で82.3%、正社員以外で57.9%である。[第1回問15]
・支援の内容は、正社員、正社員以外のいずれも、「受講料などの金銭的援助」が最も多い。[第14回問20]
(4)労働者の職業能力評価について【P28】
①職業能力評価の実施状況
・正社員に対して職業能力評価を行っている事業所は正社員で54.4%であり、正社員以外で36.2%である。[第4回問17]
・職業能力評価における検定・資格を利用している事業所は、53.5%であり、利用している検定・資格は、「国家検定・資格(技能検定を除く)又は公的検定・資格」が75.8%最も多い。
・職業能力評価の活用方法は、「人事考課(賞与、給与、昇格・降格、異動・配置転換等)の判断基準」が最も高い(81.8%)。[第4回問17]
・職業能力評価に係る取組に問題を感じている事業所は71.1%であり、問題点の内訳は、「全部門・職種で公平な評価項目の設定が難しい」(70.9%)が最も多い。[第4回問17]
【令和元年度記載無し】技能検定について(平成30年度P33】
技能検定については、令和元年度版の結果の概要には記載がありませんでした。今後の出題の可能性はゼロとは言えないため、平成30年度版のまとめを確認しておきましょう。
・技能検定の認知状況は、ほぼ半々の状況であり、「知っている(50.5%)」、「知らない(49.0%)」である。
・技能検定の利点、活用方法としては、「労働者の職業意識や職業能力の向上に役立つ(62.8%)」が最も多い。
・技能検定の問題点としては、「試験の準備や受験する時間等の労働者の拘束時間が長い(27.3%)」、「技能検定の試験実施回数や試験地が限られている(26.6%)」「技能検定の対象や試験内容が現場で必要な技能と合っていない(25.7%)」がそれぞれ4分の1程度の割合となっている。
(5)技能の伝承について【P33】
①技能継承の問題
・【令和元年度】技能継承に問題があるとする事業所は39.0%であり、産業別では「建設業(63.5%)」が最も多い。
【注意】ただし、この項目については平成30年度版と比較して大きな差があり、異常値が出ていますので、平成30年度版の調査結果も併せて紹介します。
・【平成30年度】技能継承に問題があるとする事業所は78.2%であり、産業別では「製造業(86.5%)」が最も多い。
・技能継承の取組を行っている事業所は84.6%で、取組の内容は、「退職者の中から必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用で指導者として活用している」(64.2%)「中途採用を増やしている」(51.1%)が多い。なお、平成30年度版では、この順序が逆であった。
問題編(みん合☆プラス会員限定公開)で知識を固めましょう。