専門業務型/企画業務型裁量労働制のまとめと問題

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裁量労働制については何度か出題されていますが、このページではその概要を確認できるだけではなく、2024年の改正論点を特に学習できます。

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参考資料(厚生労働省)

 専門業務型裁量労働制について

 企画業務型裁量労働制について

裁量労働制とは

労働時間の管理を個人の裁量に委ねる働き方であり、みなし労働時間制の一つである。

裁量労働制の種類

1.専門業務型裁量労働制

専門性の高い、20の業務に従事する労働者に限定して導入できる裁量労働制。

2.企画業務型裁量労働制

事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて、企画、立案、調査及び分析を行う労働者に限定して導入できる裁量労働制。

専門業務型の対象業務

以下の20種類が定められているが、20の「銀行や証券会社のM&Aアドバイザー」は2024年4月の改正で新たに加わった。

1. 新商品、新技術の研究開発
2. 情報処理システムの分析・設計
3. 記事の取材・編集の業務
4. デザイナー
5. 放送番組、映画等のプロデューサー
6. コピーライター
7. システムコンサルタント
8. インテリアコーディネーター
9. ゲームクリエイター
10. 証券アナリスト
11. 金融商品開発
12. 大学教授(主に研究)
13. 公認会計士
14. 弁護士
15. 建築士
16. 不動産鑑定士
17. 弁理士
18. 税理士
19. 中小企業診断士
20. 銀行や証券会社のM&Aアドバイザー

企画業務型の対象業務

「事業運営上の重要な決定が行われる企業の本社などにおいて企画立案調査および分析を行う労働者」を対象であり、上司からの指示を受けるのではなく、自律的で柔軟な仕事が可能な人が対象となる。

裁量労働制の導入の主な手続き

導入のプロセスには以下の違いがあり、どちらかというと、企画業務型の方がより厳格な手続きをとる。

専門業務型 企画業務型
労使協定の締結 労使委員会の設置
②労働者本人の同意 ②労使委員会の委員の5分の4以上の決議
  ③労働者本人の同意

専門業務型での「労働者本人の同意」は2024年4月の改正により規定された。

どちらも同意についての撤回ができることと、同意をしなかったことによる不利益取扱いが禁止されることが2024年4月の改正により規定された。

割増賃金について

・みなし労働時間制の一種であるため、時間外労働の概念はないが、そもそものみなし労働時間が法定労働時間(8時間)を超える場合には、時間外割増賃金が発生する。

・深夜労働や法定休日の労働の割増賃金は発生する。

健康・福祉確保措置について

2024年4月の改正により、以下の1と2の内容が規定され、1、2から1つずつ以上を実施することが望ましいとされた。

1.長時間労働の抑制や休日確保を図るための事業場の適用労働者全員を対象とする措置
① 終業から始業までの一定時間以上の休息時間の確保(勤務間インターバル
② 深夜業(22時~5時)の回数を1箇月で一定回数以内とする
③ 労働時間が一定時間を超えた場合の制度適用解除
④ 連続した年次有給休暇の取得

2.勤務状況や健康状態の改善を図るための個々の適用労働者の状況に応じて講ずる措置
医師による面接指導
⑥ 代償休日・特別な休暇付与
健康診断の実施
⑧ 心とからだの相談窓口の設置
⑨ 必要に応じた配置転換
産業医等による助言・指導や保健指導

高度プロフェッショナル制度との違い

・高度プロフェッショナル制度には、年収要件(1,075万円)がある。

・高度プロフェッショナル制度には、時間外・深夜・法定休日の割増賃金がない

本試験レベル問題

問1 裁量労働制に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.裁量労働制を採用し、みなし時間を8時間としている労働者に対して、使用者は時間外割増手当や深夜割増手当を支給する必要はない。
2.専門業務型裁量労働制の導入においては、労働者本人の同意は必要ない。
3.企画業務型裁量労働制の導入においては、労使委員会の設置と委員の5分の4以上の決議が必要である。
4.企画業務型裁量労働制の導入は、20の業務に限定されている。

【Bランク】解説と正答

1.×:みなし時間を8時間としている労働者に対しても、深夜割増手当や法定休日の場合の休日手当を支給する必要がある。
2.×:2024年4月の改正により、専門業務型裁量労働制の導入においても、労働者本人の同意は必要である。
3.○:企画業務型裁量労働制の導入にあたっては、これらの手続きが必要である。
4.×:20の業務に限定されているのは、専門業務型裁量労働制であり、企画業務型裁量労働制は、事業の運営に関する事項についての企画、立案、調査及び分析の業務が対象となる。

正答:3

 

問2 裁量労働制に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

1.裁量労働制導入にあたっての「本人の同意」は、いかなる場合も「撤回」ができない。
2.裁量労働制の導入にあたっては、長時間労働の抑制や健康状態の改善を図るための「健康・福祉確保措置」は求められてない。
3.銀行や証券会社のいわゆるM&Aアドバイザーの業務は、専門業務型裁量労働制の対象となる。
4.労働安全衛生法で義務付けられている、事業主による労働者の労働時間の把握は、管理監督者や裁量労働制が適用される人には適用が除外されている。

【Aランク】解説と正答

1.×:専門業務型、企画業務型のいずれも、2024年4月の改正により「撤回」の手続きが規定された。
2.×:専門業務型、企画業務型のいずれも、2024年4月の改正により、「健康・福祉確保措置」が規定された。
3.○:2024年4月の改正により、いわゆるM&Aアドバイザーの業務は、専門業務型裁量労働制の対象となった。
4.×:労働安全衛生法で義務付けられている、事業主による労働者の労働時間の把握は、管理監督者や裁量労働制が適用される人にも適用される。

正答:3

以上です。おつかれさまでした。

これで裁量労働制はバッチリです。