令和3年版労働経済の分析第Ⅱ部ダイジェスト

Check Sheet ONOFF

Check Sheet機能をOnにしてご確認ください。 

こちらのページでは、第Ⅱ部の「新型コロナウイルス感染症の感染拡大が労働者の働き方に及ぼした影響に関する課題」から、重要なポイントを確認します。

なお、労働経済の分析の第Ⅱ部の内容は毎年テーマが異なるため、第Ⅰ部の第1章~第3章で見られるような過去問の出題実績はありません。

第Ⅱ部の第1章では「新型コロナウイルス感染症の感染拡大下において業務の継続を求められた労働者の働き方について」、第2章では「テレワークの定着に向けた課題について」がまとめられています。

 令和3年版労働経済の分析

画面上部のCheckSheet機能をONにして、赤シートをめくりながら内容を確認していきましょう。

第1章 新型コロナウイルス感染症の感染拡大下において業務の継続を求められた労働者の働き方について

第1節 分析対象とする労働者の範囲

・政府の基本的対処方針で定められた「緊急事態宣言時に事業の継続が求められる事業者」を参考に分析対象業種・労働者を選定し、中でも「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」「小売業(生活必需物資等)」の3業種について重点的に分析する。(P188)

第2節 分析対象労働者の概況

・分析対象業種の雇用者数は全業種の雇用者数の半分程度を占めており、男女別・雇用形態別にみると女性非正規雇用労働者の割合が比較的高い。(P193)

・「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」では男性の非正規雇用労働者で60歳以上の年齢層の割合が高いのに対し、女性の非正規雇用労働者では60歳未満の割合が高い。(P195)

・「小売業(生活必需物資等)」では、男性の非正規雇用労働者で若年層の割合が高くなっている。また、「医療,福祉」では育児をしている雇用者の割合も比較的高い。(P195)

・分析対象労働者の賃金についてみると、「医療業」は全業種と比べて短時間労働者で高く、「社会保険・社会福祉・介護事業」では一般労働者で、「小売業(生活必需物資等)」では一般労働者、短時間労働者で全業種と比べて低い傾向にある。(P198)

・業種別・就業形態別に月間総実労働時間の状況をみると、「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」「小売業(生活必需物資等)」では、一般労働者、短時間労働者ともに全産業と比較して平均値に大きな違いはない。(P205)

第3節 分析対象労働者の働き方に関する変化・課題

・分析対象労働者の業務は、多くの業種でテレワークができないものが多く、対面業務の必要性については業種によるばらつきがある。(P210)

・いずれの業種においても自身の仕事に社会的影響があると感じている労働者が多い。他方で、平時の賃金に対して満足している者は分析対象業種計の2割未満である。(P210)

・2020 年4~5月の週間稼働日数、週間職場出勤日数は、いずれの業種においても減少しているが、「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」では、他の業種と比べた減少幅は小さく、緊急事態宣言解除後は平時と同程度の週間稼働日数に戻っている。(P214)

・週間稼働日数1日当たりの平均勤務時間は、「医療業」の正社員、「社会保険・社会福祉・介護事業」の正社員、非正社員ではほぼ変化がみられない。感染拡大下においても平時と同様の勤務時間で業務を継続している。(P219)

・人手不足感は企業・施設では特に「社会保険・社会福祉・介護事業」において強く、感染拡大期を通じて更に不足感が強まっている。(P223)

・労働者の主観的な忙しさの変化をみると、「医療業」 「社会保険・社会福祉・介護事業」では正社員で、「小売業(生活必需物資等)」では非正社員で、分析対象業種計と比べて平時より忙しさが増した者の割合が高い。(P225)

・勤務時は、重点的に分析を行う3業種のほか、「生活関連サービス業※」等で感染リスクが高いと感じる者の割合が高く、地域差はあまりないが、通勤時は、いずれの業種でも「東京23区、大阪市、名古屋市」の方が感染リスクが高いと感じる者の割合が高い。(P234)

※生活関連サービス業とは、理容・美容業、旅行業、映画館などである。

・時系列で感染リスクの感じ方の変化をみると、分析対象業種計では感染リスクが高いと感じる者が6割程度を占め、特に「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」において、感染リスクを高いと感じる者の割合が高い。(P236)

・対面業務が多い労働者ほど感染リスクが高いと感じ、業務中の緊張感も増している。(P238)

・「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」「生活関連サービス業」等の対人サービスが主であると考えられる業種では、迷惑行為の被害を受けた労働者の割合が他業種よりも高い。(P240)

・肉体的負担が大きいと感じる労働者の割合をみると、「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」では他の業種と比べて平時から高い水準にあった上に、2020 年4~5月に更に上昇しており、男女別では女性の方が高い傾向にある。(P241)

・精神的負担が大きいと感じる労働者の割合についても、「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」で平時から高く、感染拡大下において更に高まっており、男女別にみると女性の方がより高い。(P242)

・分析対象業種について、2020 年4~5月に肉体的負担、精神的負担が増大した労働者の割合をみると、全体として肉体的負担よりも精神的負担の方が増大した労働者の割合が高い。(P244)

・「医療業」「社会保険・社会福祉・介護事業」では健康状態が悪化した労働者の割合が分析対象業種計よりも高く、特に「医療業の看護師准看護師を含む)」「介護サービス職業従事者」で割合が高い。(P245)

第4節 勤め先の取組と分析対象労働者への影響

・2020年4~5月の給与、夏の賞与、冬の賞与については「小売業(生活必需物資等)」の正社員で減少したと答える者の割合が分析対象業種計よりも高く、非正社員で支給対象外となっている者の割合が高い。(P249)

・2020年4~5月の「医療業」の非正社員、「社会保険・社会福祉・介護事業」の正社員、非正社員で夏の賞与、冬の賞与について、不満足に該当する者が比較的多い。(P249)

・忙しさが増加しているなかで賞与が減少している労働者が一定割合存在する。(P252)

・分析対象業種のいずれの業種でも、「業種別ガイドライン」については、企業・施設、労働者ともに遵守していると回答する者の割合が高い。(P257)

・分析対象労働者の「モチベーション」「ワーク・ライフ・バランスの実現度」「仕事を通じた満足度」は感染拡大下で低下傾向にあり、平時の状況には戻っていない。(P265)

第2章 テレワークの定着に向けた課題について

第1節 テレワークの実施概況について

・2020年2月調査時点までにテレワークの活用経験がある企業は40.4%であり、そのうち、2021年2月調査時点でも継続している企業は74.6%であった。(P284)

・テレワークの活用経験がある企業のうち、2020年2-5月の間にテレワークを開始した企業は76.5%であり、大半の企業が感染拡大を機にテレワークを開始している。(P284)

・2020年12月調査時点までにテレワークの経験がある労働者は29.0%であり、そのうち、調査時点でも継続している者は60.9%である。(P287)

・テレワーク経験がある労働者のうち、2020年3-5月の間にテレワークを開始した者が72.0%であり、半数以上の労働者が感染拡大を機にテレワークを開始している。(P287)

・緊急事態宣言を機にテレワークを開始した企業・労働者はその後に継続している割合が低い傾向にある。(P291)

・感染拡大を機に初めてテレワークを活用した企業は、「運用がうまくできていない」と回答する割合が高く、テレワークの継続にも影響している可能性がある。(P293)

・テレワークの活用経験がある企業や労働者の割合が比較的低い業種でも、テレワーク継続率が高い場合があることを踏まえると、業務の性質にかかわらず、テレワーク定着の可能性があることがうかがえる。(P295)

・テレワークの活用経験がある企業の割合を業種別にみると、「情報通信業」「学術研究,専門・技術サービス業」等で比較的高くなっている。(P296)

・「医療,福祉」「運輸業,郵便業」等では比較的低く、こうした業種では、現場での作業や対面でのやりとりの必要性が高く、業務の性質上、テレワークの普及が進まなかった可能性がある。(P296)

・企業がテレワークを導入、実施していない理由について、約7割の企業が「できる業務が限られているから」と回答している。(P298)

第2節 テレワーク活用のメリットについて

・労働者はテレワークの活用により、ワーク・ライフ・バランスの向上や業務の生産性向上などの面でメリットを感じており、半数以上の労働者が今後もテレワークを活用・継続したいと考えている。(P301)

・労働者にテレワークによって感じるメリットについて尋ねたところ、「通勤時間を節約することができる」が最も多く、「通勤による心身の負担が少ない」「隙間時間などを有効活用することができる」といったワーク・ライフ・バランスの向上に関連する項目についてメリットを感じている労働者が多い。(P302)

・労働者にテレワークによって感じるデメリットについて尋ねたところ、「同僚や部下とのコミュニケーションがとりにくい」「上司とのコミュニケーションがとりにくい」と、コミュニケーションに関する項目をあげた労働者の割合が高い。(P301)

・企業がテレワークを導入する目的は、感染拡大前にテレワークを始めていた企業ではワーク・ライフ・バランスや生産性の向上を目的としている企業が多い一方、感染拡大を機にテレワークを始めた企業では感染拡大への対応を目的とする企業が多い。(P303)

第3節 テレワーク定着に向けた課題について

・労働者がテレワークを実施しなくなった理由としては、感染拡大の状況に左右される他律的な理由のほか、業務の性質、テレワーク時の仕事の進め方、テレワークの環境整備に関する理由が多い。(P310)

・企業におけるテレワーク活用の課題についても、労働者同様、業務の性質、テレワーク時の仕事の進め方、テレワークの環境整備に関する理由が多く、うまくテレワークの運用ができていると回答する企業ほど、それらの課題への対応ができている割合が高い。(P312)

第4節 テレワーク時の仕事の進め方に関する課題について

・テレワークではビデオ・音声、テキストによるコミュニケーションの方法が増える者が約半数以上である。(P318)

・コミュニケーションの内容においても、上司への仕事に関する報告は増える者と減る者が同程度である一方、それ以外の雑談やアイデアの共有、感謝の言葉をかけるといった内容は減る者が多くなっている。(P318)

・テレワーク時の仕事の進め方について「業務範囲・期限の明確性」「業務の裁量性」「評価基準の明確性」の観点からみると、どの項目についても、調査時点もテレワークを実施していると回答した者の方が該当割合が高い

また、これらの項目に該当する者においては、テレワークを実施する際の「充実感・満足感」の低下幅が抑えられている可能性がある(P323)

第5節 テレワークをするための環境整備に関する課題について

・テレワーク時の設備が充実することが仕事の生産性・効率性を高め、結果としてワーク・ライフ・バランスにも良い影響を与える可能性や、ワーク・ライフ・バランスの充実を通じて仕事の充実感・満足感に良い影響を与える可能性も考えられる。(P329)

・「テレワーク時の設備は充実している」に該当すると回答した者は、そうでない者よりも、「生産性・効率性」「充実感・満足感」ともに、平均値、中央値がいずれも高い。(P331)

資料のP337~P346には、本資料の「まとめ」が記されています。本編を読むのは大変ですが、こちらは10ページほどで確認することができておすすめです。

令和3年版労働経済の分析の予想問題(問題編)は下記からご覧ください(会員限定)。

≪会員限定≫令和3年版労働経済の分析第Ⅰ部【問題編】

≪会員限定≫令和3年版労働経済の分析第Ⅱ部【問題編】

令和3年版労働経済の分析のその他のまとめは下記からご覧ください。

令和3年版労働経済の分析第Ⅰ部ダイジェスト(1)

令和3年版労働経済の分析第Ⅰ部ダイジェスト(2)

動画のご案内

厚生労働省では令和3年版労働経済の分析の動画版を公開しています。約30分ほどで、内容を確認することができ、大変コンパクトにまとまっています。

移動時間や隙間時間に、試験までにはぜひご覧ください。

第1章:新型コロナウイルス感染症が雇用・労働に及ぼした影響等

第2章:感染拡大下で業務の継続を求められた労働者の分析

第3章:テレワークを活用して働いた労働者の分析